Fujitsu The Possibilities are Infinite

導入事例
グローリー株式会社 様

3次元データ基準の推進により2次元図面を簡略化
寸法数の70%減で図面化工数を大幅削減

通貨処理機などの開発・製造・販売・メンテナンスを手がけるグローリーは、全社活性化運動の一環として3次元CAD/CAE/CAMを導入してきた。1999年には、3次元CADとしてUnigraphics(現NX)を採用。3次元データを活用するものづくりを力強く推し進めることによって、今では新機種のすべてが3次元データに基づいて開発・製造されるようになった。その総仕上げとして、2005年からは「2次元図面の簡略化」にも着手。従来の詳細図面を3次元データと簡略図面に置き換えることによって寸法数を約70%減らし、図面化工数の削減とリードタイムの短縮を実現した。

導入事例キーワード
業種: 通貨処理機、情報処理機、自動販売機、カードシステム・サービス機器など
ソリューション:
PLMソリューション
製品:
Unigraphics

酒井 亨 様

酒井 亨 様
グローリー株式会社
技術推進部 
プロセス革新グループ
グループマネージャー

渡辺 友宏 様

渡辺 友宏 様
グローリー株式会社
技術推進部 
主査

兵庫県姫路市に本社を置くグローリーは、1950年に国産初の硬貨計数機を開発したメーカーとして知られる。現在の主な事業分野は通貨処理機、情報処理機、自動販売機、カードシステム・サービス機器など。自動販売機やスーパーマーケットのレジつり銭機のように、一般の消費者の目に付くところに置かれている製品も多い。

同社における3次元CAD/CAE/CAMの導入は、全社活性化運動の一環として行われてきた。最初の全社活性化運動「Let's Jump'88」(1987~1988年)が始まった時点で使われていたのは、2次元CADのCADAMのみ。第3次の「グローリー・マスターネットワーク活動」(1992~1996年)が進められた1995年に、2次元CADはICAD/MXへとリプレースされた。また、3次元CADとしては第4次の「開発プロセス革新活動」(1997~1998年)で試験導入した上で、第5次の「開発プロセス革新21活動」(2000~2001年)に先立つ1999年にUnigraphics(現在のNX)を採用した。同社、技術推進部の酒井亨氏は、Unigraphicsの導入を決めた理由を「設計変更にも柔軟に対応できる3次元CADであることを評価しました」と語る。

このような経緯から、グローリーでは3次元のCAD/CAE/CAMを開発プロセス革新活動の“深化”ツールに位置付けてきた。普及推進役の3次元ものづくり研究会が掲げる取り組み方針は、「3次元データを有効に徹底して活用するものづくりを実践する!」こと。商品企画から量産に至る全工程において、3次元データを活用した部門間連携・並行検証を実践することがその具体的内容だ。

「新しい機種は、すべて3次元CADで開発するようになりました。旧機種用の図面を含めても、2006年度の3次元化率は91.9%に達しています」と、酒井氏。「究極的には、試作レスの開発を実現することです」と、同社の渡辺友宏氏は目標を掲げる。

3次元データがメインの設計データへ
協力企業向けに3次元ビューワも用意

3次元データを活用して設計した、最新の通貨処理機

3次元データを活用して設計した、最新の通貨処理機

3次元CADが社内に行き渡り、設計データの大半が3次元CADデータベースに登録されたことを受けて、グローリーは2005年から新たな取り組みを開始した。従来からの詳細図面を3次元データ+簡略図面の組み合わせに置き換える「2次元図面の簡略化」に踏み切ったのである。

この背景には、3次元CADと3次元データ対応製造設備の普及にともなって、詳細図面が実際にはあまり使われなくなってきたという現実がある。製造の現場では3次元データからのダイレクト加工ができてしまうので、図面の詳細部分はほとんど見ていないのだ。また、設計者にとっても3次元モデルと2次元図面の両方を作成することは二度手間となるだけでなく、情報の重複によって間違いが起きる可能性もある。3次元データをメインの設計データとし、図面は見やすさ重視の簡略版にとどめるのが、QCD(品質・コスト・納期)の観点からも望ましかったのである。

この簡略図面は、従来のようにNXで作成した3次元データをICAD/MXに投影するのではなく、NXの3次元データを基にNXで作図することで、3次元データとの完全な連動を実現している。重要な部分以外は省いた図面になるので、複雑な部品もシンプルに表現できるのが最大の特長。簡略図面に付け加えられるのは、3次元モデル側に存在しない公差や注記などの情報だけだ。
「従来比で、寸法の数を約70%削減することができました。また、図面によっては、用紙サイズを小さくできたものもあります」と渡辺氏は語る。

ただ、協力企業との連携については慎重な対応が求められた。3次元CADを持たない企業の場合、これまで通りの詳細図面がなくては製造できなくなってしまうからだ。そこで取られたのが、グローリー製の3次元ビューワを添えて3次元データを渡すという方法。この3次元ビューワはWindowsベースのソフトウェアで、3次元データの形状確認と計測だけでなく、2次元の投影図や断面図を作成したり、寸法を自動的に発生させたりといった使い方にも対応する。情報化投資が進んでいない協力企業でも、従来と同じように製造できるわけだ。

寸法数の70%減が可能にした工数とリードタイムの大幅削減

2次元図面の簡略化は、グローリー社内での試行を経て2007年度下期の新機種から適用が始まり、2008年度内には試作から量産までのすべての工程で使われる。
簡略化によって得られた定量的な効果としては、寸法数が約70%減ったことによる図面化工数の減少が大きい。年間の図面枚数を基にグローリーが行った試算では、工数減によって浮く金額はトレーサーの年間給与にして2桁の人数分に相当する額。トレーサーは付加価値の高い業務にシフトすることになるので、実際の効果はさらに大きくなる。「図面作成から部品検査までのリードタイムも、最大で7日短縮できそうです」と酒井氏は付け加える。

また、渡辺氏は、具体的な数値として表すことが難しい定性的効果ではあるがと前置きしつつ、「設計者が機能検討に集中できるようになることや製造段階での品質向上などが挙げられるでしょう」と語る。

グローリーにおける3次元データを活用したものづくりプロセスは、2次元図面の簡略化をもって構築段階をひとまず終えた。「富士通、およびデジタルプロセスから提供を受けた様々な情報とサポートに助けられて、3次元データを活用するための環境を構築することができました。設計者をはじめとするユーザーは、さらに多くを望んでいます。そうした声に応えるためにも、取り組みをさらに深化させ、対象領域を拡大していきたいですね」と、渡辺氏。NXをはじめとする富士通の3次元CAD/CAE製品は、そうしたものづくりの現場をこれからも力強く支えていく。

3次元ものづくりの総仕上げとして、これまでの詳細図面を簡略図面+3次元データに置き換えた

3次元ものづくりの総仕上げとして、これまでの詳細図面を簡略図面+3次元データに置き換えた

【会社概要】

グローリー株式会社

  • 本社:兵庫県姫路市下手野1-3-1
  • 設立:1944年11月(創業1918年3月)
  • 代表取締役社長:西野秀人
  • 資本金:128億9,295万円
  • 従業員:3,317人(グループ34社総数5,662人)(2007年3月31日現在)
  • 事業内容:
    国産初の硬貨計数機を生み出した企業として、「認識・識別」「メカトロ」技術に強みを持つ。主な事業内容は通貨処理機、情報処理機、自動販売機、カードシステム・サービス機器などの開発・製造・販売・メンテナンス。
  • URL:http://www.glory.co.jp/

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