
京都大学 吉田キャンパス
歴史、規模、学術レベル。このいずれをとっても日本有数の大学である京都大学様。その附属図書館もまた、1899年(明治32年)に創設され、大学全体で606万冊の規模を誇る、日本を代表する大学図書館ということができます。特に、大震災や戦災の被害を受けることなく、貴重な蔵書が極めて多く保存されていることが、大きな特長となっています。
その京都大学様が、利用者ひとりひとりに最適な学習・研究環境を提供する、図書館情報ポータルサイトを構築。現在は2004年4月からの本稼働に向けてトライアル中という京都大学様に伺いました。
京都大学附属図書館は、日本を代表する大学図書館として、NACSISサービスの充実に大きな役割を果たすなど、図書館の情報化をリードしてきました。
初めて図書館業務の電算化を開始したのは、1984年の閲覧システムの導入でした。以来、業務の効率化とともに力を注いでいるのは、電子的な図書館サービスの充実です。同大では電子図書館を、図書の一次情報だけではなく、図書館における電子的なサービス全てを含めると定義し、その考えに基づいて各種の情報発信やデータベースの構築など、多種多様なサービス、コンテンツを提供しています。1990年に運用開始したOPACは、1998年には近隣大学との横断検索を実現しています。また、同じく1998年には、同大に保存されている国宝や重要文化財等の貴重な蔵書を電子化しインターネット上での公開を開始され、各方面から大きな注目を集めました。この様に時代の最先端を走ってきた図書館ですが、2000年代に入り新たな課題が生まれました。

1983年竣工の京都大学附属図書館
ひとつは、OPACや電子図書館、電子ジャーナル、データベース検索など、インターネット上で利用できるサービスの多様化に伴って、自分の利用したいサービス項目を探すことが、容易でなくなってきたことです。
次に、京都大学様の図書館サービスを利用する3万人もの利用者が、それぞれ異なったニーズを持っている事です。たとえば、職員と学生では普段よく使うサービスが異なりますし、また専攻や研究分野が違えば必要となる情報が異なります。 多様化するインターネットサービスをより効率的に利用できるようにするには、それぞれの利用者が必要とするサービスや情報へ、スピーディーにアクセスできる仕組みが必要です。
これらの課題を解決する手段として考えられたのが、図書館情報ポータルサイトの構築です。図書館情報ポータルサイトは、図書館が持っている、または学内外に散在する、電子化された教育・研究に資する情報を、利用者に最適な形で提供するための仕組みです。
この構想に基づいて、2002年2月から、富士通と同大で詳細な仕様の検討を開始。特に重要視したのは次の3点です。
京都大学様では、既に図書館業務システム「iLiswave」と、電子図書館システム「iLisSurf」がそれぞれ稼働しています。それぞれが持っている膨大な情報を、一つ上のレベルで管理し、利用者に過不足なく提供するシステムとして開発されたのが「iLiswave MyLibrary」です。

図書館内のPCからポータルサイトへアクセス
コンテンツや画面レイアウトは、利用者が自由に変更できます。利用者が変更した内容はユーザ・プロファイルとしてサーバに保存され、同じ利用者が次回ポータルサイトにアクセスすると、プロファイルをもとに自分専用の画面が表示されます。したがって、時間や場所に制約されず、いつでもどこからでも、自分専用のページから図書館が提供する情報に、快適にアクセスできます。
利用できるコンテンツは、学内外のホームページへのリンク集、図書館からの最新ニュース、電子ジャーナル、京大OPACはもちろん、他大学のOPACやWebCATを横断した資料検索、現在の自分の貸出の状況が表示される個人利用状況照会などがあります。

ログイン画面と利用者ごとのポータル画面例
システムの管理者は、Internet Explorerなどのブラウザを介してシステムを簡便にメンテナンスできます。例えば電子ジャーナルリストなどは、管理者はXML形式でデータを一括登録でき、利用者は自分が必要な物だけを選択することができるため、オリジナルのコンテンツを容易に開発・提供することができます。
2003年10月からは、本格運用に先立ち、トライアルとして6ヵ月間、試験的にサービスを提供しています。サービス開始から3ヵ月間ほどで770名ほどの利用登録があり、その後も順調に伸びています。早朝や夜間に自宅のパソコンからと思われるアクセスも多く、利用者が新しい図書館サービスの利用形態を実践していることが伺えます。
トライアル期間は2004年3月で終了し、4月からは本格的なサービス提供を開始します。現在はトライアル運用と並行して、本格運用に向けたコンテンツの見直しやサービスの充実が進められています。
大きな転換期をむかえている国立大学。今回のiLiswave MyLibraryの導入も、2004年4月から施行される法人化を直前に、高度情報化社会において大学全体がどのように社会に貢献していくのか、そのために図書館が果たす役割のひとつであると言えます。
図書館システムのパイオニアとして、常に最先端のサービスを提供し続けている京都大学様。その新たな挑戦に多方面から大きな期待が寄せられています。