導入事例 日本医科大学 千葉北総病院様
院内デモで操作性が高評価を得たノンカスタマイズ、成長型システム。チーム医療と経営改善をめざす
万全の導入準備と手厚いサポートによりスムーズなデータ移行に成功
日本医科大学千葉北総病院は1994年、千葉県印西市に開院しました。発展を続ける千葉ニュータウンの地域基幹病院である同院は、地域の診療所と連携し、地域住民への高度先進医療の提供を使命とします。また、ドクターヘリを常駐させ、千葉県内全域、および茨城県南部地域からの救急搬送も受け入れて、高度重症患者の救命率向上に広く貢献しています。2011年8月にはオーダリングシステムに替えて電子カルテシステムHOPE/EGMAIN-GXを導入し、コスト削減につなげるとともに、地域医療の情報通信技術(ICT)化への第一歩を踏み出しました。
地域基幹病院の役割と導入の経緯 | システム選定と導入準備 | 導入メリットと今後の展望
地域基幹病院の役割と導入の経緯
操作性の向上を重要視したオーダリングシステムからのリプレース
登録医療機関との緊密な地域連携を重視
Q:貴院の特徴を教えてください。
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田中 宣威 院長 |
田中氏:当院は、「克己殉公」(私心を去って医療に献身し、さらに国家社会に対する責任をまっとうする)の学是の下、開院以来高度医療の充実を図ってきました。救命救急センター、ICU、SCUを備え、また消化器、循環器、呼吸器の疾患についても、内科系・外科系の各専門医が同じ病棟で患者さんを診ることで、センター機能を実現しています。院内のICT化にも早くから着手し、オーダリングシステムを導入していました。
また、3月11日の東日本大震災当日にも出動したドクターヘリは、常駐での運用を開始した2001年10月から飛行回数がすでに6000 回を超えており、地域住民のみならず広域の救命救急にも貢献しています。
Q:地域医療への取り組みをお聞かせください。
田中氏:高度な医療の提供と同時に、地域に根ざした診療を展開することが病院の使命ととらえて、地域での医療連携を強化するため、病院を挙げて地域連携パスの作成に取り組んできました。千葉県は2008年に全県型の地域連携パスを運用し始めましたが、心筋梗塞と脳卒中に関しては、当院のパスがひな形となり作成されました。また、地域の診療所とともに登録医制度を導入し、現在320の医療機関との間で退院後の後方連携体制を築き、緊密な地域連携を実現しています。
他社オーダリングシステムからのリプレースが急務
Q:電子カルテシステム導入のきっかけは何だったのでしょうか。
田中氏:旧オーダリングシステムが導入から時間が経過し、たびたびシステムの改修が必要な状態となっており、新しいシステムにリプレースせざるを得ない状況にありました。
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秋元 正宇 医療情報室室長 |
秋元氏:
この旧オーダリングシステムは、富士通製品ではなく、カスタマイズを重ねた他社システムでしたが、そのユーザーインターフェイスには問題がありました。現場のスタッフからも何とかしてほしいという改善を求める声は強く、それらの問題が解決されるというだけでも、リプレースへの期待は高かったと思います。
システム選定と導入準備
院内デモでの高評価を受け選定、他社製品からもスムーズにデータを移行
デモ会場では唯一のプラス評価を獲得
Q:HOPE/EGMAIN-GXを選ばれた理由は何でしょうか。
田中氏:
旧オーダリングシステムのリプレースを考えた場合、いまの時代、まず電子カルテシステムに移行すべきと思い、検討を始めました。
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平 利幸 医療情報室副室長 |
平氏:実際に稼働している施設に見学に行くなどし、最終的には4社のデモを院内で行いました。50~60人が集まれる部屋を用意し、端末を置いてスタッフに自由に使ってもらったのですが、実機を前にしての反応は、HOPE/EGMAIN-GXが飛び抜けて良好でした。
Q:今回、旧他社システムのようなカスタマイズ型のシステムを選ばれなかったのはなぜでしょうか。
秋元氏:カスタマイズというのは、往々にしてその場しのぎでしかないと感じています。その時点での現場の要望を取り入れることが、長い目で見たときに本当の改善につながるとは限りません。
また、カスタマイズには、高額な費用がかかります。そして、お金と手間をかけて徹底的にカスタマイズしても、システムは5、6 年でまたリプレースの時期を迎え、新しいシステムに入れ替えれば、すべてが無駄になってしまいます。HOPE/EGMAIN-GXの特色である“成長型”という点に期待したいです。
他社製品からのデータ移行もスムーズに成功
Q:導入体制を教えてください。
秋元氏:まず各部門の代表からなる電子カルテ運用検討部会、電子カルテ基本ワーキンググループを立ち上げました。メンバーは同一で、前者は月1 回、後者は週1 回の会合を持ち、電子カルテシステムの基本的な運用を検討しました。またそれと並行して部門サブワーキンググループを組織し、運用方法などを話し合ってもらいました。医療情報室は、その事務局としての役割を担いました。
Q:異なるベンダー間でのリプレースで、問題は発生しましたか。
秋元氏:
前回のシステム移行のときは、同じベンダーの製品同士でしたが、さまざまな問題が起こりました。それと比較すると、今回は非常にスムーズに運んだと思います。前回のリプレースは同一ベンダーでしたが、実はミドルウェアが異なっていました。今回はベンダーは異なりますが、同じミドルウェア同士だったことが幸いしたのかもしれません。
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佐藤 文隆 医療情報室室長補佐 |
佐藤氏:実作業にあたり、初めのうちはベンダー間の用語の違いに戸惑いましたが、やがて慣れてきました。データの構成など細かい相違点はありましたが、データ移行に関して特に大きな問題は起こりませんでした。
Q:スキャンセンターという部署を新設した理由をお聞かせください。
田中氏:電子カルテシステムによるペーパーレス化を図っても、導入以前に紙で保管していたものもあり、また今後もサインを要する同意書など書類は数多く発生します。それらの書類をスキャンし、データ化することは、病院機能評価においても重要ですし、質の高い医療の提供に欠かせません。
秋元氏:超音波や内視鏡の自科検査データも同様と考え、GX-PORT(自科検査画像データファイリングシステム)を導入し、電子カルテシステムに取り込んでいます。これもある意味、データ移行と言えるかもしれませんが、将来的にはその必要がないシステムができれば理想的ですね。
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診察室では、電子カルテシステム(左のモニタ)と同じ患者さんの各種データを、右のモニタで参照できます。。 |
スキャンセンターで、QRコードで管理された情報を紙文書スキャニングシステムに取り込み、電子カルテシステムで参照します。 |
現地ヘルプデスクサービスの活用も導入成功の一因
Q:導入はスムーズに行われましたか。
田中氏:全体的にはきわめてスムーズに移行できたと思います。3 回実施したリハーサル時にはよくわからないという声もありましたが、当日は平常の診療業務ができました。
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稼働時に設置された現地ヘルプデスクサービス。問い合わせ対応を一元化したので、医療情報室では本来の業務に専念できます。 |
秋元氏:私も、期待していた以上に順調に稼働したと思います。
現地ヘルプデスクサービスとして、富士通の4 人のスタッフに常駐してもらっていたのも大きかったと思います。操作がわからないという問い合わせに専任のスタッフが即時に対応してくれたので、本当に助かりました。
平氏:導入月には、1か月間で5000件くらいの問い合わせがありました。既存のスタッフでこれをすべて処理することは、おそらく不可能だったと思います。
導入メリットと今後の展望
医師とコ・メディカルの正確で迅速な情報共有により診療の質が向上
早く正しい情報が診療を支援
Q:電子カルテ化のメリットとして、どのようなものがありましたか。
秋元氏:いつでもどこでもリアルタイムにカルテが見られるのは、やはり便利です。予約外の患者さんが急に来られた場合など、紙カルテのときは20~30分お待たせすることもありましたが、電子カルテではそのようなことはありません。また、資料袋を探すのに時間がかかり、なかなか情報を見られないということも起こらなくなりました。
佐藤氏:大きな変化として、医師の入力した情報を、コ・メディカルスタッフが本当に細かく見るようになりました。必要な情報をスタッフが正しく共有することで、チーム医療にも成果が出ていると思います。
フィルムレス化でコストを大幅に削減
Q:コスト面での成果はいかがでしょうか。
平氏:フィルムレス運用としたことで、年間7000~8000万円かかっていたフィルム代を、ほぼなくせる見通しです。また、当院ではフィルムを管理していた診療情報管理室が1階のいわば一等地にありますので、このスペースを空け、有効利用できるのではないかと期待しています。
田中氏:カルテ室には相当数のスタッフを充てていましたが、今後見直すことにしており、人件費などのコストへの効果も期待できます(編注:CO2排出量換算で、年間約11トン以上の削減効果に相当)。
将来は地域連携をICT化しより効率的なシステムの構築をめざす
Q:将来展望をお聞かせください。
秋元氏:各病院での電子カルテ化は地域全体のICT化を推進します。今後は、ベンダー間での規格の標準化や、人それぞれの情報リテラシーをカバーできるようなプログラムの進歩に期待し、本当の意味での標準化が進むことを望みます。
田中氏:当院としては、まずは手術室や物流など未導入の部門システムを充実させていくことが必要だと思っています。また、以前から構想はあったのですが、将来的には地域連携にもICTを活用して地域における医療の質の向上を図りたいと考えています。それをリードしていくのも、基幹病院の役割の1つだと認識しています。
日本医科大学 千葉北総病院のHOPE/EGMAIN-GXシステム構成図
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