
東海大学湘南キャンパス
1946年創設の東海大学様は、人文社会、自然科学など、13学部68学科・専攻・課程(大学)、12研究科44専攻(大学院)を擁する一大総合大学です。つねに学生たちにとって学びやすい環境づくりに取り組まれており、最近ではセメスター制度や副専攻制度の導入のほか、来年度の法科大学院の開設など、先進的な "学び" の場をいち早く整備しています。そして情報の発着信地ともいえる学内の図書館にも、つねに時代にふさわしい最先端のシステムを導入されています。
2003年4月からは、図書館パッケージ「iLiswave」のサーバ運用を富士通IDCへ全面的にアウトソーシング。図書館システムの運用管理、メンテナンスなどの負荷軽減で大きな成果を上げられています。

膨大な蔵書を有する
東海大学付属図書館 1.
同大学では、5キャンパス(湘南、代々木、清水、沼津、伊勢原)で9つの図書館が運営されており、約190万冊の蔵書を有しています。約3万人の学生をはじめ、学校法人の全教職員や関係者、近隣の住民も含めると利用者数は約5万人。この大規模な図書館の情報管理を担っているのが、富士通の大学向け図書館パッケージ「iLiswave」です。現在、同大学では、「iLiswave」による図書検索システムを "TIME(Tokai Information Media Enterprise)" と呼び、同じ学校法人の短期大学部静岡校舎、福岡短期大学を含め、全210万冊の蔵書を管理する図書館システムとして稼働させています。
同大学が、初めて大学図書館システムを導入したのは1985年。学生が書誌をすばやく検索できる環境づくりと図書館業務の省力化をめざした導入でした。その後も、国立情報学研究所(NII)準拠、ILL対応をはじめ、図書館を取り巻く状況変化に応じて適宜、バージョンアップ。1999年には「iLiswave」の導入によって、インターネットを通じて手軽にアクセスできる図書館システムとなり、2002年には中国語等の多言語への対応が行われました。

膨大な蔵書を有する
東海大学付属図書館 2.
現在は、利用者が好きな時にどこからでもアクセスでき、検索した書誌がどの棚にあるかまで把握できる使い勝手の良い図書館システムとして、大学に欠かせない存在となっています。また、神奈川地区の大学OPAC(Online Public Access Catalog)の横断検索にも対応し、大学間で書誌を相互利用しあえる環境も整備。さらに中国語やハングル語など、多様な言語で検索できることも、学生たちからは好評です。このように多彩なメリットを生み出した「iLiswave」ですが、同大学の画期的な点は、図書館システムのサーバ運用を富士通IDCにアウトソーシングしていることです。
同大学では、ここ数年の業務系システムの強化に伴いサーバ数が増加し、運用管理やメンテナンスの膨大な作業が発生していました。このため、業務系システムのリプレースやアウトソーシングの検討が行われており、そこへ富士通が提案したのが、図書館システムの富士通IDCへのアウトソーシングでした。
同大学でもシステム運用の外部委託に関するノウハウを蓄積したい意向があったこと、学内で「iLiswave」が安定したシステムとして定着していたこと。これらの好条件に加え、サーバ管理の負荷軽減、堅牢な設備・環境によるセキュリティの向上、トラブル時の迅速な復旧など、数々のメリットが見込めたことなどが決め手となり、移行への準備が始められました。2002年に入ると、同大学の情報システム開発課、付属図書館、富士通の担当SEが会議を重ね、運用手順、ネットワークやインフラに関する具体的な検討が行われました。
アウトソーシングに際しては、まず学内で新システムの構築・移行を行った後、業務サーバと検索サーバを富士通IDCへ移設。個人情報を含む業務上の情報交換には専用線を介してFENICSビジネスIPネットワークを使用するとともに、外部からのセキュリティに配慮したうえで利用者用の検索サーバをインターネットに接続し、全体のネットワークが構成されました。運用上のさまざまな事態を想定した対処法や連絡網などが記された「運用手引書」が準備され、すべての体制が整って、富士通IDCでのサーバ運用が開始されたのは、2003年3月のことでした。

図書館システムネットワーク構成図

梶田 晶子氏
東海大学 総合情報センター
情報システム開発課 課長
現在、富士通IDCでは、万全な災害対策やセキュリティ対策が施されており、ディスクのバックアップ、万一のトラブル時のサポートなどを請け負っています。実際にアウトソーシングを行ってみてのメリットについて尋ねると、情報システム開発課の梶田課長は次のようにお答えくださいました。
「これまでは、学内のサーバ管理者が事務系のさまざまなシステムを並行管理していました。今回のIDCへの委託で図書館システムに関するサーバ監視やメンテナンス作業はいっさい不要になりましたから、そのぶん他のシステムに集中できるようになりましたね。それにIDC内で、当大学の図書館システムをつねに管理してくれていますので、何かあっても迅速にサポートや復旧をしていただけるという安心感があります。
また、ここ湘南キャンパスは、地震への配慮も必要な地域です。図書館システムを東海地区から離れた場所に移し、地震対策のしっかりした堅牢な設備や環境で機器ごと守っていただけるのはとても大きなメリットです。今回のトライによってアウトソーシングでシステムを充分に運用できることがわかった意義は大きいと思います」。

會澤 信氏
東海大学 総合情報センター
情報システム開発課 係長
現在のシステムとアウトソーシング化に関する評価は、まずは上々と言えそうです。今後の展開について伺うと、情報システム開発課の會澤係長は次のようにお答えくださいました。
「今回、IDCにお任せした図書館システムは、学校法人全体から見るとまだ一部の学校でしか使っていませんから、今後、九州や北海道の東海大学の図書館とも連携させたいと考えています。
将来的な希望としては、全国の大学図書館向けのASPサービスをぜひ提供してほしいですね。大学図書館はほとんどがNII規格に準拠したシステムで運営されていますから、他の事務系システムよりもASP化しやすいと思います。個人情報は厳重に、書誌情報はオープンに。そんなASPサービスがあれば、大学の壁を越えてお互いの資産を学生たちのために共有し合えますから、積極的に利用したいですね。その他の事務系システムにおいても、同じようなことができたら大きな効果が得られると考えています」。
つねに学生のために、より良い学びの環境づくりに取り組まれてきた同大学ですが、これからもその挑戦はまだまだ続いていきそうです。