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導入事例
芝浦メカトロニクス株式会社 様

「リードタイム半減」を目指してエレクトロニクスデバイス製造装置の設計を3次元化
~4万部品のアセンブリ設計をスムーズに行い、「干渉ゼロ」「製造工程の手戻り削減」を実現~

半導体、液晶、ブルーレイディスクなど最先端メディアデバイスの製造装置で世界トップメーカーである芝浦メカトロニクスは、リードタイム半減を目標に設計の3次元化に踏み切った。
当初3種類の3次元CADをトライアル評価したが、4万部品のアセンブリを軽く表示し、3次元設計の実運用に入れたのはICAD/SXだけだった。2007年には、芝浦メカトロニクスの主力CADとしてICAD/SXを位置づけ、その後設計ルール標準化などのインフラを整備。
現在では、設計3次元化を約80%まで達成して、「干渉のゼロ化」「製造工程の手戻り削減」などに大きな成果をあげている。

導入事例キーワード
業種: フラットパネルディスプレイおよび半導体の製造装置
ソリューション:
PLMソリューション
製品:
ICAD/SX

多種多様なエレクトロニクスデバイス製造装置を提供

安部 正泰 様
常務取締役 技術本部長 兼 情報システム部長

本田 晋 様
技術本部 技術企画グループ長 兼 経営変革エキスパート

露木 和雄 様
技術本部 参与

芝浦メカトロニクスは、半導体、フラットパネルディスプレイ、ブルーレイディスクなどの最先端メディアデバイスの製造装置で世界トップレベルのメーカーである。「この2系統だけでなく、きわめてバラエティに富んだ製造装置を作っています。4事業部で9つの製品ラインを持ち、それぞれの製品が、世界一の性能を誇っていたり、当社でないと作れないオンリーワンであったりするのです」と常務取締役技術本部長の安部正泰様は説明する。たとえば極めて高い生産性のブルーレイディスク製造装置や、さらに太陽電池の製造プロセスで不可欠なレーザー加工装置や、マイクロ波を利用して誘導体を加熱・乾燥させる装置などの技術力を誇る。

高精度な機械制御を行うメカトロニクス技術、最適な洗浄や現像を行うプロセス技術、真空やプラズマなどの要素技術が、同社の3つのコア技術なのである。

「お客様のニーズや加工条件に合わせて最適な『レシピ』を作り上げられるのも、当社の特長。『ものを作る機械』を提供するのではなく、製造装置に命を吹き込み、『良いものが作れるトータル環境』を提供しているのです」と技術本部技術企画グループ長の本田晋様は強調する。



一品一仕様生産だからこそ設計の3次元化が不可欠

「ほぼすべてが受注生産で、お客様の要求をそのつど聞いて作る。作る装置の種類が多様であり、一品一仕様も多い。こういうものづくりの企業が生産性を上げるには、設計の3次元化が不可欠でした」と安部様は言う。

たとえば、大量生産品ではないため、試作工程がない。したがって、事前の解析によって問題点をつぶしておくのが極めて重要だ。製造現場でも、同じものを続けて作るわけではないので、組立指示書を、毎回わかりやすく作らなければならない。3次元データを使えば、こうした問題が大きく改善されるのだ。一品一仕様生産だからこそ、設計情報を3次元化して、前後の工程を効率化する必要があった。

エレクトロニクスデバイス製造装置の業界は、韓国などの海外勢が台頭して競争が激化している。中国に大規模工場が次々に作られるなど、ニーズが急速に拡大中だ。新工場へ「製造ラインのすばやい立ち上がり」を提供するために、製造装置には、リードタイムの大幅な短縮が強く求められている。2006年、設計の3次元化へ全社規模で取り組む方針が決まり、「3次元CAD推進プロジェクト」がスタートした。


4万3干部品をアセンブリして軽く動かせたICAD/SX

プロジェクトが目指すのは、コスト削減、リードタイム短縮、品質向上、グローバル対応の4つである。特に、リードタイム短縮の要求は強く、「営業から、設計、調達、製造、据え付けなどに至るトータルで、『リードタイム半減』を目標としました」と技術本部参与の露木和雄様は語る。

これらの目標を達成するには、まず、3次元CADを全社に普及させなければならない。

プロジェクトチームは、2006年上期に、3次元CAD製品を比較検討したうえで、導入候補を最終的に3製品に絞り込んだ。具体的には、これまで使っていた2次元CADの3次元版に相当する製品、ハイエンドCAD製品、ICAD/SXである。これら3製品について、操作性や大規模アセンブリの扱いなど、11項目の評価点数表を作り、4事業部の9製品ラインそれぞれで、試用したいCADを自主的に選んでもらった。

ところが実際に使ってみると、実務に耐えられたのはICAD/SXだけであった。芝浦メカトロニクスの場合は、中型の製造装置でも4万点程度の部品で構成されているのが普通だ。個々の部品構造も複雑だ。

「ICAD/SXは、4万3000点をアセンブリしても、画面上で楽に回転させたり修正したりできました。他のCADは、設計が進むにつれて3次元モデルが増えるのですが、1万点をアセンブリした段階でパソコンがフリーズしてしまい、そこから設計を進めることができませんでしたから差は歴然でした」と生産・調達本部生産技術グループ主査の若松久道様は言う。現在では5万8000部品をアセンブリして動かしている部門もある。

「設計を3次元化すれば、設計者に負担がかかります。それでも3次元化に踏み切ったのは、干渉チェックをきちんとして製造工程での手戻りをなくし、可視化によって組立工程を効率化したいからこそ。つまりアセンブリして全体を見られないと、3次元化に踏み切った意味がありません」と露木様は、膨大な点数のアセンブリを軽快に動かせることの重要性を語る。

操作性に優れているのも、ICAD/SXの大きな特長だった。ハイエンドCADを選択した製品ラインは、操作を覚えるのが大変で苦労していた。既存2次元データを利用して3次元モデルを作る作業も、同じ2次元CADメーカーが作った3次元版ツールを使う以上に、ICAD/SXを使ったほうがはるかに簡単にすばやくできた。

さらに、「他のCADは拘束条件を与えないと3次元形状ができません。ICAD/SXはノンフィーチャーベースであるため、設計者の思考を妨げずすばやく作業ができるのです」と若松様は言う。



立ち上げフェーズの再評価によりICAD/SXにて統一

3次元CADの試用に取り組んでいる9製品ラインのうち8製品ラインの設計3次元化の障害に気がつき、3次元CAD推進プロジェクトチームは、「自分たちの仕事に沿って、3次元CADを再評価すべきだ」と反省。2006年下期に、実用化検証チームを組織し、3製品の機能比較をやり直した。

「今度は、9製品ラインからCADリーダを集めて、実際のデータを使って検証をしました。3人ぐらいずつでチームを組み、大規模アセンブリ、操作スピード、データ量、図面化などのテーマごとに、3次元CADを徹底的に比較しなおしたのです」(露木様)。

ICAD/SXは、ほとんどのテーマで高い評価を得た。例えば、図面化作業一つとってみても実際設計者が使えると評価したのはICAD/SXだけで、他の欧米のCAD製品を圧倒していた。こうした実用化検証の結果を示したうえで、2007年に再度、利用するCADを選んでもらったところ、7製品ラインがICAD/SXを選択した。

2007年、ICAD/SXは、芝浦メカトロニクスにおける主力CADの地位を獲得した。
現在では、9製品ラインすべてで使われるようになっており、ライセンス数は約100台に達している。

主力のCAD製品が決まった2006年から2007年にかけては、立ち上げ準備を行った。ICAD/SXの教育は、公式の5日間コースを活用しながら、3年間で延べ1300人日に及んだ。

インフラ整備も進めた。インフラ整備の中心になったのは、さまざまなルールづくりである。パソコンの設定を標準化したり、色表示の意味や名前の付け方などの決めごとを統一したり、モデルデータの作り込みレベルも「推奨レベル」を定めた。

設計手順も標準化し、出図ルールも決めた。この手順とルールに沿って、ICAD/SXの部品表も最適化した。設計のどのプロセスでどの属性を人力するかの作業フローを標準化し、属性入力画面も独自にカスタマーイズしたのである。項目の表示順なども整理したので、部品表をCSV出力した後、他の管理システムともスムーズに連携できる。

「富士通の立ち上げ支援は的確でした。インフラ整備では、われわれでは気がつかないところがどうしても出てきますが、コンサルティングサービスで網羅的にカバーしてくれました。また、『この部分を標準化したい』と相談すると、他の事例を教えてくれるなどのきめ細かいサポートも、大変に助かりました」と露木様は評価する。

富士通のヘルプデスクサポートも、スムーズな全社普及に役立った。

「ICAD/SXのサポート窓口は、レスポンスが速い。問い合わせを受けたオペレーターの一次回答で、だいたいの用が足りるのも良いところ。設計作業をストップしたまま、サポート窓口からの折り返し電話を待つのは、設計者にとっては大変な苦痛ですからね」と若松様はにこやかに付け加えた。



製造現場での3次元ビューワ活用で組立手順も正確に把握

3次元設計は、さまざまな製品開発でさまざまな成果をあげており、3次元データを構造解析に活用して大きな成果を上げたケースもある。

「もともと700kgの重量があった製造装置の設計を3次元化、ICAD/SXと解析ツールの間で スムーズにデータをやりとりして設計変更を重ねた結果、290kgと大幅な軽量化・コンパクト化に成功。使用する部材も大幅に減り、製造コストも大幅に削減できた部門もあります。」と生産・調達本部製造技術グループ主査の山崎広夫様は言う。

組立・製造工程での3次元データ活用も進んでいる。今までは、組立手順書がなく図面だけの場合、組立作業者にはこれを読み取る経験とスキルが必要だった。

ところが現在では、作業指示書から、組立手順書、組立後の精度測定要領書まで一貫して、3次元のアイソメ図や分解図を駆使してわかりやすいものを提供している。しかも、現場のディスプレイには、ビューワも表示されている。したがって作業者は、組立手順書を見て、不明点があれば、ビューワで部品の裏側を見たり、注目の箇所を拡大表示したりする。スキルのまだない新人でも形状を直感的に理解して、ミスなく組立作業ができるようになった。しかも設計者は、社内で組み立てる製品については、組み立て図を作成する必要がなくなった。組み立て図作りがなくなっただけで、設計工数が25%削減できた部門もあるほどだ。



設計3次元化の効果測定にも独自手法を確立

設計3次元化の効果を測定する手法の確立にも取り組んでいる。「3次元化効果を数値化するのはむずかしいですが、今後の展開を考えるうえでも、何らかの形で指標を作っておく必要があります。その際に、定性的効果と定量的効果の2本立てで評価するのが、実状に合っているようです」と露木様は説明する。

同社は、独自の「効果集計シート」を作成した。これは、ジョブ一覧と、どのプロセスで3次元CADを利用したかといった情報と、利用効果を記入するマトリクス表であり、番号にマークする部分と、自由記入欄が組み合わせてある。

このシートを現場に配るだけでは、全部門が同等レベルで効果を判断するとは限らない。そこで、3次元CAD推進プロジェクトの事務局メンバーが、現場を回り、ヒアリングして、記入を行っている。

「たとえば干渉について、2次元設計だったら何カ所ぐらい発生したと思われるか、3次元設計では実際に何ヵ所発生したか、それは、いくらにコスト換算できるかなどを聞き出して記入しています。定性的な要素から定量的な効果を類推する努力を重ね、できるだけ正確な定量情報を蓄積して、これをもとにした指標を作ろうとしているのです」と技術本部技術企画グループ主査の高木愼一郎様は苦労のほどを語る。

定量的な効果として特に顕著なのは、製造工程に入ってからみつかる干渉がほぼゼロになり、手戻りが大幅に減っていることだ。「たとえ1ヵ所の干渉でも、組立段階に入ってからみつかれば、対処に数十万円から数百万円かかりますから、設計段階で『干渉ゼロ』を達成できるようになった効果は、かなりのコスト削減につながっています」と高木様は言う。



設計の前後工程でさらに広がる3次元データ活用

芝浦メカトロニクスでは、設計の3次元化はほぼ80%を達成した。新規案件はほとんどすべて、3次元設計が行われている。今後は、設計そのもののスピードアップも図っていく。そのために、流用設計や、ノウハウのモデル化を行う計画だ。最終的には、3次元データに設計・製造・調達情報を一体化した3D単独図を使って、部品メーカーや材料メーカーとのやりとりを効率化したいと考えている。

製造装置の据え付け作業でも、3次元データを活用できるのではないか。保守フェーズでも、客先の現場担当者との問で交換部品を正確に把握するために、3次元データが活用できるのではないかと構想はふくらんでいく。

「3次元設計という形はできたので、これから、この形に魂を入れていきます。設計者のスキルももっと上げたいし、営業の3次元データ活用なども企画していきたい」と安部様は意欲的に語る。

「リードタイム半減」という目標を達成して、世界市場での競争に打ち勝っていこうと、芝浦メカトロニクスは、さらなる3次元効果の拡大に工夫を重ねているのである。


【会社概要】

芝浦メカトロニクス株式会社

  • 本社:神奈川県横浜市栄区笠間2-5-1
  • 設立:1939年10月12日(株式会社芝浦京町製作所)
  • 資本金:67億6100万円
  • 売上高:連結490億1300万円、単独370億600万円(2008年度)
  • 従業員:連結1694人、単独964人(2009年3月31日現在)
  • 事業概要:
    フラットパネルディスプレイおよび半導体の製造装置メーカー。
    特に、洗浄装置、真空貼り合わせ装置、液晶パネルへのIC接合装置であるアウターリードボンダなどの世界シェアが高い。1939年12月に株式会社芝浦製作所に商号を変更して以来、約70年間で、東芝・芝浦製作所・徳田製作所・東芝精機の4社の力を結集、さまざまな変遷を経て、1998年から現在の事業構造と社名になった。
  • URL:http://www.shibaura.co.jp/  (新しいウィンドウで表示)

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