
イチョウ並木や伝統ある建物が
美しい青山キャンパス
2004年に創立130周年を迎えた青山学院は、時代に適した教育環境の実現に向け、常に新しい取り組みを行ってきました。4月には法務研究科(法科大学院)を開設させるとともに、大学および女子短期大学の「図書館学術情報システム」を全面的にリニューアルし、新たに稼働させました。合計約175万冊の蔵書を管理するこの新学術情報システムには、大学向け図書館パッケージ「iLiswave」(アイリスウェーブ)および電子図書館パッケージ「iLisSurf」(アイリスサーフ)が採用され、青山キャンパスの大学図書館(本館)と女子短期大学図書館、相模原キャンパスの万代記念図書館の3館で利用されています。
青山学院大学図書館 収書課長代理 井上隆雄氏は、学術情報システムの更新に至った経緯について、次のように話しています。「従来のシステムはハード的な処理能力と容量の面で限界に来ており、新しいシステムを検討する必要がありました。また、他大学や国内外の諸機関との横断検索や、多言語対応に対応できなかったことと、大学では学内の諸機関がそれぞれに書籍などの発注を行っているために図書予算を効率的に利用できていなかったことなども課題として持っていました」 こうした課題を解決するために、図書館システムの新たな基盤となる新学術情報システムが整備されたのです。新システムの役割は、図書館業務の効率化と、利用者サービスの向上に大きく分けることができます。

青山キャンパス内の大学図書館
図書館業務の効率化に向けては、次のとおり、方針が掲げられました。(1)図書館業務の標準化を図る。(2)図書館業務系のシステムと利用者サービス系のシステムは、更新のサイクルが異なるので極力切り離して開発する。これにより、更新にかかるコストを削減する。(3)発注段階にある図書資料の情報を共有することで、学内の各図書館、学部・学科研究室、研究施設などで重複して図書資料を購入してしまう事態を避け、書架スペースおよび経費の節減を図る。
このうち、(1)の図書館業務の標準化について、青山学院大学図書館 受入係長代理 市川昭裕氏は「パッケージをカスタマイズせずにそのまま使えるということが条件でした。iLiswaveを採用した理由もそこにあります」と話しています。青山学院独自の業務をカスタマイズで実現するのではなく、業務に必要な機能が標準的に装備されているパッケージの選択がポイントとなりました。
また(2)については、利用者サービス系のシステムを優先的に更新していく方法で、全体のITコストを圧縮しています。(3)については、発注中の図書もOPAC (Online Public Access Catalogue:図書館の所蔵目録データベース)で検索できるようにするなど、利用者サービスの向上を主眼においたシステムを目指しました。
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| 青山学院大学・青山学院女子短期大学図書館 図書館ホームページ |
利用者サービスの充実については、次の方針に従ってシステムが開発されました。(4)学内の学術情報を統合管理することにより、図書館以外で保有するデータベースを含めた資料の共有を可能とする。(5)学内外のデータベースや電子ジャーナルなどの学術情報を統合的に検索可能にすることで、いつでも、どこからでも必要な情報を取得できるようにする。(6)他大学や学外諸機関とのデータ共有により、所蔵データを相互に把握する。図書館間相互貸借(ILL)や、本館が参加している「山手線沿線私立大学図書館コンソーシアム(8大学)」における相互協力を推進することで、学内で不足する資料を相互に補う。
(4)と(5)はすでに実現し、青山学院大学・青山学院女子短期大学の図書館ホームページで検索できます。さらに、データベースの統合情報検索機能により、外部データベースで検索した資料が自館に所蔵されているかどうかを確認することができます。また、所蔵がない場合は、国立情報学研究所のデータ検索により、所蔵館を確認できます。
同様に、(6)についてもOPACによる横断検索が可能になっています。とりわけ、山手線沿線私立大学図書館コンソーシアムの「コンソーシアムOPAC」で目的の資料を見つけた学生・研究者は、従来のように図書館間の紹介状を持つことなく、即日、相手先大学の図書館を利用し、貸し出しを受けることができ、利便性が高まりました(一部、制限もあります)。
他にも、利用者サービスの充実に向け、新しく始まったサービスがあります。その一つに携帯電話からOPAC検索を行えるサービスがあります。このモバイルOPACサービスについて、井上氏は次のように語ります。「携帯電話は、携帯情報端末へと進化しています。その社会の変化に対応し、今後もこうしたサービスを充実させていく予定です」
また、各図書館ごとにも特色のある取り組みをしています。女子短期大学図書館では、OPAC検索した本が図書館のどのあたりにあるのかを示す「配架マップ」のサービスを提供しています。青山学院女子短期大学 図書館 課長 海後陽三氏も「OPACで特定の本を検索しても、実はその本の近くにある、類似テーマの本のほうが有効な場合も多くあります。大事なのは、探しているテーマの本が並ぶ『蔵書の森』まで導くことです」と話されます。また今後は、購入した本が貸出可能になったことを伝える「整理済み通知」や、どんな本を購入したかを伝える「新着速報」をメールで発信するサービス、事前に関心のあるキーワードを登録しておくと、関連する図書を購入した際に自動的に通知される「リコメンドサービス」なども検討されています。
相模原キャンパスの万代記念図書館では、自動書庫を活用しています。2003年に、旧世田谷、厚木キャンパスを統合し開学した、この真新しいキャンパスは、学内で一日を快適に過ごすための工夫が随所に凝らされており、図書館においても充分な閲覧スペースを確保した、快適な環境を提供しています。しかし、閲覧スペースを増やせば、閉架が増えます。この解決策として導入されたのが自動書庫です。利用者はOPAC端末から検索し、開架であれば所在場所や貸出状況を確認することができます。自動書庫の資料であれば、OPACから出庫指示が行えます。青山学院大学 相模原キャンパス 教育・学習支援ユニット 図書グループリーダー大礒幸雄氏は「書架を歩き、実際に本を手にとることが大切ですので、閉架の利用頻度を統計し、常に利用頻度の高い本を開架に出すよう努めています」と語られます。

図書館 新学術情報システムの構成
これら利用者の視点から、情報システムを有効に利用する取り組みは、2003~2005年度の3カ年計画で進められています。ネットワークの高速化や携帯電話をはじめとする情報端末の進化など、社会状況の急激な変化にも対応しながら、柔軟性をもたせたシステム開発を行っています。 今回の学術情報システムの更新は、利用者が情報機器を介して必要な情報を迅速かつ確実に取得できる環境の実現に向け、大きな一歩となりました。今後、すべての著作物をデジタル情報として共有・閲覧できるような電子図書館の実現には、著作権の問題など法の整備を待たなければなりませんが、青山学院では、学内の紀要や論文などを中心にその試みをスタートさせています。本という情報の宝庫を活かすための情報システム、さらに電子的な情報の活用を模索しながら、今後も高度情報化時代の大学図書館として、進化をつづけていくことでしょう。