リテールビジネスソリューション「SSS」
顧客/チャネル中心型ビジネスへのパラダイムシフトを実現する「SSS」

第一システムインテグレーション事業部 担当部長
長堀 泉
様々な金融業務の中で、その重要性が急速に高まっているのがリテール業務です。現在リテール業務はセールス・フォーカスの段階へと進んでおり、顧客情報の収集・活用・分析や効率的なセールス支援など、従来のセールス・カルチャーを変える仕組み作りが求められています。これを実現するのが富士通のリテールビジネス・ソリューション「SSS(Strategic Sales Solution)」です。リテールビジネス・ソリューション「SSS」を導入することで、顧客シェアの向上と収益力の強化が実現します。
既存顧客をいかに囲い込むかが収益力を向上させる鍵に
金融先進国である米国では、ITへの投資構造が大きく変化しています。従来は勘定系を中心としたシステム構築が行われてきましたが、現在は新しい業務やサービスの分野にIT投資を集中させる傾向が強くなっています。
勘定系中心のシステムは、大量の事務処理をいかに正確・迅速に処理するかがポイントで、いわば「効率化」が主たる目的でした。しかしもはや効率化の追求だけでは不十分です。ビジネスを今後も発展させていくためには、ITのベクトルを新しい業務やサービスに向け、より戦略性の高いビジネスを行うことが必要です。
「売上を向上させる方法としては、新規開拓という考えがまず頭に浮かびます。しかし、収益力という観点から見ると、これは必ずしもベストとは言えません。一般に新規開拓には、既存顧客の維持にくらべて5~6倍もの営業コストが必要だと言われています。それでいて、5年後の脱落率は5割にも上るのです。営業コストを抑えながら収益を上げるには、既存顧客とより密接な関係を築き上げていくのが一番なのです」と、第一システムインテグレーション事業部部長の長堀泉は分析します。

もちろん、そのためには課題も多くあります。特に最近はインターネット・バンキングやテレホンバンキングなどの、新しいチャネルが続々と登場していて、これが既存のチャネルと連携が取れていないケースも多くみられます。電話でセールスを受けたから支店に行ったのに、窓口の担当者が知らないといったケースも見受けられます。これではかえって逆効果です。これからのビジネスを勝ち抜いていくためには、様々なチャネルや商品、顧客情報を横断的に活用できるソリューションが不可欠です。そこで生まれたのが、当社の新しい金融機関向けリテールビジネス・ソリューション「SSS」です。
効果的なCRMを実現する新ソリューション「SSS」
従来のシステムはチャネル系と基幹系・勘定系、つまりフロント・システムとバック・システムが一対一で並行につながれており、これが柔軟な情報活用を阻む大きな要因になっていました。
そこで、当社のリテールビジネス・ソリューション「SSS」では、フロントシステムとバックシステムをコミュニケーション・ハブ「Enterprise Conductor」で接続し、これにセールス支援システムとデータベース(EnterpriseCIF)を繋ぐ形で構成されています。このため、顧客がどんなチャネルを利用しようと、あるいはどんな商品を購入しようと、その情報を一元的に管理することが可能です。リテールビジネス・ソリューション「SSS」を導入すれば、コールセンターのオペレータがセールスした内容を、店頭のテラーが知らないといったことはもはや起きることはありません。
メインフレームを中核に据えた従来型のシステムでは、分析用のデータを引き出すのも一苦労だったが、リテールビジネス・ソリューション「SSS」ではそういった問題も解消されます。「すべてのシステムはハブを介して接続され、新しいチャネルや新しい商品が追加されたとしても、その情報はすべてハブを通じて即座に活用できるのです。」(長堀)

現在のCRMが抱える様々な課題
現在でもCRMに取り組んでいる銀行は多くあります。しかし、実際の効果を上げるためには、様々な課題が残されています。
これまでのCRMの実行プロセスは、勘定系のCIF(Customer Information File)や各種申し込み書などから情報を収集し、店別・個人名寄せベースで整理。それを分析して、顧客の預金残高や現在価値でセグメント化。最終的にキャンペーン戦略を立案し、ダイレクトメールやテレホンマーケティングなどで実行に移すのが一般的でした。しかしこうした手法にはまだまだ問題も多くあります。情報の収集・分析フェーズにおいても、キャンペーンの実行フェーズにおいても、網羅すべき項目はこれ以外にも多数存在しています。
たとえば顧客情報は、ATMやインターネットバンキングなどの他のデリバリ・チャネルからも収集できますが、勘定系システムや紙ベースの情報だけでは、とても十分とは言えません。
情報の整理を行う際も同様です。個人ベースで整理していたのでは見えない部分が、世帯ベースで整理を行うことで見えてくる場合も多くあります。「40代の男性」と整理しただけではその人個人のニーズしか捉えられませんが、もし学齢の子供がいることが分かれば新たな需要が見出せるはずです。
「預金残高や現在価値だけで顧客情報を判断してしまうのも問題です。そもそも、金融取引は将来にわたって継続的に行われるもの。単に現時点の情報だけで判断するのではなく、顧客が生涯にどれくらいの金融取引をするのかを判断することも必要なのです。」(長堀)
たとえば新卒時に給与振込のための口座を作った顧客は、その後自動車ローンや住宅ローン、学資、退職金や年金の振り込みなど、多岐に及ぶ取引を行うことになります。これが他行に分散してしまったのでは意味がありません。つまり残高ベース・現在価値だけでなく、収益ベース・将来価値での判断も要求されるのです。
キャンペーンもDMやテレホンマーケティングだけに頼るのではなく、営業店やインターネット・バンキングなどあらゆるチャネルを活用していくべきだと考えます。特に異業種から参入してくる競争相手に対しては、銀行の持つ営業店網が強力なツールとして機能します。もちろんそのためには、顧客の情報をテラーがすべて把握できるような仕組みが不可欠です。
顧客情報・商品情報が営業の第一線で利用できる
リテールビジネス・ソリューション「SSS」なら、こうしたCRMが抱える課題をすべて解消することが可能です。本部での大規模な分析にはデータベース・マーケティング・システム「DBMarketer」、営業の第一線ではセールス支援システム「EnterpriseCIF(ECIF)」と二つのデータベース・システムを用意しておりますので、用途に応じて適用することが可能です。
DBMarketerはマーケットの動向や顧客の分析、経営戦略の策定など大規模な統計情報を処理します。ユーザーは本部の企画・戦略立案者であり、厚みのある傾向分析を行います。これに対してECIFはテラーやオペレーターがユーザーであり、鮮度の高い情報を第一線の現場で利用するために用います。前者はオフライン・バッチ型のデータベースであり、後者はオンライン・リアルタイム型のデータベースです。
「戦略的なバンキング・ビジネスには、オンラインとオフラインの両方の機能が不可欠です。それにもかかわらず、ECIFのようなオンライン型のデータベースを含むCRMソリューションはほとんどありません。これは、リテールビジネス・ソリューション「SSS」の持つ大きなアドバンテージだと言えるでしょう。」(長堀)
ECIFを活用することで、顧客一人一人のニーズに合ったサービスが提供できるようになります。顧客がインターネットバンキングやATMなどを利用した場合、その履歴はコンタクト履歴としてデータベースに蓄積されます。それを元にコールセンターによるフォローアップを行うことも可能ですし。もちろんこうした情報を、来店時にテラーが活用することもできます。
「これまでは商品をお勧めするのにも、年齢や性別などを基準にするしかありませんでした。ECIFを利用することで、世帯情報やリレーション情報など幅広いデータを基準にできるようになります。大雑把なセグメント分けによるサービスではなく、お客様一人一人に最適なサービスをご提供できるようになるのです。」(長堀)
ECIFは米国EDS社のCRMシステムの顧客データモデルをベースに当社が開発したものですが、オリジナルの製品は米国の銀行で実際にリテールの成績を伸ばした実績を誇っています。こうしたツールの必要性が、今後日本の銀行でも高まることは間違いないと思われます。
収益情報の活用でセールスが変わる
米国でCRMによりビジネスが伸びている背景には、報酬制度がセットになっていることが関係しています。顧客が契約を行った際には、間接・直接の別を問わず、貢献のあったスタッフにペイバックが用意されています。
いくら高度な情報システム環境を構築しても、自分に見返りがないのではなかなか情報は集まりません。特に自分の貢献度が反映されにくい場合は、顧客情報を積極的に出したがらない風潮さえ生まれがちです。
リテールビジネス・ソリューション「SSS」はこうした問題に対しても有効です。収益管理システムと組み合わせることによって、日々の営業成果を純益ベースで把握できることに加えて、各スタッフの貢献度を定量的に把握する仕組みも備えています。自分の業績が正確に評価に結びつくとなれば、現場の士気が向上することは間違いありません。
リテールビジネス・ソリューション「SSS」を導入することで、これまでのようなボリューム追求型のセールスではなく、どれだけの利益を上げたかという収益追求型のセールスへの転換が実現します。これはまさにセールスカルチャーの革新だと言えるでしょう。リテールビジネス・ソリューション「SSS」はバンキングビジネスに大きな変革をもたらすソリューションなのです。
