Fujitsu The Possibilities are Infinite

導入事例
コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 様

電磁波シミュレーション活用によりEMI対策に要する時間を4分の1に削減

コニカミノルタビジネステクノロジーズは、EMI対策を行う目的で富士通の3次元電磁波解析ソフトウェア「ACCUFIELD(アキュフィールド)」を導入した。ハーネスや基板をモデル化して解析することで、数値化された設計ルールを策定。その設計ルールにより、設計段階でのノイズ低減を実現した。ノイズ対策に要する時間は、約2,000時間から約500時間へと大幅に削減。そして、ノイズ対策の品質と効率をさらに高めるために、同じく富士通の3次元電磁波解析ソフトウェア「Poynting(ポインティング)」を利用した基板丸ごとの解析も手がけ始めた。

導入事例キーワード
設計品: デジタル複合機(MFP)・レーザープリンタ
ソリューション:
PLMソリューション
製品:
ACCUFIELD

コニカミノルタビジネステクノロジーズは、デジタル複合機(MFP)やレーザープリンタの開発・製造・販売・サービスを手がけているメーカーである。最新のカラーレーザープリンタ「magicolor 5570」は、4本のレーザービームを同時に照射する4連タンデム方式を採用。高速CPUや独自開発Dual ASICとの組み合わせによって、カラーで30枚/分(A4縦)の高速印刷を実現している。

コニカミノルタビジネステクノロジーズの最新のカラーレーザープリンタ「magicolor 5570」

コニカミノルタビジネステクノロジーズの最新のカラーレーザープリンタ「magicolor 5570」

そうしたコニカミノルタビジネステクノロジーズが電磁波不要輻射(EMI)のノイズ対策に富士通の電気CAEソリューションを導入することにしたのは、1990年代に始まったMFPのデジタル化がきっかけだった。光学・機械部品の比重が高いそれまでのアナログ機と違って、デジタルMFPには高いクロック周波数で動作する回路が多数組み込まれている。これらのデジタル回路から発生する電磁波は筐体やハーネス(組み電線)を伝わって外部に放射されるため、無対策のままでは各国の基準値を超えてしまう可能性がある。「デジタル機から放射される電磁波の強さは、アナログ機とは格段の差があります」と語るのは、同社の野村毅氏。レーザープリンタの開発でEMI対策に取り組んできた人物だ。

対応が求められていたのは、このEMI対策に要する期間をいかに短縮するかという課題である。「試作機が完成してから電磁波を実測し、その対策作業を繰り返す方法では、時間もコストもかかります。また、設計の大幅変更が許されないので、ノイズ対策の選択肢が限られてしまうことも問題でした」と、同社の伊藤正澄氏は振り返る。

モデルのシミュレーションで数値化された設計ルールを策定

伊藤 正澄様

伊藤 正澄 様
コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社
機器開発本部
機器第3開発センター
第33開発部 部長

野村 毅 様

野村 毅 様
コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社
機器開発本部
機器第3開発センター
第33開発部
第1開発グループ

そこで同社が目をつけたのが、電磁界シミュレーションだった。「試作に移る前の設計段階でEMIを目標値内に抑え込んでおき、試作以後のEMI測定は確認だけにとどめようと考えました」と、伊藤氏。シミュレータとしては、富士通の3次元電磁波解析ソフトウェア「ACCUFIELD」を2000年に導入した。

ただし、シミュレータの能力には限りがあるので、製品や基板を丸ごと解析するには膨大な時間を必要とする。そこで、当初は製品のブロックごとに抽象化したモデルに対してシミュレーションを実行し、解析によって得られた知見を設計ルールとして社内に普及させていくルールベース方式で進めることにした。シミュレーションの対象としたのは「筐体」「ハーネス」および「プリント基板(PCB)」である。

筐体とハーネスのシミュレーションでは、ハーネスがアンテナとして働く放射モデルにおいて放射効率を左右しているパラメータの発見を目指した。主因となるパラメータを突き止めることができれば、EMIを最小にするための設計ルールが得られるからだ。その結果判明したのは、一般的にはハーネスと筐体間の距離が小さいほどEMIが減少するが、筐体の不連続がある場合は近づけすぎると逆に増えてしまうということ。

「ハーネスは板金に近接して配置した方がよいことは、経験則としてはわかっていました。ACCUFIELDでのシミュレーションによってその考えが正しいことや低減効果を得るには条件があることを数値の上で実証でき、エンジニアを説得するのが容易になりました」と、野村氏は成果を評価する。複雑なスロット形状を持つCCDイメージセンサーのような部位についても、モデルをシミュレーションで解析することによって試作前にEMI対策の戦略を立てることができるようになった。

複雑なスロット形状を持つ部位をシミュレーションすることによって、試作前にEMI対策の戦略を立てられるようになった(上図はイメージリーダーユニットのモデルとACCUFIELDによる電磁界解析結果画面)

複雑なスロット形状を持つ部位をシミュレーションすることによって、試作前にEMI対策の戦略を立てられるようになった(上図はイメージリーダーユニットのモデルとACCUFIELDによる電磁界解析結果画面)

また、PCBについてはシールド効果の解析を行った。シールドに関係するパラメータは非常に多いので、タグチメソッドを利用して18個の実験に集約。要因効果図を策定して各パラメータがどのように効くかを調べることにより、シールド部の幅はそれほど重要ではなく、薄い基板ではシールドによる低減量はそれほど大きくないといった知見が得られた。設計ルールとして設定されたのは、信号線幅やシールドまでの距離などの5項目である。

EMI対策を設計段階のルールに組み込むことによって、同社はEMI対策に要する時間を大幅に減らすことに成功した。伊藤氏は、「設計ルールだけですべてが成し遂げられたわけではありませんが」と前置きしつつ、「1996年にはEMI対策に約2,000時間を費やしていましたが、設計ルールが浸透した2004年には4分の1の約500時間で済むようになりました」と語る。

並列コンピューティングで基板単位の解析も一晩で可能に

 ルールベースのEMI対策によって一定の成果を得た同社は、電気CAEによるシミュレーションを次の段階へと進めている。もう1つの3次元電磁波解析ソフトウェア「Poynting」を導入して実際の基板パターンをシミュレーションすることにより、設計段階でEMI対策の効果を「実測」できるようにしたのだ。解析の対象としているのは、製造コストは低いがEMIを減らすのが難しいとされる両面基板。コストダウンのために両面基板を採用してもEMIを低減できるようにすることがねらいだ。高速CPUを搭載したPCクラスタによる並列計算の結果、夜間処理によって翌朝までに解が得られる。

伊藤氏は、「今後は、熱関係のシミュレーションもやってみたいと思っています」と語る。富士通の電気CAEに、コニカミノルタビジネステクノロジーズは大きな期待を寄せている。

【会社概要】

コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社

  • 本社:東京都千代田区丸の内1-6-1
  • 設立:2003年10月1日
  • 代表取締役社長:木谷彰男
  • 資本金:5億円
  • 従業員:約2万1,000人(連結、2007年4月1日現在)
  • 事業内容:
    “The essentials of imaging”を掲げるコニカミノルタグループの一社として、オフィスやプロダクションプリント市場向けのデジタル複合機(MFP)とレーザープリンタに代表される情報機器の開発・製造・販売・関連サービス提供を行う。
  • URL:http://konicaminolta.jp/

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