日本マイクロソフト株式会社 様

イベント全セッションのプレゼンテーショントークを翻訳・英語字幕を表示
言葉の壁をなくし、様々な人が参加・体験できるイベント実現の一歩を踏み出す

日本マイクロソフト株式会社では、2016年からITプロフェッショナル向けの技術カンファレンス「Microsoft TechSummit」を開催しています。2017年11月の Tech Summitでは、約100のセッション全てを翻訳して英語字幕表示にする計画を立てました。そして、Microsoft Azure上で動作する翻訳サービスMicrosoft Translator Text APIと富士通のダイバーシティ・コミュニケーションツールFUJITSU Software LiveTalkを組み合わせて、プレゼンテーションの英語字幕表示を実現しました。現在、海外のイベントでは様々な国の方や聴覚障がい者がセッションに参加できるように、講演の字幕表示が一般的になっています。今回のイベントで字幕が講演者・参加者にも好評だったことから、マイクロソフトではグローバルアクセシビリティ向上の取り組みの一環としても、講演の翻訳・字幕表示を拡大していく考えです。

課題
効果
課題イベントでの全講演のリアルタイム翻訳・英語字幕表示の実現
効果講演者のプレゼンテーショントークをリアルタイムに翻訳し字幕表示することで、講演者・参加者の高い評価を獲得

導入の背景

「Microsoft Tech Summit 2017」の全セッションの翻訳と英語字幕表示を計画

日本マイクロソフト株式会社(以下、マイクロソフト)は、現在、プロダクティビティ(生産性)ツール、クラウドサービス、AIなどのテクノロジを活用した、顧客のデジタルトランスフォーメーション推進を施策の中心に据えています。そのために、スマートフォンやIoTデバイスとの連動のような様々な協調や接続性、データの有効活用などすべてのつながりに対して、テクノロジを提供していきます。その基本的なコンセプトはインテリジェントクラウドとインテリジェントエッジという2つの言葉で、クラウド側にもエッジ側にもインテリジェンスを組み込んでいきます。そしてその中心になるのがAIです。

同社は2018年の注力テーマのひとつとして、働き方改革に取り組んでいます。日本マイクロソフト株式会社 執行役員 最高技術責任者 兼 マイクロソフト ディベロップメント株式会社 代表取締役 社長 榊原 彰氏が語ります。「働き方改革の実現には、どこにいても仕事ができるようにしなくてはいけませんし、働いている様子を見える化して、改善につなげていかなければなりません。そのための作業の自動化や生産性の高い仕事を実現するために、AIツールからSkypefor Business、Office製品まですべてクラウドで提供できるようにしました。社内も完全フリーアドレスで、勤務時間はコアタイムを撤廃して、自分の裁量により都合のよい時間に都合のよい場所で仕事ができるようにしました。その結果、女性社員の離職率が減り、社内の紙の使用量も削減することができました」。

マイクロソフトはこうした最新のテクノロジをインフラエンジニア、アーキテクト、IT戦略に関わる人たちなどのITプロフェッショナルに広く伝えるために、2016年から「Microsoft Tech Summit」を開催しています。

日本マイクロソフト コマーシャルソフトウェアエンジニアリング本部 テクニカルエバンジェリズム部 部長 井上 大輔氏が語ります。「米国では毎年9月頃に、セッション数1,000以上で数万人が参加する『Microsoft Ignite』(以下、Ignite)というイベントを開催しています。Tech Summitはその中から一番よいものを選んで提供するのですが、Igniteを始め、海外のマイクロソフトのイベントはプレゼンテーション画面にすべて字幕が入っています。そこで今回、TechSummitでも字幕を入れ、日本語セッションをリアルタイムで英語に翻訳するようにしたいと考えました」。

日本マイクロソフト株式会社
執行役員 最高技術責任者

マイクロソフトディベロップメント株式会社
代表取締役 社長
榊原 彰 氏
日本マイクロソフト株式会社
セントラルマーケティング本部
エクスペリエンス マーケティング部
加藤 公博 氏
日本マイクロソフト株式会社
コマーシャルソフトウェア
エンジニアリング本部
テクニカルエバンジェリズム部
部長
井上 大輔 氏

導入の経緯

Microsoft TranslatorとFUJITSU Software LiveTalkを組み合わせ、リアルタイムでの翻訳と字幕を表示

マイクロソフトは2回目となる「Microsoft Tech Summit 2017」でMicrosoft Azure上で動作する翻訳サービスMicrosoft Translator Text API( 以下、Translator)と富士通の「FUJITSU SoftwareLiveTalk(以下、LiveTalk)」(開発元:富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ、以下、富士通SSL)を組み合わせて使うことにしました。そして、100を超えるセッション全ての講演をリアルタイムで翻訳して、英語で字幕表示することにしたのです。

LiveTalkは発話者の発言を音声認識し、即座に翻訳・テキスト変換することで、発言内容を複数端末にリアルタイムで翻訳・表示するダイバーシティ・コミュニケーションツールであり、マイクロソフトMVP(Most Valuable Professional)アワードプログラムで表彰された富士通SSLの技術者により開発されています。

日本マイクロソフト セントラルマーケティング本部 エクスペリエンス マーケティング部 加藤 公博氏が語ります。「技術カンファレンスでTranslatorを利用するのは初めてでしたが、技術カンファレンスであればこそ、マイクロソフトの技術をフルに活用したいという思いがありました。今までTranslatorはデモを行ったり、機能を紹介したりしていましたが、今回実際にセッションで体験してもらいたいと考えました」。

一方で、マイクロソフトはパートナー企業が持っているテクノロジも参加者に体験してもらい、パートナーとの共創で生み出される新たな世界を実感できるようにすることを目指しました。そこで、採用したのがLiveTalkでした。「これまで他のイベントでデモを行った実績があり、パフォーマンスなども評価できていましたので、TranslatorとLiveTalkを組み合わせることでよりよい翻訳ができると考えました」(加藤氏)。

システム概要

事前に富士通と調整し、プレゼンテーションの字幕表示スペースを確保。講演者や参加した英語話者から高評価

今回、Tech Summit直前にWindows 10 Fall Creators Updateがあり、日本語OSの標準フォントの1つとして、「UDデジタル教科書体」をサポートしました。LiveTalkはそれをすぐにサポートしたため、Tech Summitの参加者にWindows 10の最新アップデートを体験してもらうこともできました。字幕を出すにあたっては、事前にLiveTalkの開発元である富士通SSLと調整し、プレゼンテーションの字幕表示スペースを確保して、講演者のプレゼンテーション資料作成に負担がかからないようにしました。「当初はプレゼンテーション資料と字幕の文字がかさなってしまって、講演しにくい人がいるのではないかと懸念しました。しかし、やりにくいという講演者もおらず、スムーズに字幕を表示することができました」(井上氏)。

またマイクロソフトにも、英語話者で日本語がわからない社員がいますが、どのセッションも英語の字幕が出るので、非常に喜ばれたそうです。「日本語がわからない参加者や社員は、今までは通訳を用意している特定のセッションしか参加できませんでした。今回はどのセッションでも自由に参加することができ、壁がなくなったと好評でした」(加藤氏)。

今回は、昨年と比較し、イベント前だけでなくイベント終了後も、SNS上でのTechSummit に関するツイートが大変多く、参加者から様々なサービスやテクノロジへの言及がなされていました。

導入の効果と今後の展望

イベントへのアクセシビリティ改善に大きな一歩。
誰でもどんな時でもどんな場所でもスピーディにアクセスできるイベントコンテンツの提供を目指す

今までイベントはローカルでドメスティックなものでしたが、TranslatorやLiveTalkをうまく使うことで、今回のように日本語がわからない方や聴覚に障がいがある方も参加できるようになりました。マイクロソフトでは今までTranslatorを翻訳のために使ってきましたが、単純な翻訳だけでなく、あらゆる人がイベントに参加することができるようにする上で、LiveTalkとの組み合わせはイベントへのアクセシビリティ改善に大きな一歩となります。

マイクロソフトでは、これからのイベントではアクセシビリティが今までにも増して、重要になると考えています。「日本のプレゼンテーションは事前に何回もトレーニングしたり、レビューしたりするので、コンテンツにバラツキがなく、完成度が非常に高いので、何とかして海外にも伝えたいと考えています。リアルタイム翻訳で字幕が表示できるようになると、一気に日本語圏以外の地域にも拡がっていくと期待しています」(井上氏)。

またイベントの講演をWebサイトに音声付の動画コンテンツとして公開しているケースが増えています。Translator とLiveTalkを用いて音声を日本語や英語で文字化して、動画配信と同時に配信することで、電車の中などの人が多いところにおいても、あらゆる人にリアルタイムに視聴していただくことができるようになります。マイクロソフトではそうした形で、どんな時でもどんな場所からでもイベントコンテンツに簡単かつスピーディにアクセスできるようにしたいと構想しており、そこで大きな役割を果たすLiveTalkへの期待が高まっています。

Microsoft Tech Summit 2017 構成図

Microsoft Tech Summit 2017 講演の様子

日本マイクロソフト株式会社 様

事業分野 情報産業・通信
本社所在地 東京都港区港南2-16-3 品川グランドセントラルタワー
代表者 代表取締役 社長 平野 拓也
設立 1986年2月
資本金 4億9950万円
従業員数 2,150名(2017年7月1日現在)
事業内容 ソフトウエアおよびクラウドサービス、デバイスの営業・マーケティング
ホームページ https://www.microsoft.com/ja-jp/
  • (注)
    本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。

[2018年6月1日掲載]

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