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リアルタイム・オファー :デジタルマーケティング コラム

「リアルタイム・オファー」とは、O2Oにスマートフォンの位置情報を組み合わせたオファー(提案)のことです。「リアルタイム・オファー」について、イギリスのスーパーマーケット「テスコ(Tesco)」やニューヨークのドラッグストアチェーン「デュアン・リード(Duane Reade)」などの海外事例を交えながら、富士通総研 田中 秀樹が解説します。

スマホの普及でリアルタイムに進化するパーソナライズド・オファー

オンラインから店舗にユーザーを送客する「O2O(Online to Offline)」は、小売店や飲食店などで近年、盛んに行われるようになりました。新商品やセールの案内、クーポンをユーザーにオファー(提案)して来店を促すといった仕組みです。このオファーの効果をさらにあげるために、企業はスマートフォンの位置情報を組み合わせたオファーのトライアルに取り組み始めました。

オファーの3タイプ

タイプ1: 同報オファー

オンラインから店舗への送客は、O2Oというキーワードが登場する以前から行われてきました。店舗からの最初のアプローチは、全てのユーザーに同じオファー文面を送る「同報オファー」です。ただ、当然ながら全てのユーザーが同じ嗜好や興味を持っているわけはないので、受け取るユーザーにとって興味と異なるオファーを出し続けると読んでもらえなくなり、逆効果となってしまう、といった課題がありました。

タイプ2: パーソナライズド・オファー

そこで、ユーザーの属性やWebサイトでの行動情報を使って、嗜好や関心が似たセグメント毎にオファー文面を変えたり、Amazonのレコメンデーションのように購買情報にもとづいてユーザー一人ひとりにカスタマイズした「パーソナライズド・オファー」を送るアプローチが出てきました。

パーソナライズド・オファーはオファーの内容自体はユーザーに適合していますが、受け取るタイミングが必ずしも適合しているとは言えないかもしれません。ユーザーにとって忙しい時に受け取ったオファーは読み飛ばされてしまいますし、受け取ってから来店までに時間が空く場合には忘れられてしまうこともあるでしょう。

タイプ3: リアルタイム・パーソナライズド・オファー

そこで、パーソナライズド・オファーにジオフェンシングで紹介したiBeacon(アイビーコン)などの屋内位置情報を把握する技術を組み合わせ、ユーザーにとって最適なタイミングでオファーを送る「リアルタイム・パーソナライズド・オファー」の試みが始まりました。

図:ユーザー・コンテキストとの適合度の比較[同報オファー][リアルタイム・オファー][リアルタイム・リアルタイム・オファー]

リアルタイム・オファーの海外トライアル事例

テスコ(Tesco)のリアルタイム・オファー事例

イギリスのスーパーマーケット「テスコ(Tesco)」は、ユーザーが購入しようと思った商品を買い忘れないように伝えるサービスのトライアルを始めました。ユーザーがあらかじめ購入したい商品を登録しておくと、店舗でその商品を買い忘れないようスマートフォンにメッセージを出す仕組みになっています。

実際は、このサービスだけではオファーとして弱いかもしれませんが、テスコが発表したコンセプトビデオには、店舗内だけでなく店舗外でも生活シーンに応じた商品のオファーメッセージを出す姿が描かれており、今回のトライアルを手始めとしてオファーのレベルを上げることを目指しているのかもしれません。

デュアン・リード(Duane Reade)のリアルタイム・オファー事例

ニューヨークのドラッグストアチェーン「デュアン・リード(Duane Reade)」はiBeaconを使ったクーポン配信の実験を始めました。このクーポンは、専用アプリをインストールしたユーザーが来店すると、ユーザーの購買履歴などから最適なクーポンや製品情報などのオファーが配信される仕組みで、店舗でリアルタイムのパーソナライズド・オファーが届くようになっています。

ショッパーモードのひと押しオファーが効果的

博報堂買物研究所によると、ユーザーは購入過程で三つの人格に変貌するそうです。商品の検討・購入を思いつく段階は「ショッパー(買物客)」、購入時は「パーチェサー(購買者)」、商品を使っている段階は「ユーザー(使用者)」です。

たとえば、ショッパーモードで買う気満々で商品を選んだユーザーでも、レジでお金を支払うパーチェサーモードになると、今日の買い物を評価していたり、買い物の後の予定を思い出したりしていて買う気が失せていることがあります。そんな時に追加のオファーを出しても効果は少ないでしょう。

買う気にさせるオファーを出すのであれば、購入を検討しているショッパーモードが最も効果的です。O2Oで店舗に誘導し、店舗や売場で最後の一押しのオファーをする仕組み作りを海外の大手小売業は本格的に狙っています。当然、そのオファーはユーザーの趣味・嗜好に合ったものが望ましいのは言うまでもありません。

ユーザーの心理状態を把握できるリアルタイム・オファー

スマートフォンには現在搭載されているGPS、Bluetooth、Wi-Fiといった位置情報を把握する機能だけでなく、ユーザーの身体的・心理的状態を把握するセンサーの搭載が検討されています。このようなセンサーが実際に搭載されれば、ユーザーの状態や気分を理解しコンテキスト(状況や文脈)に合わせたオファーを出すことが可能になるかもしれません。

ただ、いくらユーザーのコンテキストが分かるからといって、いきなりユーザーを見透かしたようなオファーをすると警戒感を抱かれ、逆効果になるかもしれません。そういった懸念もあり、トライアルを行っているテスコは、現状では積極的な売り込みはしないようにしているそうです。リアルタイム・オファーを行う際には、ユーザーとの信頼関係を築いた上で段階的にオファーのレベルを上げていくことが大切でしょう。

(株式会社富士通総研 田中 秀樹)
株式会社富士通総研(FRI)

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