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Solaris採用の基幹システムをクラウド環境に移行
アプリケーション改修不要の容易な移行、トータル運用コスト30%削減

富士通株式会社 社内実践事例

2015年から富士通は全体最適化と社内実践を目的に、グループで稼働する全システムの自社クラウドサービスへの移行を進めています。Solaris 資産については2016年5月にサービスが開始されたSPARC/SolarisベースのIaaS「FUJITSU Cloud Service U5」(以下、U5)に移行を実施しています。U5の導入により、アプリケーション改修不要の容易な移行とともに、UNIXサーバの開発部門による安心のサポートも大きなメリットです。設備・運用・保守の大幅なコスト削減、最適化を見込んでいます。

[2018年5月31日掲載]

PDF 富士通株式会社 社内実践事例(1.03MB / A4・2ページ)

【導入事例概要】
業種 製造・情報通信
ソリューション FUJITSU Cloud Service U5

「U5はSolaris資産がそのまま使用できるためアプリケーションの改修費が発生しません。また、U5の利用とOracleデータベースの統合により、設備・運用・保守のトータルで30%のコスト削減効果を見込んでいます。業務のピークや開発に合わせて必要なリソースを柔軟に追加・削除できることから、運用コストの最適化も図れます」

【課題と効果】
導入前の課題 導入による効果
  • Solarisを採用した基幹システムを容易にクラウド環境に移行したい
  • U5を利用することでアプリケーションを改修することなく移行コストを最小化し、検証テストのみの2か月で容易に移行を完了
  • 増大した社内基幹システムの全体最適化を図りたい
  • 基幹システムに加え、Oracleデータベースの統合基盤をU5に構築することによりコストを最適化。設備・運用・保守のトータルで30%のコスト削減効果を見込む
  • 運用管理の効率化を図りたい
  • U5の利用によりハードウェア調達や運用管理負荷を最小化。さらに、ハードウェアとOSの開発部門が一体となったサポートで大きな安心と信頼を実現

導入の背景

Solarisを採用した基幹システムのクラウドへの移行が課題に

富士通は今、グループで稼働する国内外の全システムを、自社が提供するパブリッククラウドへ移行する一大プロジェクトを進めています。2015年2月に発表した同プロジェクトは2020年の実現を目指しており、基幹システムを含む約640システムが対象です。IT戦略本部 デジタルビジネスプラットフォーム推進室 シニアマネージャー 綿引信二は、同プロジェクトには大きく2つの目的があると話します。

「2009年から仮想サーバによる統合化やミドルウェアを含めた高密度集約を段階的に実施し、個別集約を推進してきました。2015年以降は、クラウドを活用した全体最適化を進めています。また自らが大規模なクラウド移行を行うことで課題の抽出やノウハウを蓄積し、そこで得た知見を富士通のクラウドサービスへフィードバックし品質向上に貢献するとともに、社内実践を通じてリファレンスモデルを確立することがもう1つの重要な目的です」。

社内システムの集約・統合の取り組み

富士通株式会社 IT戦略本部 デジタルビジネス プラットフォーム推進室 シニアマネージャー 綿引 信二氏の写真
綿引 信二
富士通株式会社
IT戦略本部
デジタルビジネス
プラットフォーム推進室
シニアマネージャー

同プロジェクトにおいてPCサーバを使ったパブリッククラウド「FUJITSU Cloud Service K5」(以下、K5)への移行が着実に進められる中、課題となったのがOSにSolarisを採用した基幹システムの移行でした。信頼性、安定性に優れたSolaris は、人事・経理・生産管理といった基幹システムやデータベースで利用しており、社内の各部門からも高い評価を得ています。またOSの移行に伴うアプリケーション改修には多くの手間とコストが必要です。Solaris資産を継承し安定性を担保しながら移行コストを最小化するために、全体最適化と社内実践の両面からSPARC/Solaris ベースのIaaS「U5」への移行を実施することになりました。

導入の経緯

U5導入ではコスト、信頼性、マルチクラウドの3つのポイントを重視

株式会社 富山富士通 クラウドサービス企画統括部 クラウドサービス部 吉田 圭一氏の写真
吉田 圭一
株式会社 富山富士通
クラウドサービス企画統括部
クラウドサービス部

クラウドファーストの浸透に伴い、クラウドへの移行は多くの企業にとって重要なテーマです。IT戦略本部がU5導入で重視した3つのポイントについて、株式会社 富山富士通 クラウドサービス企画統括部 クラウドサービス部 吉田圭一は説明を加えます。

1つめは、Solaris 資産がそのまま使えること。P2V(Physical to Virtual)機能を活用し、アプリケーション改修コストをかけずに移行できます。「Solaris 10とSolaris 11の複数世代のOSを構築できることは有用です。例えば、既存のSolaris 10の環境をそのまま使用することも可能ですし、この機会にSolaris 11に移行することもできます。複数の選択肢の中で将来を見据えた計画を柔軟に立てることができるのもU5のメリットです」。

2つめは、基幹業務のニーズに応える性能と可用性に優れたクラウド基盤であること。「多くのクラウドでは、仮想サーバとストレージの接続にNAS(Network Attached Storage)を採用していますが、U5はSAN(StorageArea Network)を使用しています。ストレージ専用のネットワークを採用することで優れたI/O 性能を実現しています。また、2つの仮想サーバでシステムを冗長化する場合は、U5側で物理的に独立した環境に仮想サーバを分散配置してくれますので、可用性がさらに向上します」。3つめは、マルチクラウド連携をスピーディーに実現できること。「U5はK5とプライベート接続(閉域接続)できるため、Linux、Windowsを含めたマルチOSのクラウド環境を短期間で実現できます」。

導入のポイントとサービスの概要

U5の利用によりシステムを最適化し業務効率化を実現

Solaris資産のU5への移行では、既存の基幹システムのクラウド移行による集約化に加えデータベースの統合によるコストパフォーマンスや性能の向上も重要なポイントとなっています。

「U5の仮想サーバの払い出しは、Solarisの仮想化機能Oracle VM Server for SPARCを使用します。プロセッサ・コア単位で課金されるミドルウェアの場合、必要なライセンス数は仮想サーバに割り当てられたコア分のみとなります。ライセンス費の最適化はU5の大きな魅力です。またU5のベースとなっているUNIXサーバ『SPARCM10』はSoftware on Chipという機能を有しており、Oracleデータベースの高速処理を実現し利用者の業務の効率化に貢献します」と同本部 デジタルビジネスプラットフォーム推進室 岩木教人は話します。

社内向けには、U5を利用して2つのサービスを主に提供しています。1つはSolaris環境が必要なシステムに対し初期セットアップや運用に関わる部分を共通サービスとして提供するものです。利用者はそれぞれの業務システムの開発や運用に専念できます。もう1つは、データベースの初期構築、運用監視、保守を行うOracleデータベースの統合基盤サービスです。業務システム毎に運用・管理していたデータベースをインスタンス統合し、リソースの最適化やライセンス、保守費の抑制を実現します。

富士通株式会社 IT戦略本部 デジタルビジネス プラットフォーム推進室 岩木 教人氏の写真
岩木 教人
富士通株式会社
IT戦略本部
デジタルビジネス
プラットフォーム推進室

社内クラウドサービス

導入の効果と将来の展望

リードタイムの短縮、運用管理の負荷軽減、大幅なコスト削減を実現

2016年6月から社内Solaris資産のU5への移行を段階的に進めています。Solaris 10資産のU5への移行では、アプリケーション改修が不要であることから通常の手順に沿った検証テストのみの約2か月という短期間で容易に実施できました。移行コストの抑制に加え、トータルでコスト削減が図れることはU5導入の大きなメリットです。「U5はSolaris資産がそのまま使用できるためアプリケーションの改修費が発生しません。また、U5の利用とOracleデータベースの統合により、設備・運用・保守のトータルで30%のコスト削減効果を見込んでいます。業務のピークや開発に合わせて必要なリソースを柔軟に追加・削除できることから、運用コストの最適化も図れます」と綿引は話します。

社内の利用者へのサービス向上の観点からリードタイムの大幅短縮も大きなメリットです。「従来、ハードウェアの調達から社内の利用者にシステム環境を提供するのに半年間を要していました。今はU5の利用により5営業日で仮想サーバの払い出しが可能となるため、そこから運用サポートのサービスなどを付加し約2週間で引き渡すことができます」(吉田)。

運用管理の負荷軽減と信頼性向上の両立も実現できました。「ハードウェアに関して調達の手間や複雑なSANの設計、定期的なリプレース作業などから解放されました。運用管理負荷の軽減とともに、U5ではハードウェアとSolarisの開発部門が一体となったサポートを受けられるため、日々の安定稼働はもとよりトラブル対応の迅速化が図れます」(岩木)。

今後の展望について綿引はこう話します。「クラウド環境を意識した共通部品作りなどを推進し、開発コストを抑えながら業務システムの開発スピードの向上を図っていくこともこれからのテーマです。またUNIXサーバの開発部門の技術革新をサービスに組み込んでいきたいと考えています。またこれからも社内実践としてU5へのフィードバックを積極的に行っていくとともに、事業部を通じてお客様向けにシステム構成の事例などの情報共有を進めていきます」。

U5は、富士通が長年UNIXサーバの開発やシステム構築・運用で培ってきたノウハウを注ぎ込んだ安心と信頼のクラウドサービスです。これからもサービスやメニューの拡充に注力し、Solaris資産を保有する多くの企業の持続的成長と戦略を支えるクラウド基盤の構築を支援していきます。

左より 富士通株式会社 IT戦略本部 デジタルビジネス プラットフォーム推進室 岩木 教人氏、富士通株式会社 IT戦略本部 デジタルビジネス プラットフォーム推進室 シニアマネージャー 綿引 信二氏、株式会社 富山富士通 クラウドサービス企画統括部 クラウドサービス部 吉田 圭一氏の写真


本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は取材当時のものです。

  • OracleとJavaは、Oracle Corporation 及びその子会社、関連会社の米国及びその他の国における登録商標です。中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標である場合があります。

会社概要

富士通株式会社

所在地 〒211-8588 神奈川県川崎市中原区上小田中4-1-1 eyecatch_01.jpg 外観写真
富士通株式会社 ロゴマーク
代表者 代表取締役社長 田中 達也
設立 1935年6月20日
従業員数 155,000名(グループ全体)
事業内容 テクノロジーソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューション
ホームページ https://www.fujitsu.com/jp/新しいウィンドウで表示

※ 2017年3月末現在


「FUJITSU Cloud Service U5」は「FUJITSU Cloud Service for SPARC」に、「FUJITSU Cloud Service K5」「FUJITSU Cloud Service for OSS」は「FUJITSU Hybrid IT Service FJcloud-O」に 名称変更しました。(2020年6月11日)

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