教員は、授業を行うこと以外にも、その準備やさまざまな校務で多忙な日々を過ごしています。八千代市教育委員会では、こうした状況を少しでも改善していく努力をしています。「子どもたちに教えることが先生方本来の仕事です。授業の準備はもちろんのこと出席・成績管理などの校務は、できるところをもっと効率化して、先生方には子どもたちとのふれあいの時間を多く持ってほしいと考えています。そのために教育センターでは、教育現場のIT化に知恵を絞っています。」(八千代市教育センター 指導主事 江田浩昭氏)
IT(情報技術)の恩恵を全ての住民が享受できる環境を整え、ITを利用した施策を展開することで、人と人との距離、人と自然との距離を縮め、田園風景の残る未来型のまちを目指す-----。大口町は、こうした構想のもと、「サイバータウンプラン」を策定しました。まずは平成13年、町内全域をブロードバンド化し、「誰でも、いつでも、どこからでも」参加できる町民のネットワークを完成させました。

江田 浩昭氏
千葉県 八千代市教育委員会
教育センター
指導主事
平成15年9月、八千代市教育センターは、市内の小中学校あわせて32校をつなぐイントラネット「教育情報通信ネットワーク」を構築しました。これにより、セキュリティの徹底、増え続ける教育情報コンテンツの管理、そしてすでに前年に整備されていた各校の校内LANの有効活用などが可能になっています。このイントラネットには、光ファイバーを用いた富士通のネットワークサービスである「FENICS」(100Mdps)が採用されています。
教育情報通信ネットワークについて、教育センターの江田氏はこう語ります。「学校では先生方がよい授業を行っていくことが最優先。教育情報通信ネットワークの構想は、そこが出発点になっています。」

教育情報通信ネットワークには、教職員向けグループウェアの「SA@SCHOOLコミュニケーションシステム(以下 SA@SCHOOL/CM)」が導入されました。教育センターではこれをYESCL(エスクル)と名づけ、カスタマイズし、教職員間や教育委員会および学校間の情報共有に役立てています。事務的な連絡はメールを介して、効率的に行われるようになってきました。また、県や市の学校関連行事の予定や、各校の行事予定を同時に表示したりエクセル形式でダウンロードしたりすることができるのも、評価が高いところです。
さらに、教育センターではSA@SCHOOL/CMのライブラリ機能を存分に活かしています。市内全校の教職員が教育情報コンテンツを蓄積、共有、活用できるよう、学習指導案や研修資料などをライブラリに登録し、一元管理をしています。
「教育情報コンテンツを教科ごとに分類、整理するため、フォルダをたくさん作成できるようにSA@SCHOO/CMをカスタマイズしました。YESCLにアクセスすれば、先生方は必要な資料を容易に見つけ出すことができます」(江田氏)
教育情報コンテンツの一元管理により、充実した授業を行うための準備はこれまで以上に効率化されそうです。

八千代市の小中学校では、各教室1台分のノートコンピュータが配備されています。しかし、これらのコンピュータはあくまでも子どもたちのためのもので、画面設定なども子ども用になっています。そこで、教職員がこれらのコンピュータから教育情報通信ネットワークにアクセスするためには、USB認証キーを使うことにしています。これにより、教職員向けの情報に対するセキュリティを保持しながら、学校のどのコンピュータからでも教育情報ネットワークにアクセスし、情報を活用することができるのです。
「使い勝手がよくて、しかもセキュリティを高めることができる方法を模索し、指紋認証といったやり方まで検討しました。結局、抵抗感が少なく、現時点で最適の方法として、USB認証キーによるログオンという方法を採用しました。先生方には研修会等で、USB認証キーの重要性などをお伝えしました。キーは約800名の教職員全員に渡し、さっそく使ってもらっています。実際に使ってみて、USB認証キーが通常のメモリとしても使えることが便利だという声も寄せられています。」
このように教育センターでは、セキュリティに配慮しながら、教育情報通信ネットワークが実際に教職員の間で広く使われていくように工夫しています。また、「子どもたちに教えることが先生方の本来の仕事」という基本を守るため、出席・成績管理など校務の効率化にも努めています。平成15年9月、教育情報通信ネットワークの構築と同時に、新たに校務システムを構築しはじめました。出席簿、教科の成績やスポーツテストの結果、健康診断結果など、児童・生徒の情報が、市内各校でそれぞれ管理されています。校務システムはMicrosoft Excelをベースに作られており、教職員が直感的に使うことができるインターフェースになるよう工夫しています。
「今後は、先生方が手書きでつけている出席簿をコンピュータ入力に切り替え、リアルタイムに全校内で確認できるという世界を目指しています。」
「教育センターとしては、成績管理や保健管理などのデータを蓄え、これらの統計処理はコンピュータにまかせていけるように、さらなる効率化を進めるこのできるシステムを構築することで先生方をバックアップしていきます。」

八千代市教育センター
教員がより充実した授業を行い、子どもたちと過ごす時間を多くとることができるように、八千代市教育センターはIT環境の整備を積極的に行ってきました。そうした基盤が整った今、これからの構想について江田氏は次のように語ります。
「まずは、校務システムの整備をさらに進めることです。あわせて、子どもたちのコンピュータの日常的利用を推進するため、各校で学級日誌を立ち上げてほしいと考えています。すでにシステムの準備はできているので、順次、各校での利用を広げているところです。これは具体的にいうと、ふだん子どもたちが手書きしている学級日誌をコンピュータで作るという試みです。デジカメで撮影した写真を日直の子がアップロードしたり、その日誌をもとにクラスの前でスピーチする機会をつくったり、年度の終わりには蓄積された内容をCD-ROMにまとめてクラスの記録として残したり、といったことが考えられます。このように、子どもたちも先生方も、いつでもコンピュータやインターネットを使えるという環境を今後も大切にしていきます。」
すべては、明日の子どもたちのために。八千代市では、このように明確なビジョンを持って教育現場のIT化を推進しています。