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導入事例
IHIメタルテック株式会社 様

設計のフロントローディングによりさらなる構造改革に挑戦
~巨大な産業機械の大規模アセンブリ設計にICAD/SXを利用~

IHIメタルテック株式会社では、3次元CADを利用して業務プロセスを変革し、大幅なコスト削減と納期短縮を追求するプロジェクトを推進している。ワーキンググループは、この構造改革の中核となる3次元CADとして、「ICAD/SX Mechanical PRO」を選択。設計の早い段階で、他の工程とも情報を共有・フィードバックしながら、調達や生産準備も前倒しで進めるフロントローディングに取り組んでいる。

導入事例キーワード
業種: 鉄鋼・非鉄用各種圧延設備、連続鋳造設備、プロセスライン設備およびそれらの制御装置に関するエンジニアリング、販売
ソリューション:
PLMソリューション
製品:
ICAD/SX

巨大、精密、膨大な部品数。3次元の適用が困難であった装置産業

松下 俊郎 様
IHIメタルテック株式会社
代表取締役社長

百々 泰 様
IHIメタルテック株式会社
技術部 部長代理

圧延設備の領域でも、IHIメタルテックの特長は「世界で最も大きい厚板用圧延機から、最も薄いアルミ箔、銅箔を圧延する圧延機まで」さまざまな製品を作ってきたことである。厚板用圧延機としては、巨大なタンカーの外板用に、幅5.5メートルの巨大な鉄板を圧延する機械を作った実績がある。この厚板用圧延機の中核部品、ハウジングは約250から380トンにも及ぶ場合があるという世界最大級の強固な鋳物である。製造してから30年から40年は動き続けるという長寿命も、巨大産業機械の特徴であろう。「受注から納入までの期間も、他の製品と比べて桁違いに長いのです。通常は2~3年かかり、これらの期間の約3分の1が、設計などのエンジニアリング工程です」と、代表取締役社長 松下俊郎様は圧延機事業の特性を語る。


作るものが巨大であるだけに、部品点数も2万~10万点、あるいはそれ以上になる。設計図面の枚数も膨大な数に達し、厚板用圧延機では1万枚以上に達する。しかも、圧延設備は客先ごとに仕様が異なる「一品生産」であり、図面は毎回ゼロから書き直す場合もある。時間をかけて3次元形状の部品を作っても、次の設計でそのまま流用できる可能性は低い。部品点数が多いため、3次元の部品データをアセンブリした場合、データが重くなり、装置全体の見る方向を変えることすら表示速度が遅くて使えない。限られた期間内に万枚単位の図面を作らなければ装置が完成しないため、紙図面の生産性が強く問われる。つまり、これまでは、3次元設計がなじまない領域だと考えられていた。



装置産業でも不可欠になってきた構造改革とフロントローディング

産業機械メーカー間の競争は激化しており、大幅なコスト削減と納期短縮によって競争力を高めるには、構造改革が不可欠になっていた。

一方通行的な仕事の流れを改め、設計意図を早期に開示して現場からのフィードバックを得るフロントローディングを行いたい。最終的には、設計がまだ計画段階にあるうちに、調達、製造準備、据え付け準備などを並行して進めなければならない。これだけの大改革には、3次元CADの導入が避けては通れない。当時のIHI産業システム事業部内に設計者を中心とする最初のワーキンググループが発足したのは、2002年10月のことである。

ワーキンググループが最初に取り組んだのは、3次元CADの適用手段ではなく、現状のプロセスの見直しと分析作業であった。業務プロセスのどこに課題があるか、それらの課題の中で、3次元CADによって解決できるものは何であるかを具体的 に絞り込んでいった。3次元CADの導入が目的ではなく、構造改革の手段の一つにすぎないことを、ワーキンググループのメンバーはよく理解していたからである。

「当社のルーツである造船は、航空と並んで、3次元設計の導入が最も早かった領域です。造船や航空では、複雑な自由曲面を扱い、解析結果をタイムリーに設計へ活かすために3次元設計が必要でした。しかし、産業機械は違います。手間をかけずできるだけ早い段階で、巨大な装置の大規模アセンブリによる組み立て配置検証を行い、さらにその理解を設計者、お客さま、製造、調達スタッフなど、皆で共有できること。これがわれわれ独自の3次元CAD導入の目標なのです」と、機械技術部 部長代理 百々(どど)泰様はワーキンググループの成果を紹介する。



巨大な装置の大規模アセンブリに適した3次元CAD・ICAD/SX

目的を明確にしたところで、その目的の実現に最適なCAD製品の選定を開始した。最終的にフィーチャーベースのミッドレンジCADと、ノンフィーチャーの「ICAD/SX Mechanical PRO」の2種類に絞り込み、実データを使ったトライアルと3次元ベンチマークテストを行った。「最初の段階では著名な3次元CADを網羅して、合計7~8種類は検討しました。いろいろ比べましたが、ベンダーの説明はほとんど同じ。1種類だけ違っていたのが、ICAD/SXでした」と百々様は振り返る。他の3次元CADは、アセンブリ時の表示速度が極端に遅くなるため、救済手段としてViewerソフトと組合わせた運用の提案をしてきた。しかし、ICAD/SXではCADの実データで高速処理が可能なため、Viewerへのデータ変換や表示画面の切り替えなどの煩わしさがない。また、他の3次元CADは、「自由曲面がこんなに描ける」と、その部分ばかり強調した。だが、産業機械に自由曲面はそれほど必要ない。むしろ、部品やユニットをアセンブリした状態で、周囲のあたりを見ながら3次元編集する必要があるため、アセンブリ時の表示性能が重要である。ICAD/SXは、そのことを理解し、実際の設計シーンを想定して高速表示を実現した唯一の3次元CADであった。「できるだけ早く巨大な装置の組み立て配置検証を行いたい」というIHI圧延機事業の導入目的にかなった製品であると感じさせたのである。2種類のCADをトライアルで使ってみての操作性の評価も、ICAD/SXの方が高かった。

「フィーチャーベースでは、最初に部品同士の拘束関係を整理して把握していなければ先へ進めません。ここで、疲れてしまうんですね。ICAD/SXは、拘束条件を意識せず、設計者の意図をすばやく容易に3次元表現できます。設計者の思考を妨げないCADだと感じました」と百々様は言う。



解析連携で、部材最適化から製品コスト低減までも実現

解析ソフトをはじめ、他システムとのデータ連携に優れているのもICAD/SXの特長である。

IHIの圧延機事業では、メインフレーム用であるCADAMを長年にわたって使用してきた。他の3次元CADでは、既存のMicroCADAMデータを見ることしか使えず、簡単に流用できないのに対し、ICAD/SXでは事前に整形する必要がなく、スケッチャーや図面データとしてそのまま使えたという。さらに、これからのCADは他システムとの連携性が強く求められ、その点でICAD/SXは高速表示を可能としている独自カーネルのFCソリッドと、これから主流になっていくParasolidを採用しているために安心だったという。実際、解析ソフトとのデータ連携は、Parasolidでスピーディかつダイレクトに行える。「有限要素法解析ソフトのNASTRANで付属のモデラーを使うと何日もかかっていた形状入力が、ICAD/SX経由なら半日で入力できました。今では設計自身をICAD/SXで行っているので、数値を変更してのシミュレーションも短時間で何度もできます。結果を得るまでに1週間かかっていた複雑な解析が、最近では、その日のうちに完了できるようになりました」と松下様は喜ぶ。スピーディに3次元形状を生成できるICAD/SXとParasolidの連携によって、高度な解析を気軽に行えるようになった成果は大きい。まず、解析を駆使しての部材最適化が、部材コストの最適化につながっている。さらに、仕上がり製品が大きいだけに、部材コストの削減は、製品コスト全体の大幅な低減にもつながっているのである。


ノンフィーチャーに加え、パラメトリック的な操作性も併せ持つICAD/SX

IHIメタルテック株式会社では、圧延機事業に携わる関係会社、外注設計を含め全面展開する3次元CADとしてはICAD/SXを選定。ICAD/SXは、データが軽く、表示速度も圧倒的に速い。モデリングもしやすい。ノンフィーチャーの自由度の高さと、同一形状の自動認識、一括編集機能など、パラメトリック的な操作性とをあわせ持ち、設計生産性の向上と設計期間の短縮に大きな効果をあげている。設計の早い段階で大規模アセンブリと配置検証をつかみ、受注仕様と設備構造を多くの人に伝え、共有するうえでもICAD/SXは威力を発揮している。

圧延機の新規開発プロジェクトでは、概略設計の段階でICAD/SXデータからアニメーションを作り、客先にプレゼンテーションしたところ、好評を博した。3次元の絵が動いて新機種の性能をアピールしたため、見る人の感覚へストレートに訴えることができたのである。

さらに、ICAD/SXでは立体的な形状を画面で見ながらその場ですぐに修正できるため、意思の疎通が非常にスムーズだったという。また、操作習得に関しても、3次元CADを使ったことのない新人でも、特別な教育なしに使いこなせるようになった人もいた。


国産CADならではのきめ細かいサポート。配管設計機能も充実

IHIメタルテック株式会社では、ICAD/SXを選択してよかったと判断しているもう一つのポイントは、開発元から、国産CADならではの手厚いサポートが受けられることである。

「ICADの開発元は、自社が抱える課題に真面目に取り組んでくれました。あるものは、共同開発として協力することで次世代ICAD/SXに取り組むことを検討してくれていますし、あるものは『ICAD/SXの機能として実現するのは無理ですが、こういう運用の工夫で、解決できないでしょうか』と提案してくれました。とにかく、すべてに対して、前向きに回答してくれたのです」(松下様)。

IHIの圧延機事業では、過去に配管設計で苦労してきた。圧延機の場合、本体の周囲に膨大な配管を必要とする。だが、10年も前から配管設計ソフトを各種試してきたが、既存のソフトウェアで圧延機の設計要件を満たすものはなかった。「通常の配管設計ソフトは石油精製などプラントで使用するため、比較的曲がりが少なくて、シンプルな配管に向いています。ところが産業機械では、機械に密着して水や気体や油を流す配管が縦横無尽に展開します。」(松下様)。曲がりくねりも多すぎて、通常の配管設計ソフトは、機械・装置での3次元配管・配線設計には向いていないのである。

ICAD/SXの開発元は、IHIの圧延機事業に装置配管設計のモデルユーザとして開発協力を求め、3次元配管・配線ツールの完成度を上げている。また、IHIメタルテックは、ICAD/SXを機械装置設計用として、その実力を唯一認めている3次元CADだが、まだまだ進化できるとみており、一緒に育てたいという。


3次元化により設計製造のリードタイムを大幅に短縮

IHIメタルテック株式会社のワーキンググループは、構造改革という大きな目標を掲げつつ、さまざまな成果を出しつつある。

まず、新規の受注案件はほとんど全て3次元設計を実現しているが、装置の仕様検討に時間を要するものほど3次元化の効果が非常に大きいという。つまり、3次元設計とフロントローディングにより検討や問題の抽出が前倒しでき、製造・組み付け段階における手戻りが激減したのだ。その結果、設計リードタイムの大幅な短縮を実現したという。

また、2009年4月より設計の前工程である計画設計や、後工程である製造組み立て段階にも3次元化が推し進められている。計画設計では、案件ごとにトン単価を算出したり過去の実績ベースを参考にしたりと異なっている見積手法を、ある程度共通化・効率化することを進めている。例えば、ベアリングだけやシリンダだけを集計して見積り算出することを、ITツールとICAD/SXとを連携させて実現することにも取り組んでいる。

さらに、据え付け段階では、現地作業を支援するアニメーションを作成し、工程検討や安全性の確保に役立てている。また、納入した製品に対するお客様の保守・メンテナンス作業を支援するアプリケーションの作成にも取り組んでおり、設計で作成した3次元モデルが設計以外の部署やエンドユーザーにもその活用が広がってきている。

IHIメタルテック株式会社の真剣な取り組みは、他の産業機械メーカーや装置産業全体にまで3次元設計の新しい波を伝えていくことになるに違いない。

【会社概要】

IHIメタルテック株式会社

  • 本社:東京都港区新橋5-10-5 ダヴィンチ新橋510ビル2階
  • 設立:2005年5月20日
  • 資本金:288百万円
  • 従業員:91名
  • 事業概要:
    鉄鋼・非鉄用各種圧延設備、連続鋳造設備、プロセスライン設備およびそれらの制御装置に関するエンジニアリング、販売
  • URL:http://www.i-webspace.com/IHI_Metal_Tech/index.html  (新しいウィンドウで表示)

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