磁気ディスク装置 OEM製品ユーザーズガイド
第3章 環境条件
この章では以下の内容について説明します。
使用温度範囲
1. 温度条件
当社のHDDは一定の環境温度の範囲内で動作するように設計されておりますが、十分な通風が確保されない場合は、HDDの自己発熱によって過度の温度上昇をきたすことがありますので、HDD各部の温度が各機種の規定値以下になることを確認願います。
温度が規定値を上回った場合には、ヘッドの位置決め機構の機械的構造の機能が損なわれたり、回路素子の性能が損なわれて、リード/ライト性能が低下したり、HDDの信頼性が低下したりします。
お客様の使用温度範囲の上限において、HDD 各部の温度が規定値以下にならない場合は強制冷却を行っていただく必要があります。
また、HDD各部の温度が一時的に規定値の上限に到達する場合は問題ありませんが、通常の使用状態でHDD各部が常時、規定値の上限に達する(HDD 各部の温度が長時間継続して規定値に達する)場合は、HDDの寿命や信頼性に悪影響をおよぼす恐れがあります。
HDDを長時間安定してご使用いただくために、通常の使用状態における DE(1)の表面温度を各機種の規定値以下に保つよう配慮をお願い致します。
2. 環境温度の定義

DE表面温度測定ポイントの例
環境温度とは、磁気ディスク装置のDE表面、またはプリント板ユニットの表面から3cm 離れた点の温度を示します。DE表面温度測定ポイントの例を右に示します。
ただし、システム内において、3cm 離れた温度を測定することが難しい場合、DE表面温度規定が、システム保証最大温度下でも満足するよう、空冷条件などの配慮をお願い致します。
結露に対する配慮
HDDが急激な温湿度変化にさらされると、結露を生じます。特にDEの内部で結露が生じた場合は、吸着障害やヘッドクラッシュなどの重大な障害の原因となりますので、注意が必要です。
また、HDDの表面(DE のケース外側またはプリント板表面)が結露した場合においても、電気回路の絶縁が損なわれたり、発錆による導通不良や塵埃発生を生じたりする恐れがありますので、このようなことが起こらないよう注意してください。
また、万一 HDDに結露が生じた場合は、直ちに販売店か当社営業拠点に修理・点検をご依頼くださるようにお願い致します。
一般には、以下の環境条件を守れば結露の発生を防止できます。
- 湿度範囲: 5から80%RH
- 温度範囲: 5から45 ℃(環境温度)
- 湿球温度: 29 ℃以下
- 温度勾配: 1時間あたり15 ℃以内
次に、結露が発生しやすい条件の具体例と防止策を述べます。
1. 移動時、開梱包時における配慮温度条件
HDDが低温の環境下に長時間放置されていた場合、これを高温環境下に移動すると結露することがあります。このような場合は、HDDを裸の状態で移動することを避け、梱包箱に収納したままで移動してください。そして、移動後HDD本体が周囲の暖かい温度になじむまでの一定時間、HDDを梱包状態のまま置いておく必要があります。
特に、冬季において、屋外や空調設備のない倉庫に長時間放置されていたHDDを屋内に持ち込む場合や、夏季において冷房の効いた屋内から屋外にHDDを移動する場合に、このような注意が必要です。
一般に、HDD本体と環境温度の差が20℃以上ある場合に、結露に対する配慮が必要となります。
HDDが周囲温度になじむまでの時間は、HDD本体と環境温度の差に依存しますが当社所定の梱包箱に収納した場合、1時間あたり15 ℃を目安としてください。
2.空調機運転における配慮
システムが一定時間停止していてHDD 本体が冷え切った状態にあるとき、周囲温度が急激に上昇すると結露が発生することがあります。
特に、寒冷地において夜間や休日にシステムや空調を停止するような場合、翌朝または休日明けにはHDD本体が冷えきっているため、結露をおこしやすい環境になっています。
このような状態で結露を防止するには、室内の温度上昇を1時間あたり15 ℃以下に保つとともに、湿度を80 %RH 以下に保つようにして空調機を運転してください。
振動・衝撃
1. 振動・衝撃の規格および規格設定条件
当社の HDDの耐振動および衝撃規格は各機種毎に規定されていますので、この規格を超えた振動や衝撃を与えないよう配慮願います。
振動や衝撃規格はフィクスチャ上のフレームネジ近辺で定義されます。加振テーブルに固定されたフィクスチャに、HDD を所定の取付けネジ穴を通して取り付けた状態で測定されたデータを元に、振動および衝撃規格は設定されております。所定のネジ穴を使ってHDDを固定していない場合は、振動や衝撃の規格を保証できない場合がありますので注意してください。
お客様の使用環境においてHDDに規格値以上の振動や衝撃が加わる可能性がある場合は当社に相談してください。
また、万一規格値を超える振動や衝撃を与えた場合は、直ちに当社に修理・点検を依頼してください。
2. 振動
稼働中に規格以上の振動がHDDに加わると、ヘッドに振動が伝わり、位置決め制御系に狂いが生じ、リードライトの性能を低下させます。
HDDをシステムに塔載した状態では、HDDがキャビネットの振動特性の悪影響を受けることがあります。特にキャビネットが共振周波数をもっている場合、外部からの振動が増幅され規格を超える振動がHDDに加わることがありますので注意してください。
3. 衝撃
規格を超えた衝撃がHDDに加わると、スピンドルなどの機構部に狂いが生じて正常な位置決め制御ができなくなったり、媒体が損傷を受けてデータが喪失したりする可能性がありますので注意してください。
HDDとキャビネットの間に2.5mmのクリアランスがない場合や、HDDがキャビネットにしっかりと固定されていない場合、キャビネットの剛性が十分でない場合には、キャビネットとHDD が振動や衝撃によってぶつかり、規格を超える衝撃がHDD に加わることがあります。
また、HDDを裸の状態で移動する場合は、HDD本体を堅い物にぶつけたり、落下させて規定以上の衝撃を加えたりすることのないよう十分注意してください。HDDを机の上に置く場合はゴムマットを敷くこと、十分に広いスペースのある場所で作業することなどの配慮をしていただければ不測の事故を防ぐことができます。
4. 梱包状態での落下
当社所定の梱包箱を使用した状態で、60cmの高さから落下させてもHDD が損傷しないことを確認済です。ただし、装置を保護するために、梱包箱が破損する場合があります。
しかし、当社指定の梱包箱を使用しない場合や、当社所定の梱包箱においても度重なる使用によって梱包材が変形や損傷している場合には、規定の高さからの落下に耐えられないことがありますので、輸送時には梱包に注意していただくとともに、できる限り衝撃を与えぬよう取扱いの配慮をお願い致します。
空気清浄度、塵埃条件
1. 塵埃
HDDのヘッドおよびディスクは DE内に密閉されており、外部のゴミや塵埃がDE内部に直接侵入することを防いでおります。また、DEには呼吸フィルターが取り付けられており、スピンドル起動や温度変化に伴ってDE内外で圧力差が生じたときに呼吸フィルターを通して外部からの空気が出入りします。
当社のHDDは一般のオフィス環境下で塵埃を吸い込まず正常に動作するように設計されております。したがって、一般のオフィスでは特別な防塵対策を施す必要はありませんが、塵埃はHDDの重大な障害を引き起こす恐れがありますのでご注意下さい。
2. 腐食性ガス
腐食性ガス(硫化水素、窒素酸化ガス、酸性ガスなど)の環境下でHDDを使用されると呼吸フィルターを通してDE内部にガスが侵入し、DE内部で使用されている部品が化学変化をきたします。そして、化学変化によって発生した物質がDE内部を浮遊すると、それが回転中の媒体と浮上しているヘッドの間に入り込み、ヘッドクラッシュを誘発します。
このように、腐食性ガスはHDDの重大な障害を引き起こす恐れがありますので注意してください。
安全規格
当社のHDDは以下の安全規格に適合しております。
- UL: UL 1950
- CSA: CAN/CSA C22.2 N0950
- IEC: EN 60 950
電波規格(EMI)に関しては、HDD単体での認定は受けておりませんが、キャビネットに組み込んだ状態でFCC クラス B に適合するように設計されております。
用語解説
- 1 DE:
- Disk Enclosureの略。詳細は、第8章 技術用語解説をお読みください。
