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CS経営への変革
お客様第一主義の企業体質の実現

雪印乳業株式会社様 導入事例

(現社名:雪印メグミルク株式会社様)

社会的な問題へと発展した大阪食中毒事故の発生後、雪印乳業では、「お客様の視点に立ち、考え、行動すること」「安心を提供し続けること」を基本理念として、全社一丸となってお客様の信頼回復への取り組みを開始した。創業の精神に立ち返り、“健土健民”の精神のもと、企業理念や企業ビジョンを再構築。お客様の生の声を活かすシステムなど、CS経営への変革によって、お客様との信頼を回復し、お客様第一主義の企業体質の実現を目指しているところだ。

[ 2001年掲載 ]

【導入事例概要】
業種: 製造業
製品: コンタクトセンター構築パッケージ「WingGear」

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大阪食中毒事件発生後の対応


部長 三好 隆弘
CS推進室

2000年6月27日の事故発生後、連日、新聞記事などでそのあらましが報道された。しかし、そのなかで、あまり一般には記憶されていないところだが「赤ちゃん用の粉ミルクが買えない」という記事が7月15日の読売新聞の朝刊に載せられた。

「これは7月11日に事故の報道を受けて、大手スーパーから雪印製品が撤去され、赤ん坊を持つ母親がどこへいったら粉ミルクが買えるのかという悲壮な訴えでもありました」。

粉ミルクは当時の厚生省より厳しい審査の後、認定された母乳代替品で、ISO9002を取った群馬の専用工場で製造した製品でもある。それだけに、まさか撤去されるとは思わなかったと、三好氏は語る。粉ミルクは味が変わると乳児が飲まないということもあり、撤去後5日間で2,500件もの問い合わせを受け、悲鳴の電話が鳴り止まないという状況だったという。

こうした社会的な問題へと発展した大阪食中毒事故の発生後、8月6日、全国紙・地方紙に、雪印乳業製造工場での安心確認の報告と題する広告を掲載した。そのなかで「お客様の視点に立ち、考え、行動すること」「安心を提供し続けること」を基本理念として、全社一丸となってお客様の信頼回復に取り組むということを約束した。

具体的にはお客様に安心していただける企業に生まれ変わるということで、被害者のための大阪お客様ケアセンターの設置、お客様の声にいつも耳を傾ける、フリーダイヤル365日体制の確立、社長直轄組織として商品安全監査室の新設、商品へ工場名の順次表示などを掲げた。

また、食中毒事故の原因を企業風土そのものにあるという認識のもと、お客様第一主義の企業体質の実現へ向けて、外部の有識者をメンバーにした経営諮問委員会を設置した。委員会では、これまで毎回テーマを絞り、6回の会合を重ね、さまざまな提言を得ることができたという。

工場を開放しふれあいの機会を設ける

雪印乳業では、工場PR活動の充実にも取り組んでおり、これまで6工場だった開放工場を、全32工場に拡大。土日は開放デーと銘打って、工場を近隣の人たちに開放し、ふれあいの機会を設けている。

「京都の雪印お客様感謝デーでは、2,200名のお客様に足を運んでいただき、工場の見学や、バターづくりなどを体験していただきました。日ごろバターを手づくりする機会はほとんどありませんから、参加していただいた方々には喜んでもらえたのではと思っております。また、屋外では、当社が信頼回復の4番バッターとして期待しているMBP(ミルク・ベーシック・プロテイン:骨の生まれ変わりを助け、骨密度を高めることが期待される成分)など当社の製品の試飲試食も行いました」。

こうしたCS経営の実践として、今年3月1日に設置されたのが、CS推進室であり、現在、お客様の声を企業経営に反映させるセクションとして、その活動を推進しているのである。

雪印乳業の新生への取り組み

事故後、信頼を失墜し、赤字化に陥った雪印乳業。失った信頼を新たに構築すべく、企業風土の刷新に取り組んでいる。

「そのひとつは、創業の精神に立ち返る“健土健民”です。酪農は土の力を豊かにし、その上に生きるあらゆる生命を輝かせてくれます。そして、その結果つくりだされた牛乳、乳製品は最高の栄養食品として、健やかな心とからだをはぐくみます。こうしたつながりの中で真に人々の健やかなくらしのために役立ちたい。それが健土健民の理想です」。

こうした健土健民の精神にもとづいて、企業理念を再構築し、「大地の恵みから生まれた本物の“おいしさと健康”を提供することによって、新世紀に求められる健康価値・快適価値を創造し、新たな成長を実現する」という企業ビジョンをつくり、全社員で共有を図っているという。

一方、ユーザーへ向けても、「健土健民」の変わらぬ決意を、社内公募でつくった“大地とあなたを、おいしさでつなぐ”をブランドメッセージとして発信している。

お客様第一主義を実現するのは生やさしいことではない。それはお客様以上にお客様の視点に立つということでもあるからだ。そのために、CS経営の基本である経営品質の向上活動に取り組んでいるところだ。そのCS経営推進の三原則となっているのは、経営層の主導、お客様接点の重視、お客様の視点に立った評価なのだという。

お客様の声を生かすシステムづくり

現在、社内では「お客様の声を活かすシステムづくり」に取り組んでいる。その中の一部である苦情対応(危機管理)の流れは次のようになっている。

まず、お客様センターに入ったお客様の苦情は、S-Windows21というDBに入る。苦情は、本社のお客様センターから、地域お客様センターへ。そして検査が必要な場合は、地域品質保証センターへとつながる。そして、実際にお客様を訪問し、商品を確認し、商品を預かり、検査をし、結果報告という流れになる。

本社お客様センターに入った苦情で、重大化が予測される苦情に関しては、ある条件にヒットすると、商品安全監査室へまわされるようになっている。そこで審査をし、社長に知らされ、緊急品質委員会が召集されることになるのだ。こうしたお客様の生の声を活かすシステムなどを活用し、お客様との信頼を回復し、新たな信頼を構築することによって、お客様第一主義の企業体質の実現を目指しているのである。

システム構成図

S-WindowsのSは、Security(安全)のSであり、Speciality(専門)、Speed(迅速)、Sincerity(誠実)、Smile(笑顔)、そしてService(サービス)の6つのSでもある、それによって、お客様のSatisfaction(満足)が得られると考えているのだという。

S-Windowsは、富士通の協力を得て、雪印乳業が独自に開発したものである。特徴としては、DBサーバとNotesサーバの双方向のデータのやり取りができ、全国の端末から情報をリアルタイムに検索できるようになっている。また、ハード的な特徴としては、IVR(Interactive Voice Response:音声応答装置)を利用し、音声のデジタル録音ができ、お客様の苦情の声を全国全場所で再確認することができるようになっている。

「支店(営業)が得たマーケット情報は、NotesDBを通して事業経営会議に、お客様のセンターに入った声はDBを通じて、早朝役員ミーティングで生の声として聞かせ、すぐに商品改良や改善などに役立たせています。また、インターネットでは、チーズクラブ、すこやかネットを開設し、メンバーDBに蓄積されています」

こうしたお客様の生の声を活かすシステムなどを活用し、お客様との信頼を回復し、新たな信頼を構築することによって、お客様第一主義の企業体質の実現を目指しているのである。

【雪印乳業株式会社様(現社名:雪印メグミルク株式会社様) 会社概要】
所在地 東京都新宿区本塩町13番地
設立 1950年6月(雪印乳業株式会社)
資本金 148億円

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