- お客様事例
- 三重県立図書館様

県内の図書館ネットワークのハブとして機能する三重県立図書館は、横断検索機能とデータ集約型検索機能を併用するハイブリッド型システムへの更新によって、県内図書館の最新蔵書データをリアルタイムで把握できる環境を実現。図書館情報ポータルSaaS「Ufinity for Public」(以下Ufinity)は市町立図書館の相互貸借業務の効率化、一般利用者の検索環境の向上、さらには図書館の情報発信の活性化などの成果を生んでいます。
[ 2011年6月21日掲載 ]
| 県内図書館の相互貸借業務の効率化。リアルタイム検索。 | |
| システムの導入コストおよび保守コストの削減が行える。セキュリティ維持・危機管理業務の低減が実現できる。 | |
| 横断検索機能とデータ集約型検索機能を併用できること。 | |
| 公共図書館 |
三重県立図書館 企画総務課 井戸本 吉紀 氏
「近年、セキュリティが高度化し、図書館職員の対応では難しく、データのバックアップや非常用電源装置など周辺機器の管理も負担になっていました。これらをアウトソーシングしてコストを削減し、常に最高レベルのセキュリティが保証されるSaaS型サービスを採用しました」
| 1 | 市町立図書館のコスト・業務面の負担を極力減らし、集約型では1ヵ月ほどのタイムラグがある各市町立図書館の蔵書データをリアルタイムで検索・把握できるようにしたい | 横断検索機能とデータ集約型検索機能の併用で、市町立図書館に負担をかけずに、最新蔵書データをリアルタイムで把握できるよう移行 | |
| 2 | 10年以上「三重県図書館情報ネットワークシステム」(以下、MILAI)を活用している市町立図書館職員のシステム更新への不安や不満を取り除きたい | 色使いをアレンジ、用語を簡単にする、要望に沿って動作条件を変更するなど、きめ細かな改善を継続し、不安・不満を取り除く | |
| 3 | MILAIのサーバ管理をアウトソーシングし、管理作業コストを削減、セキュリティのレベルを上げたい | クラウド型システムの採用で、管理コストを削減、セキュリティレベルも向上 |

三重県は、今日ほどインターネットが普及していない13年前から、県内の市町立図書館を結んだMILAIを構築し、「すべての図書館をすべての利用者に」をコンセプトに先進的な図書館サービスを展開してきました。
2005年から稼働した2代目MILAIでは、県立図書館業務システムとの連動による業務効率化、雑誌・新聞総合目録の機能追加など、利便性の向上が図られました。こうした点が評価され、2006年には文部科学省の『これからの図書館像(実践事例集)』で紹介されました。最大週2回の市町立図書館との「物流ネットワーク」とMILAIの検索・相互貸借依頼システムという「情報ネットワーク」、この二つのネットワークが核となり、県立図書館は、県内図書館のハブとして機能しています。
MILAIの本格稼働後、MILAIにデータを提供する図書館は年を追うごとに増え(2011年5月末現在、43館)、相互貸借の実績も増加していきました。そこで課題となったのが、市町立図書館の所蔵データ更新をいかに早く行うかです。初代と2代目のMILAIは、すべての市町立図書館の蔵書データをあらかじめ県立図書館の大型サーバにアップロードしておく方式でした。各図書館からデータを受け取り、書き換える頻度は1ヵ月に1回程度。その結果、新刊書籍の情報が1ヵ月遅れで提供されるというタイムラグが生じていました。また、MILAIの検索で目的の資料がどの図書館にあるかは確かめられますが、当該の資料が貸出中かどうかの確認はできないという課題もありました。そのため相互貸借を依頼する図書館職員は、まず、MILAIで目的の資料を所蔵する図書館を特定し、さらに当該図書館のWebページで資料を検索し貸出状態を確認するという二度手間を余儀なくされていました。

井戸本 吉紀 氏
三重県立図書館 企画総務課
「常に市町立図書館の最新所蔵データを把握し、検索・同定した資料が貸出中かどうか確認したい」。この二つの課題を解決する方法は、横断検索機能を備えたシステムの導入でした。横断検索機能によれば、自前でデータを持たず、市町立図書館のWeb OPAC(注1)を参照し、最新データを検索できるからです。しかし導入にあたって担保すべきことがありました。三重県立図書館 企画総務課の井戸本吉紀氏は次のように述べています。「一気に横断検索機能に移行した場合、まだWeb OPACや横断検索に対応していない図書館に、システム改修などの負担をかけることになります。そこで横断検索機能と、従来のデータ集約型検索機能を併用できるハイブリッド型の検索システムが必要となりました。総合評価一般競争入札(注2)の際、富士通さんからは他府県のハイブリッド型の実績を示してもらいました」。
新システム導入にあたってはサーバのランニングコスト削減も課題でした。新システムへ移行する前、同館のサーバルームには業務用とMILAI用を合わせて25台のサーバが3つのラックに収まり稼働していました。「ここ数年、セキュリティが高度化し、図書館職員の対応では難しい状況もありました。また、データのバックアップや非常用電源装置など周辺機器の管理も負担になっていました。総合評価一般競争入札の際、富士通さんからは二つの提案がありました。一つは、個人情報が入っていないMILAIについてはアウトソーシングによるコスト削減と常に最高レベルのセキュリティが保証されるクラウド型サービスを利用すること、もう一つは、個人情報が登録されている業務システム『iLisfiera』は引き続き館内に設置し、ブレードサーバを導入してサーバ数を削減することです」(井戸本氏)。
2010年2月にキックオフし、同年12月11日の本格稼働という開発スケジュールについて、井戸本氏はこう振り返ります。「図書館情報ポータルSaaS『Ufinity』は大学図書館では導入されていましたが、都道府県立図書館では当館が第1号の導入でした。不安がなかったと言えば嘘になります。しかし、第1号であるということは、先進的なサービスを作り上げる立場にいるということでもあります。私たちと富士通さんとは共同開発者であり、パートナーだと思っています。富士通さんからも、『よりよきパートナーとして、今後の県立図書館サービスのモデルとなるものを構築したい』との声をいただいています」。

新システムの構築では、市町立図書館の不安・不満を取り除くのが最大の課題となりました。「県内市町立図書館は、10年以上MILAIを活用した業務を行ってきています。その意味では、MILAIに対する最も厳しいお客様です。そんな市町立図書館の声をどれだけ新システムに反映させるかが重要でした」(井戸本氏)。そこで、運用開始前、市町立図書館の担当者にテスト版に触れてもらい、改善意見をいただき、優先度を設定し新システムに反映させていきました。その中には、操作画面の色合いを旧システムに近づけることや大学図書館向けの単語をわかりやすくするといった細かな点から、動作条件の変更といったものまでありました。
「そのため、開発スケジュールは遅れ、テスト版の公開は8月となりました。そこから館内や市町立図書館の意見・提案をいただいた結果、大小さまざまな改善項目が集まり、私どもも富士通さんも大変でした。共に走りながら作り上げたシステムだと思っています。稼働後もアンケートを2回行い、より使いやすいシステムを目指して現在も改良は進めています。今後もお客様である市町立図書館の声を反映させるため、富士通さんからは新しい機能を提案していただきたいと思っています」(井戸本氏)。

図書館情報ポータルSaaS「Ufinity」の運用開始後6ヵ月が経過。県立図書館および市町立図書館における一般利用者の検索件数は、旧システムに比べ増加しています。「やはり、各市町立図書館の蔵書をダイレクトに検索、リアルタイムで貸出状況を確かめられるスムーズさが検索件数増につながっていると思います」(井戸本氏)。
クラウド型システムならではの導入効果も現れています。MILAIの総合目録サーバ、相互貸借サーバは館林IDCセンターにアウトソーシングしたため、サーバ数はその分減り、25台あったサーバは9台に。サーバルームはすっきりしました。井戸本氏はSaaS型に切り替わったMILAIの動作について、こう述べています。「横断検索の場合、多数の市町立図書館のWeb OPACを見に行くので、データを当館のサーバに集約した旧システムに比べ、ずいぶん遅くなるだろうと思われました。しかし新システムの検索スピードは、想像より速かったのです。SaaSではデータセンター側のCPU、ハードディスクの性能がどんどん向上していくので、今後新システムはさらにスピードアップしていくものと期待しています」。また、MILAIの業務をIDCデータセンターのサーバに任せたので、以前のように、施設の電気設備点検などによる県立図書館のサーバ停止の際も、市町立図書館の相互貸借業務への影響を最小限に抑えることができるようになりました。
システムの運用が本格化するにつれて見えてきたメリットもいくつかあります。一つは図書館から図書館へ、あるいは全図書館へとメッセージを送る機能です。「従来は休館連絡やMILAIの改善情報、会議の議事録送付などをメールで連絡していました。しかし、メールチェックをあまり頻繁にできない館があるため、結局ファックスも送ることが多かったのです。MILAIにメッセージ機能が付いたことで、連絡業務が格段に楽になりました」。
また関係者がシステムの運用に慣れるにつれ、より便利な利用法が編み出されています。相互貸借業務を円滑に進めるために、依頼画面の「休館情報欄」を活用するというのもその一つ。相互貸借時に必要となるのは、依頼先の図書館の留意するべき事情、たとえば新刊は一定期間貸出をしない、土日は忙しいので相互貸借依頼を避けるといった情報です。これらをすべて「休館情報欄」に記入することで、依頼画面で条件が確認できるようになり、依頼の効率化が図られました。
新システムの特徴の一つである、参加館による書き込み機能の利用が進み、市町立図書館からの情報発信も盛んになりました。MILAIのポータル画面に書き込まれる各図書館の休館情報やイベント情報もその一つ。休館情報は、相互貸借を依頼する場合、必ずチェックする必要があるため、常に利用者や各図書館に対して告知する必要があるのです。また、「『ストーリーテリング講習会』『パパによる読み聞かせ』などの幅広く市町の外へも伝えたいお知らせを、各図書館が自由に、イラストを入れたりして書き込めるのです。隣接の市からも参加者がやって来るなど、図書館を核にした地域を越えた交流が活発になると良いと思っています。今までのMILAIは蔵書情報のワンストップサービスを提供していましたが、イベントなどの図書館情報のハブにもなる可能性を秘めています。『Ufinity』の機能の一つが、MILAIに新しい役割を与えてくれると思っています」(井戸本氏)。
富士通はこれからも、自治体図書館と共に歩み、図書館文化の進化をサポートしてまいります。
| 所在地 | 〒514-0061 三重県津市一身田上津部田1234 |
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| 代表者 | 館長 村井 敬生 |
| 蔵書数 | 79万8431冊(平成22年3月末現在) |
| ホームページ |
三重県立図書館ホームページ
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