- お客様事例
- JA栃木中央会様

JAグループ栃木(注1)は、安全・安心な農産物づくりを徹底するため、手作業で行っていた生産履歴データの処理・管理をSaaS型システムへ移行。生産者が記入した生産履歴記帳シートのOCR読み取りデータをセンターへ送信し、自動的に農薬使用基準と照合・判定する環境を実現しました。
[ 2010年11月24日掲載 ]
| 農薬使用履歴をチェックする生産履歴管理システム | |
| 低コストで導入、メンテナンスフリーで運用できる。 | |
| システム導入後、そのままGAP(注2)に対応可能。 | |
| 農業協同組合 |
JA栃木中央会 農政広報部次長・監査士 福田哲 氏
「富士通の生産履歴管理システムは、操作性の良さ、信頼性の面で高く評価されましたが、別にシステムを追加することなく、そのままGAPに対応できる点も大きな魅力でした」
| 1 | 県下全域にある膨大な農薬使用履歴のチェックを手作業で行っていたため、ミスや漏れ等の心配、専門知識を要する農産物のチェックに手間取るなどの課題があった | 生産履歴記帳シートに記入された情報をスキャナOCR(光学文字認識)で読み取ってセンターに送信、自動的に照合・判定し作業負荷が軽減 | |
| 2 | 安全・安心に関わる生産履歴システムを、信頼性の高いハードウェア、ソフトウェア上に構築し、低コストで運用することが求められていた | 24時間365日、万全の管理状態に置かれたデータセンターの最新の機器・アプリケーションをリーズナブルなコストで利用可能に | |
| 3 | 全品目にGAPを導入する上で、GAP用チェックシートの処理機能を持つシステムを新規導入する必要があった | 導入システムにGAP対応機能があるため、別にシステムを導入する必要がなく、GAP対応の投資を抑えられた |
首都圏で消費される農業生産物供給の担い手、栃木県の農業生産は、米、麦を主に、かんぴょう、ニラ、トマトやキュウリ、イチゴ、ナシなど園芸作物、生乳・肉用牛など多様な農産物を手がけている点に特長があります。なかでも県北を中心につくられているコシヒカリの生産量は全国3位。そして「とちおとめ」「女峰」のブランドで出荷されるイチゴは、収穫量、知名度とも全国1位。約20年前から先進的に取り組んできた品種改良のたまものと評価されています。JA栃木中央会は、同県全域10のJAを代表・調整し、各グループの健全な運営を支援する組織として活躍しています。

福田 哲 氏
JA栃木中央会 農政広報部次長・監査士
近年、JAグループ栃木が一丸となって取り組んでいるのは、安全・安心な農産物の生産です。JA栃木中央会 農政広報部次長・監査士の福田哲氏は、次のように説明します。「2002年に無登録農薬のダイホルタン(殺菌剤)使用が多くの都県で発覚し、本県でも同様の事例が判明したため、自主回収や出荷停止の対策がとられました。出荷した農産物の安心・安全が担保されなければ、出荷元JAにとどまらず県全体の農家に大きな打撃があることも予想されたため、食の安心・安全に関する取り組み強化が求められました」。
これを機に、各JAが足並みをそろえ取り組んだのが、「あらかじめ定められた適切な生産基準に基づいて、生産者は生産を行い、その内容を生産日誌に記帳する」という生産履歴記帳運動でした。
生産履歴記帳運動では、各生産者が定められた様式の記帳シートに、使用農薬の種類、希釈倍数、使用回数とその時期、そして定植、収穫、堆肥や肥料の時期などを記載し、各JAに報告します。「シートが提出されると、各JAの営農指導員が報告結果を見て、農薬が基準の範囲内で使用されているかチェックします。しかし規模が小さなJAの米生産者だけでも2、3千人を数え、複数の園芸作物を生産している農家もいますから、漏れなくチェックする作業には多大な手間を要していました」(福田氏)。
求められたのは、膨大な記帳シートの処理を自動化することでした。この課題を解決するため、2009年5月、生産履歴記帳のシステム化が検討されたのです。

JAうつのみや東部選果場様でのシステム利用風景
システムに求められたのは、とくに経験や習熟度合いに大きく左右されず、使いこなすことができる操作性でした。生産履歴記帳では、生産者が書き込んだ記帳シートがJAに持ち込まれ、スキャナで読み取り、照合が行われます。これらの操作が、経験を積んだ一部の担当者にしかできないとなればチェック作業が滞ってしまいます。その点、記帳シートの自動判別や両面同時読み取りが可能なスキャナ、OCRソフトの数字認識率、読み取ったデータをWeb画面で確認・修正できる「F&AGRIPACK 栽培管理」は高く評価されました。また特別な知識を持つ担当者がいなくても、生産者から提出された記帳シートの情報を、各農薬の使用基準と照合し、確実に適否を判定する仕組みも採用理由となりました。
システムの信頼性も重要な採用ポイントでした。SaaS型サービスでは、ハードウェア、ソフトウェアなどは全て、24時間365日、万全の管理状態に置かれた富士通データセンターの最先端機器、最先端アプリケーションを利用します。また各農薬の使用基準は常に最新のデータに更新されています。「安全・安心に関わる生産履歴管理システムだからこそ、最高の信頼性をリーズナブルなコストで利用できる、富士通のシステムを採用しました」(福田氏)。
評価対象となったシステムは3つ。その中から富士通の「F&AGRIPACK 栽培管理」が採用された理由は、操作性の良さ、そして信頼性の高さでした。それらに加え、じつはGAPへの対応という点でも同システムは高い評価を得ています。2009年3月末時点のGAP取り組み産地は全国で1,572。うち栃木県内の取り組み産地は73で、現在も拡大中です。実際には、安全な農産物づくり、生産者の労働環境改善、周辺環境への負担軽減のために様々な規範を遵守しなければなりません。例えば生産者は、「栽培暦、栽培基準を読み、理解を深めたか」「稲わらなどを堆肥や肥料として利用し、野焼き以外の方法で処理したか」など、作業工程ごとの規定を自己点検し、定められたチェックシートに書き込みます。将来的に全ての生産品目についてGAPへの対応が予定されていますから、1つのJAだけで千人単位の生産者がいることを考えると、どうしてもチェック項目集計の自動化が必要です。
福田氏は次のように語っています。「富士通の生産履歴管理システムは、操作性の良さ、信頼性の面で高く評価されましたが、別にシステムを追加することなく、そのままGAPに対応できる点も大きな魅力でした」。
「F&AGRIPACK 栽培管理」では、生産者が記入しJAの各拠点に持ち込んだ生産履歴記帳シートをスキャナで読み取り、OCRソフトによりパソコンデータに変換し、富士通のデータセンターに送信して最新農薬情報と照合します。JAの担当者は判定結果をリアルタイムで照会し、その結果に基づいて安全な出荷を指導できるのです。照合する農薬情報は、常にセンター側によって自動更新されています。農薬情報提供機関の最新情報と連携しているので、常に確実な出荷指導が保証されるのです。
また同システムの統計管理機能を活用した、きめ細かな営農指導も可能になりました。例えば、生産性の高い生産者の生産履歴データから肥料の使用量、タイミングなどのデータを抽出し、平均的な生産者の営農指導に生かすのです。「今後、何年かデータを蓄積していけば、栃木県内の営農指導レベルのアップにもつながります。経験の浅い営農指導員はデータを参考に勉強し、ベテランは経験を加えてさらにスキルアップできるからです」(福田氏)。

「F&AGRIPACK 栽培管理」は県下10JAにて導入され、2010年4月より本稼働しています。システムによる履歴管理は米、麦、ナスなど6品目でスタートしましたが、3年計画で全品目をシステムで管理する方針が決まっています。
導入効果は、農薬使用履歴データの照合・判定作業の自動化など、顕著な結果として現れています。福田氏はこれを踏まえ、次のように語っています。「システム稼働後、現場の職員が『手作業によるチェックが、いかに記入ミス、記入漏れ、読み取りミスなどのリスクを抱えていたか』を痛感し安全・安心への意識を新たにしました。また、導入後のトラブルはこれまで皆無。最大の導入効果は、システムの運用・管理面を全く意識しないで利用でき、業務に専念できることです。これだけのシステム環境を低コストで、素早く構築できるクラウドのメリットも実感しています」。
今後の展開としては、各JA管内の農産物直売所での活用、システム活用状況の消費者へのアピールなどが考えられています。「直売所には兼業農家が片手間で生産した野菜も出荷されています。そういった方々に、より安全・安心な農産物づくりに取り組んでもらうためにも、生産履歴管理システムの活用が期待されます。将来的には、生産履歴管理システムの徹底活用を消費者にアピールし、栃木県全体の農産物が安全であることを積極的に発信していきたいと考えています」と福田氏は語ります。
富士通は、安全な農産物づくりを実践する日本の農業生産者を支える先進的なシステムづくりに取り組んでまいります。
| 所在地 | 〒320-0033 宇都宮市本町12番11号 |
|---|---|
| 会長 | 高橋 一夫 |
| 設立 | 昭和30年5月 |
| 職員数 | 86名(正職員) |
| ホームページ |
栃木県農業協同組合中央会様 ホームページ |
本事例中に記載の肩書きや数値、固有名詞等は掲載日現在のものであり、このページの閲覧時には変更されている可能性があることをご了承ください。