導入事例
JFEエンジニアリング株式会社 様
大量部品を高速に表示できるICADだからこそ
円筒形・中折れ機構での総組み上げ干渉チェックを実現
トンネル掘削に使われるシールドマシンは、独特の円筒形構造や中折れ機構ゆえに干渉チェックが難しいという特性がある。国内外に累計500基以上のシールドマシンを納入してきたJFEエンジニアリングは、この問題を富士通の3次元CAD「ICAD/SX Mechanical PRO」で解決。仮組みでの修整回数/時間を減らしたり、仮組み作業を効率化したりといった成果に結び付けた。現状では2次元・3次元併用だが、将来的には完全に3次元設計へと移行の予定。海外グループ会社での3次元設計教育を進めることにより、この構想を実現しようと地道に取り組んでいる。
| 導入事例キーワード | |
|---|---|
| 業種: | 製鉄/鋼材加工/造船技術 |
| ソリューション: | PLMソリューション
|
| 製品: | ICAD/SX
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小林 暁 様
JFEエンジニアリング株式会社
産業機械エンジニアリング事業部
重工部 シールド機械技術室長
地下鉄や下水道など、都市の地下には数多くのトンネルが存在している。このトンネルを掘るために使われるのが、鋼鉄製円筒の一方の断面に掘削機を備えたシールドマシン(シールド掘進機)と呼ばれる建設機械だ。JFEエンジニアリングは1979年からシールドマシンの設計・製作を手がけており、例えば、首都圏の道路トンネルの掘削工事にも同社のシールドマシンが様々なところで採用されている。
ごく初期のものを除き、JFEエンジニアリングではCADを駆使してシールドマシンを設計してきた。1980年代に登場したパソコン版の2次元CADを活用することにより、「図面データの再利用だけでなく、コンペティションを制する差別化ポイントともなりました」と産業機械エンジニアリング事業部 重工部でシールド機械技術室長を務める小林暁様は振り返る。
さらに、2000年代に入ると3次元設計への取り組みも開始した。「これからは3次元CADが主流になると思いました」(小林様)というのが、理由の1つ。また、シールドマシンならではの設計ニーズも、2次元設計から3次元設計への移行を促していた。「シールドマシンは円筒形のスキンプレート(甲殻)の中に機器や部品を収めるので、2次元図面では取り合いを確認するのが難しいのです」と小林様。急曲線トンネル用の中折れ機構が一般化するにつれて、取り合いを確認する干渉チェックはさらに困難になったという。
富士通のICAD/SXを採用して2次元CADのデータを活用する
このような背景から、JFEエンジニアリングは、あるミッドレンジ3次元CAD製品を2001年に試験的に導入した。その結果わかったのは、2次元CADとの連携が可能な製品でないと作業量がかえって増えてしまうということ。「最初に試した製品はそれまで使っていた2次元CADから部品や図面のデータを引き継ぐことができず、本格導入の候補とはなりませんでした」と小林様は話す。
全設計者が干渉チェックに活用 仮組み作業の効率化にも役立つ

地下鉄や下水道用のトンネルを掘るシールドマシン。鋼鉄製円筒の一方の断面に掘削機がある
代わって2003年に導入されたのが、富士通の3次元CAD「ICAD/SX Mechanical PRO」である。採用の決め手となったのは、3次元設計と2次元設計の両方を1つの製品内で行えること。また、オプションの各種トランスレータを追加すれば2次元CADの図面データをDMN-DOS/DXF/DWG/IGESの各形式で精度よくインポート/エクスポートできることも高く評価された。
導入にあたり、JFEエンジニアリングはシールドマシンの設計に携わる技術者に教育を実施して、全員がICAD/SXを使えるようにした。ただし、シールドマシンを構成する部品(大きなものでは数千点のオーダー)のうち60~80%は既存図面を基に設計・製作されていることから、現時点では2次元設計と3次元設計を併用中。ICAD/SXの3次元CAD機能は、主に取り合いの確認や干渉チェックをするために使われている。
ICAD/SXの導入によって達成された成果として、小林様は干渉チェックを容易に行えるようになったことを第一に挙げる。「スキンプレートが円筒形であることと、中折れ機構を備えたものが大半を占めていることから、シールドマシン設計では取り合いの確認に手間がかかります。複数の視点から作図しても2次元図面では部分的にしか見えません。したがって、接触していないように見えても実際には接触していることがあるのです。しかし、大量部品を高速に表示できるICAD/SXの3次元表示なら、動作もスムーズで部品の位置関係も一目瞭然。事前のシミュレーションで詳細な確認ができるので、部品製作後の仮組みで問題が発見される回数や修整に要する時間も減っています」と小林様は語る。実際、試用した他社製のミッドレンジ3次元CADでは、部品点数が数千に及ぶシールドマシン設計に展開することは難しかったという。
機構シミュレーションにも適用 地道に3次元設計へと移行

「ICAD/SX」でシールドマシンの円筒内部や中折れ機構での干渉をチェック

「ICAD/SX」で機構シミュレーション。折り畳み式作業ステージの仕組みを分かりやすく表示できる
小林様は「2次元図面を読んで組み立てるという従来方法では、部材の向きを間違えることが時々ありました。3次元の立体図なら時間をかけて読まなくても理解でき、読み間違いを防げます」と、仮組み作業そのものがスムーズに進められるようになったことを評価している。
さらに、進行中の取り組みとしては、機構シミュレーションへの適用もある。「折り畳み式の作業デッキを設けるような場合、作業デッキ本体や手すりがどのように格納されるかを示すのにICAD/SXの機構シミュレーションが便利に使えます」(小林様)。さらに複雑な動きの検証を実現するために、小林様は最新のICAD/SX Version6の同期モーション機能との組み合わせも考えているという。
シールドマシン設計を3次元設計へと移行する――。この構想の完全実現に向けたJFEエンジニアリングの取り組みは、これからも地道に続けられていく。そのための1つの試行として行われているのが、海外グループ会社での3次元設計教育だ。3次元モデルを海外で作成することによって3次元モデルの蓄積を急ぎ、ある程度蓄積されたところで3次元設計へと完全移行しようというのがその目論見。「大型建設機械業界でICAD/SXが適用されると設計者が楽になるので、普及率がさらに高まるべきでしょう」と小林様は期待を寄せる。
【会社概要】
JFEエンジニアリング株式会社
- 東京本社:東京都千代田区大手町2-6-2
- 横浜本社(鶴見事業所):神奈川県横浜市鶴見区末広町2-1
- 設立:2003年4月1日
- 資本金:100億円(2009年1月現在)
- 従業員:約1,800名(2009年1月現在)
- 事業内容:設立母体となった川崎製鉄とNKKの製鉄/鋼材加工/造船技術とをコアに、広範なエンジニアリング領域に強みを持つ。シールドマシンでは、1979年の第1号機以来、国内外に累計500基以上の納入実績を持つ。
- URL:http://www.jfe-eng.co.jp/
【製品】導入した製品
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