導入事例
エンシュウ株式会社 様
設計から組立まで3次元モデルで一気通貫
全工程での「トータルコスト30%削減」を目指す
大手工作機械メーカーのエンシュウは、FTL(フレキシブル・トランスファ・ライン)やFMS(フレキシブル生産システム)の全設計工程を3次元化する3年計画を策定。変革1年目である現在は、2次元/3次元が表裏一体に融合し、超高速な「ICAD/SX Mechanical PRO」を新システムラインの設計に実際に適用し、かなりの成果を上げている。設計着手から組立工程前までの全設計工程を3次元一気通貫化する直近の目標は、組立やテストランなどの後工程で露呈してしまう不具合を半減させること。これを徹底して最終的には全工程の「トータルコスト30%削減」を目指している。
| 導入事例キーワード | |
|---|---|
| 業種: | 工作機械製造、二輪車用エンジンなどの部品加工 |
| ソリューション: | PLMソリューション
|
| 製品: | ICAD/SX
|

山下 晴央 様
エンシュウ株式会社
工作機械事業本部 技術部
メカ設計グループ
部長

高林 準 様
エンシュウ株式会社
工作機械事業本部 技術部
メカ設計グループ
主査
工作機械メーカーのエンシュウは、国内のほぼすべての自動車メーカー、さらに海外の多くの大手自動車メーカーにFTL、FMSなどの生産システムラインを納入してきた実績がある。
同社では、1997年から、標準CADとしてICAD/SX Mechanical PROを活用。当初は2次元中心の利用だったが、現在は3次元に移行中。現在2次元と3次元合わせて186台を使用している。
システムラインは、顧客の工場での要求に合わせて設計を行う完全受注生産である。これまでは、構想設計・詳細設計・出図という基本的な流れにはICAD/SXの2次元機能を用いて、大事なところだけを3次元化して干渉チェックや構造解析を行っていた。
しかし最近は、システムラインの要求仕様は厳しくなる一方で、開発期間はますます短くなっている。例えばシステムラインのMTBF(平均故障間隔)は、かつては2,000時間程度だったが今日では5,000時間レベル。開発期間も10年前の1年程度だったのが半年以下だ。
一方で、システムラインは、現場で組み上げて完成する「一発勝負」の要素が強い。組立工程で干渉が見つかったり、組み上げた後の検査工程で、サイクルタイム(生産スピード)が仕様に満たないことが判明したりすれば、設計変更や作り直しに多大なコストがかかる。「納期短縮・信頼性向上などの要求に応えつつ、経営的な利益を確保するには、製造・組立・検査などの後工程で発生する不具合を減らすことが必須です。つまり、システムラインの設計全体を3次元化し、設計工程で干渉チェックやシミュレーションを徹底的に行い、問題点を上流で解決することが不可欠になってきました」と、同社の山下晴央氏は語る。
こうして2007年4月、設計着手から組立までを3次元モデルで一気通貫させようという「3Dプロジェクト」が発足したのである。

エンシュウの設計全工程3次元化へのスケジュール
ICAD/SX導入の協力会社も3次元化を強力に支援

ICAD/SXによるシステムライン設計の画像例
3Dプロジェクトは、2010年までの3年計画を立て、実行を開始した。
1年目は、3次元モデルを用いた大きな仕事の流れを作る。2年目は、CADとCAMを連携させて、設計と製造工程をつなぐ。さらに、市販のシミュレーションツールを用いて、サイクルタイムをはじめとするシステムラインの性能を、設計工程で事前にチェックする体制を確立する。そして3年目は、全工程3次元化の流れを全社に定着させ、組立工数削減、利益率向上などの成果を出していく計画である。
現在、1年目の取り組みを展開中だが、当初の最大の懸案は、約30社の協力会社の賛同が得られるかどうかだった。
同社の高林準氏は、「システムラインは仕様を決定した後、装置ごとに分割し、設計協力会社に詳細設計をしてもらいます。このため、設計協力会社にも自ら投資頂き3次元設計に踏み切ってくれることが、全工程の3次元化の大きなポイントなのです」と説明する。
そこで協力会社への方針説明会を実施、3Dプロジェクトの全体像を打ち明けた(左ページ図)。この説明会を境に協力会社の3次元CAD導入がせきを切ったように進み始めた。
高林氏はさらに「設計協力会社の約半数はICAD/SXの2次元機能を使っていたこともあり、3次元にも比較的スムーズに移行できたのだと思います。例えば、2次元の感覚で設計して後から3次元化もOKなど、2次元と3次元が融合されています」とICAD/SXを評価する。
動きが軽快でレスポンスが良いこともICAD/SXの特長だ。
ボルトなどまで含めると数万点の部品で構成される母機、そして、これを数十台組み合わせてできあがるシステムラインを、1つの画面で表示できる3次元CADは極めて貴重な存在である。
「社内や顧客へのDR(デザインレビュー)は、システムライン全体が見えないと意味がありません。ほかのCADでは全く動かなかったユニットもICAD/SXでは非常に軽く動く。標準CADをICAD/SXにしておいて良かったというのが実感です」と高林氏は語る。
直近の目標は後工程での不具合発生率の半減
目指す効果は、後工程での不具合発生率の半減である。現在、後工程で発見される不具合の中でも、「サイクルタイムが要求仕様を満たしていない」「ユニットの干渉」「切粉の排出不良」などの事項は、設計段階での干渉チェックとシミュレーションツールでつぶせる。設計したシステムラインを使って自動車部品を生産・加工した場合のワークをバーチャルに測定するツールも、3次元データさえあれば利用できるのだ。
すでに、パイロットプロジェクト第1号はかなりの成果を上げている。2008年3月納品予定のこの新しいシステムラインは、干渉チェック、DR、CAM連携、生産・加工の事前シミュレーションを積極的に行ったことで、3Dプロジェクトの目標を相当なレベルまで達成できる見込みである。
「不具合発生率を減らせば、製造・組立工程は大幅に工数が減ります。さらに、部材を、まとめて発注したり追加手配や部品修正がなくなったりすることで、コスト削減効果も大きくなるでしょう」と山下氏。
「全工程で30%のコスト削減」を最終目標に掲げて、エンシュウはさらなるチャレンジを重ねていく。
【会社概要】
エンシュウ株式会社
- 本社:静岡県浜松市南区高塚町4888番地
- 設立:1920年2月5日
- 代表取締役社長:中安茂夫
- 資本金:46億4,085万円
- 従業員:連結914人(2007年3月期)
- 事業内容:
工作機械メーカー大手。工作機械製造と、それを使った二輪車用エンジンなどの部品加工を2本柱とし、第3の柱として光関連事業を開拓中。工作機械としては、FMS、FTLなどのシステムラインのほか、マシニングセンタなどの汎用機も製造。 - URL:http://www.enshu.co.jp/
【製品】導入した製品
詳細事例
さらに詳しい情報が掲載された事例集は、資料請求からお申し込みください。



