充実した学校教育のためには、教職員への研修が重要な役割を担います。県下約12,000名の教職員に向けて研修・教育を行っている滋賀県総合教育センターでは、「情報教育の推進・・・コンピュータを使って教科指導ができる教員の養成」を組織目標に掲げており、具体的な取り組みとして、「しがe-センター」による研修・学習支援事業を11月から本格稼働させます。このなかで、富士通のe-Learningシステム「Internet Navigware(インターネットナビウェア)」や、教育情報データベースシステム「TS@SCHOOL」「LB@SCHOOL」などが活かされています。

中野 裕司氏
滋賀県総合教育センター
教育情報化推進チーム
副主幹
すべての教員がコンピュータを使って教科指導ができるようになるため、まずは、教職員の研修機会を拡げていく試みが始まりました。そこで構築されたのが、「e-Learningシステム」と、教材などのデータベースである「教育学習情報システム」です。この2つのシステムは、しがe-センターの柱となっています。
滋賀県総合教育センター 教育情報化推進チーム 副主幹の中野裕司氏は次のように語ります。
「教育センターで行う従来どおりの研修も大切にしつつ、そこだけにとどまらない研修の形を確立していきたいと考えています。教職員が自ら校内研修を行う場合には、それを支援することも含め、2つのシステムを活用して一方通行ではない研修を考えています」
同教育センターの、しがe-センター構想から約1年、わずかな開発期間を経て、8月から10月末まではプレ運用期間に充てられており、まずは市販のMicrosoft Excel、Wordの基本操作が学べる教材が使われています。教育センター側には、「教職員にいち早くシステムに触れて欲しい」という強い思いがあり、スタートから短期間での開発は、高く評価されています。

「しがe-センター 」ネットワーク構成図

益田 吉基氏
「しがe-センター 」ネットワーク構成図
教職員研修は教育センターでのみ行われているのが現状です。琵琶湖をはさみ、移動に時間のかかる県内各地域からの参加、また、週休2日制の影響で授業時間が少なくなっているという事情のなか、貴重な授業時間を工面しての参加も多数あります。こうした時間的制約に加えて、交通費などの負担も、大きなハードルとなっています。e-Learningシステム導入は、これらの課題解決につながるものです。
メリットとしては、教職員が「いつでも」「どこでも」「自分のペースで」、研修を受けることができる点が挙げられます。また、教育センターとの間に、中野氏の言う、一方通行ではない「双方向のコミュニケーション」が成立することの意義も見逃せません。
従来どおりの集合研修と今回のe-Learningシステムの融合のメリットについて、教育情報化推進チーム 研修指導主事の益田吉基氏は次のように語ります。
「集合研修を行う講師が事前にシステムを通じて課題を出しておく、あるいは質問を受け付けておくことで、当日の講座に活かすことができます。また、例えば連続講座の半分は集合研修、残り半分はe-Learningを活用するといった方法も可能です。集合研修の復習としてe-Learning教材に触れることもあるでしょう。このように、e-Learningを取り入れることで、研修自体に幅を持たせることができるのです」
集合研修とe-Learningのそれぞれの利点をひきだしながら、補完しあうことで、より効果的な研修が可能になります。
e-Learningのメリットは、他にもあります。これまでは、人気の高い講座は定員オーバーとなってしまうこともありましたが、e-Learningであれば、全員が希望する講座を受講できます。また、何回でも復習しながら受講可能です。教育センターとしては、すでに「インターネット活用講座」や「ネットワーク運用管理講座」など、希望者の多い情報教育講座について、e-Learning教材の研究開発を進めています。ストリーミング技術による映像や音声を使いながら、Microsoft PowerPointなどのプレゼンテーションソフトによる資料も併用していく予定です。
このように魅力的なe-Learningシステムですが、実際に活用率が高まり、継続的に使われていくためには、さらなる工夫が必要。研修だけではなくさまざまな情報についてもこのシステムを通じて広めることで、活用率を上げることができそうです。

安原 正登氏
滋賀県総合教育センター
教育情報化推進チーム
研修指導主事
教育センターには、教職員への研修のほかに、教育・研究のための情報を収集し、学校や地域に発信するという役割があります。「指導案や教材、各教科や領域における研究成果など、主に教員を対象とした情報が、教育学習情報システムのデータベースで一元管理されています。紙の資料をPDF化したものや、地域の研究施設からCD-ROMで提供されたデータまで、さまざまなファイル形式の情報が集められています」(教育情報化推進チーム 研修指導主事 安原正登氏)
「当教育センターはもともと科学系の教育情報を多く持っており、これは県や教育現場にとって財産といえるものです。滋賀県文化財保護課からの情報提供もしていただきました」(中野氏)
こうした貴重な情報を共有し、有効に活用するために、データベースでの一元管理は大きな意味を持ちます。
しがe-センターで採用されているソリューションは、ファイルの中身まで含めた全文検索に対応し、特定グループだけの情報共有機能などを備えたデータベースシステム「TS@SCHOOL」と、学校図書館のネットワーク化を推進する図書館システム「LB@ SCHOOL」(リブ・アット・スクール)の2つ。「TS@SCHOOL」は教育情報のカテゴリを自由に作成し、ブラウザから情報の登録、検索が行えるため、直感的に使いやすいと評価されています。また、「LB@ SCHOOL」により、教育学習情報システムの一部として、各県立高校の図書情報の横断検索が可能になっています。この2つのソリューションを活かすことで、情報の一元化だけでなく、生きた情報をより便利に、労力を軽減しながら展開することができるのです。
e-Learningシステムと教育学習情報システムにより、しがe-センターの基礎が整いました。こうした仕組みを実現した滋賀県総合教育センターは、今後、どのような存在を目指していくのでしょうか。中野氏は次のような構想を持っています。 「子どもたちへの授業のためにこういう教材や指導案、資料が欲しい・・・というときに、先生方から真っ先に問い合わせがくるような、頼りにされる教育センターでありたい。しがe-センターという電子的なノウハウを用いて、先生方の授業作りに積極的にかかわり、カリキュラムの支援を行うような、新しい形のカリキュラムサポートセンターとなっていくべきだと考えています」

琵琶湖の南部、自然に恵まれた野洲に位置する滋賀県総合教育センター