
いわき明星大学のキャンパス
少人数教育のさらなる充実とコース制の導入を目的として、2005年4月、いわき明星大学では学部・学科の改組が行われます。総合大学として時代の要請にこたえ、循環型社会や環境科学といった視点を取り入れるとともに、学生の多様な意欲に対応してその個性を引き出すために各学科の教員を増員するなど、よりきめ細かい教育指導ができる環境の整備が進められています。1987年の開学時から力を注いできた情報システムの面でも、こうした流れに先駆け、2004年10月、教育・研究用コンピュータシステムの大幅な拡充が行われました。
開学当初から学内に光ファイバーを敷設するといったIT環境の先進性と、情報技術分野の研究の充実が、いわき明星大学の特長です。科学技術学部はもちろん、人文学部においてもPCを使った講義や演習が行われており、「ITリテラシー」の講義は1年生の必修科目となっています。コンピュータが研究の要ともなっている科学技術学部では、プログラミング、アルゴリズム、統計・解析、CADなど、専門領域における講義や演習で、教育・研究用コンピュータシステムがフルに活用されています。
システムのリニューアルにより、学内ネットワークとしては、無線LANや学内のどこからでも同じIPアドレスでネットワークに入ることができるダイナミックV-LANが導入されました。将来的には、学外からWebブラウザで学内のシステムにアクセスできる環境の整備などを目指し、さらなる充実が進められています。また約2,500名の学生が利用できる教育用PCを約350台備え、そのうち66台を自習室で、40台を貸し出し用ノートPCとして学生に開放。積極的に、かつ自由に利用できるよう、促しています。

中尾 剛先生
いわき明星大学
情報科学教育研究センター
副センター長
教育・研究用コンピュータシステムは、大学の講義・演習を支えるインフラとして、非常に重要な役割を担うとともに、よりきめ細かい教育指導ができる環境整備のために一役買っています。同学では、これまでも学生の達成度や理解度に応じた個別指導を補う目的で、オリジナルの「レポート管理システム」を活用するなど、電子化できるところは積極的に電子化し、講義内容の充実を図ってきました。今回の教育・研究用コンピュータシステム全体のリニューアルではこれをさらに進め、学生の学習・研究活動をマネジメントする仕組みとして、eラーニンググシステムを導入しました。
「一貫しているのは、学生の実質的な理解を助けるために、システムを活用する部分と口頭試問など対面式の指導を行う部分とをバランスよく組み合わせること。eラーニングの目的は、あくまでも学生が自ら考え、理解し、知識を自分のものにすることにあるのです。」(いわき明星大学 情報科学教育研究センター 副センター長 中尾 剛先生)
eラーニングシステムの導入にあたって、いわき明星大学はいくつかの要件を定義し、それを実現するシステムを構築しました。(1)「学生にとって使いやすいこと」。レポート等の提出や、先生への質問などが全てブラウザから行えます。また、ID、パスワードを一元化することで、学生の利便性を高めるシングルサインオンが実現しました。(2)「教員にとって教材を作りやすいこと」。Microsoft PowerPointで作成した教材などを、そのままeラーニングシステムで使えるようになっています。
さらに、(3)「数式表現が可能であること」。科学技術学部においては、専門領域の研究に数式が欠かせません。このたびのeラーニングシステムでは、Microsoft PowerPointなどで作成した数式を用いた教材も、コンテンツとして作成できるようになりました。(4)「学生の学習、履修状況の進捗管理ができること」。この機能を活用することで、一人ひとりの学生に対応した個別指導がより充実したものとなっています。(5)「コースウェアが豊富に用意されていること」。すぐに活用できる状態でシステムを提供することが広範囲な活用につながると判断し、まずはIT系の資格試験用教材を採用しました。そして、(6)「VOD(ビデオ・オン・デマンド)と連携できること」。動画、ナレーションとPowerPointによる教材をあわせて、より理解しやすいコンテンツを「講義記録配信システム Ub ! Point」と連携して作成しています。

高山 文雄先生
いわき明星大学
情報科学教育研究センター
センター長
こうした要件を満たすeラーニングシステムは、富士通の提案による教育・研究用コンピュータシステムを基盤とし、それを有効に活用するものです。採用されたのは、授業支援システムCampusmate/CourseNavig(キャンパスメイト/コースナビ)。「コースウェアが豊富に用意されていることと、一般的な技術で構築されているため、これまで使用してきたものを活かすことができる点を評価しています」(いわき明星大学 情報科学教育研究センター センター長 高山文雄先生)
今後、同学では、eラーニングシステムを学生に授業の予習を徹底させるためのツールとしても活用する方針です。eラーニングと実際の授業・演習・実験などを効果的に組み合わせることで、対面式の指導や実際に手を動かすことが重要な実験などに、授業時間を多く割くことができます。また、テストやアンケートなどにも活用していく考えです。電子情報学科の学生を皮切りに、一人一台のノートPCを配布することも検討されており、電子教材と実際の授業を組み合わせ、結果的には最大限の効果をあげることが可能であると考えています。

学生が自由に利用できる32台のPCを備えた自習室II
さらに学内の授業だけにとどまらず、中国遼寧省遼寧石油化工大学との遠隔授業や、近隣の単位制高校にカリキュラムやリメディアル(補習)教材を提供して単位の交換も認めていく「高大連携授業」など、eラーニングシステムを活用するさまざまな取り組みが始まっています。また著名人を招いて講演を行い、コンテンツとして配信することで、学生のキャリアプランに貢献する試みや、推薦入試に合格した入学予定者に対して、入学までの準備教育を行うという構想もあげられています。学生への教育だけでなく、教職員への的確な情報伝達にも有効な手段となりそうです。このように、eラーニングを含めた教育・研究用コンピュータシステムは、IT先進大学にふさわしく、今後も新しい形へ進化し続けます。