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特集記事 プライベートクラウドが導く、柔軟かつ俊敏な新・ICT基盤― 新時代ICTモデルの現実解。その導入のポイントとは ―

クラウド・コンピューティングがもたらす種々のメリットに魅力を感じているものの、業務データを社外のデータセンターに置く際のセキュリティやコンプライアンス上のリスクなどから、いまだ導入に二の足を踏む企業は少なくないようです。今回は、クラウドならではのICTリソースの効率的な調達・配備・利用の仕組みをセキュアに実現する「プライベートクラウド」のアプローチに焦点を当て、マッチする用途や、プライベートクラウドの運用を担うPCサーバに求められる要件などについて明らかにしていきます。

技術と活用方法の進展で、クラウド導入の機が熟す

新時代のICTモデル/パラダイムとしてクラウド・コンピューティングが注目を集めるようになってからすでに5年ほど経過しています。「"cloud=雲"のコンピューティング」という抽象的な呼び名が実態をつかみにくくしていることもあり、登場後しばらくは「ICTベンダーのマーケティング的なバズワード(流行り言葉)にすぎない」といった受け止め方をよくされていました。しかしその後、関連技術の進展と共に有用な製品・サービスが次々と登場して、得られるメリットが広く周知されていったことで、現在では企業ICTシステムの設計・構築・運用の際に必ず検討される有力なアプローチとなっています。

パブリッククラウドとプライベートクラウド

クラウドの定義として、よく「システムやアプリケーション、データなどのICTリソースを社内に置かず、ファイアーウォールの外側からオンデマンドで調達するICTモデル」といった説明がなされます。これは、クラウドの特徴の一端を言い表してはいますが、正確には「パブリッククラウド」と呼ばれるクラウドの一形態の説明にとどまるものです。登場初期には、単にクラウドと言えばこのパブリッククラウドの形態を指していましたが、その後、ICTベンダーやサービス事業者によってプライベートクラウドが提供されるようになってからは、両形態が明確に区別されるようになっています。今回のテーマであるプライベートクラウドの特徴について見ていく前に、ここで両形態の違いをあらためて確認してみます。

パブリッククラウド

クラウドサービスとして提供されるすべてのICTリソースが、ユーザー企業のファイアーウォールの外側(具体的には、クラウドサービス事業者のデータセンター)に置かれている形態をパブリッククラウドと呼びます。「パブリック」という名のとおり、提供されるクラウドサービスは、利用契約を交わしたすべてのユーザーに向けて提供され、用途とユーザー対象は、消費者向けのゲームから、ユーザー個々人のためのビジネス・アプリケーション、企業情報システム向けのアプリケーション、オンラインストレージまで多岐にわたっています。

プライベートクラウド

ユーザーに提供されるすべてのICTリソースが、ユーザー企業のファイアーウォールの内側に置かれ、クラウドサービスとして構築される形態がプライベートクラウドです。「プライベート」の名が表すように、その利用は一企業ないしは一企業グループ内に限定されるもので、2008年頃から提唱されるようになりました。用途とユーザー対象は企業情報システム向けのICT基盤や業務アプリケーション、共有ストレージにほぼ限定されています。

パブリッククラウドとプライベートクラウドの図

現実解としてのプライベートクラウド

企業が自社システムにクラウドを採用することで得られるメリットとしては、大きく次の3つが挙げられます。

  1. (1)ICTリソースの柔軟かつ効率的な活用
  2. (2)ビジネス・ニーズに対する迅速なICTの供給
  3. (3)ICTにかかるTCO(総所有コスト)の削減

このうち、(2)のビジネス・ニーズに対する迅速なICTの供給については、SaaS(Software as a Service)やIaaS(infrastructure as a Service)などのクラウドサービスを外部のクラウドサービス事業者と契約して調達するパブリッククラウド固有のメリットになります。いわゆる"持たざるICT""ICTの変動費化"の推進においてはパブリッククラウドが有効な一手となり、実際、CRM(顧客関係管理)やWebグループウェアなどの分野では、SaaSが従来からのシステム/アプリケーションを自前で構築・運用するオンプレミスに代わって選ばれるケースがかなり増えています。また、新規事業の迅速な立ち上げやシステムの運用管理にかかる作業労力やコストを抑える目的で、業務システムをIaaSやPaaS事業者にまるごと委ねるケースも一般的になってきています。

こうした動きを見て、「クラウドがもたらすメリットを最大限に引き出したいから、パブリッククラウドを選択しよう」と考える企業ユーザーはかなり多いでしょう。ただし、パブリッククラウドが自社のビジネスにおける用途・要件において常にベストの選択肢になるかというと、もちろんそうではありません。以下に、パブリッククラウドの選択がふさわしくない、もしくはプライベートクラウドの選択が最も理にかなっているケースを挙げてみます。

 セキュリティあるいはコンプライアンス上の要件から、外部・社外のデータセンターに保管することがふさわしくないデータを扱う場合

パブリッククラウドにおける最大の課題と言え、この場合は従来型のオンプレミス型のシステム構築かプライベートクラウドを選ぶのが安全かつ確実ということになります。ここで対象としているのは、顧客の個人情報や経営・事業上の機密情報といった、自社内での厳重な管理が強く求められる、ないしは規約や法規上それが義務づけられているようなデータです。セキュリティやデータ保護の安全性については、各事業者とも一般的なユーザー企業以上に入念な対策を講じているはずですが、人為的なミスは避けられようもなく、企業においては「クラウドに預けてよいデータとそうでないデータの峻別が求められているのです。

 自社のコアコンピタンス領域において、競合他社との明確な差別化を図りたい場合

クラウドサービス事業者がサービスをユーザーに提供する仕組みがかかわってきます。パブリッククラウドの場合、事業者は基本的に「マルチテナント型モデル」と呼ばれる仕組みの下でサービスを提供します。マルチテナント型とは、サービスの提供に必要なハードウェアやソフトウェア、データベースなどを複数の顧客企業で共有するモデルを指しています。事業者にとっては、クラウド提供システムの修正・更新やメンテナンスを一括で済ませられるという事業効率化のメリットがありますが、その仕組み上、提供されるサービスは、(多少のカスタマイズの余地があるものの)すべてのユーザーに対して均一のものとなります。

つまり、パブリッククラウドとは、言うなれば既製品としてのパッケージ・ソフトウェアのクラウド版であり、サービス内容・仕様が自社のビジネスで必要とするきめ細やかな機能要件を満たせない場合や、自社の取り組みを見て競合他社が真似しようとすれば同じことができてしまうことを念頭に入れておく必要があるでしょう。これらのことから、自社のコアコンピタンスとなるような競争優位性を高く保ちたい事業や用途においては、パブリッククラウドは概して不向きということになります。

 ICT基盤を刷新するべく、すでに仮想化技術を活用した自社サーバの集約・統合に着手している場合

もし、自社が仮想化技術の導入と活用に着手しているのであれば、その延長線上での段階的な取り組みでプライベートクラウドのスムーズな導入が可能になることを意味します。昨今、多くの企業においてICT活用が進んだ結果、システムを立ち上げるたびに導入したサーバが社内に散在し、その資産管理や運用管理の煩雑さや安全性の確保をどうするかで頭を悩ませている情報システム担当者は多数に上ると思われます。こうしたやっかいな問題を解決し、変化の激しいビジネス環境において俊敏に対応していくことのできるICT基盤を確立することは、情報システム部門にとって急務のミッションであり、仮想化技術を活用した複数のサーバの集約・統合がその第一歩となります。

プライベートクラウドは、この仮想化による集約・統合を、クラウドならではの"as a Service"=「サービスとしての利用」のメリットを享受しながら、ICT基盤の標準化、自動化を推し進めていくためのアプローチだととらえることができます。例えば、部門や業務ごとのICTリソースの使用量/使用率の見える化を図ったり、そこから空きリソースを効率的に調達して時宜に応じたシステムの立ち上げを行ったり、既存の業務システムやアプリケーションとの連携・統合を容易に行ったりといったことを、プライベートクラウドでは従来のオンプレミス型システムよりも容易に実現することができるのです。

整理すると、自社の強みを存分に生かした業務システムの立ち上げを計画中であるとか、あるいは、サーバやPCのメンテナンスやトラブルシューティングなど日々さまざまな業務に追われて、現状のICT基盤が今日のビジネス環境に求められる柔軟さや俊敏さを欠いているというような課題を抱えているのであれば、そうした情報システム部門にとって、プライベートクラウドが最善手のアプローチになっていくと言えます。

プライベートクラウドの実現ステップ

プライベートクラウドの構築・運用を支えるPCサーバの要件とは

ここからは、仮想化による複数サーバの集約・統合を起点としたプライベートクラウドの構築・運用を担うPCサーバの要件について見ていくことにします。社内ユーザー数が50~1,000名程度の中堅・中小規模の企業での導入を想定したうえで実際の製品選定時に留意すべき主要な観点を挙げ、富士通のPCサーバ「PRIMERGY」に備わる特長や機能と照らし合わせながら説明していきます。

POINT 1 : PCサーバとしての基本性能

まずチェックするべきは、業務システムの安定稼働を担うPCサーバとしての基本性能が十分であるかどうかです。例えば、24時間・365日の連続運用が求められるシステムを、余裕をもって稼働させることのできる、ハードウェアとしての高い信頼性、耐障害性や、用途に応じてCPUやメモリ、ストレージ、電源、筐体タイプなどの選択肢が充実しているかなどを確認することになります。

PRIMERGYは、高性能・高信頼性と柔軟な運用管理性を兼ね備えたPCサーバとして進化を続けている製品です。筐体はラック型、タワー型、タワー/ラック兼用型、ブレードサーバ、コンパクトサーバなど豊富なバリエーションが用意され、用途や必要とする拡張性、可用性などに応じて最適な構成・スペックのモデルを選択することができるようになっています。2WAY機は、インテル Xeon® プロセッサー E5ファミリーを採用、最大で16コアまで実装可能、大容量メモリも搭載可能とし、仮想化環境においても快適な動作を実現します。

POINT 2 : 主要な仮想化ソフトウェアのサポート

サーバ仮想化技術のパフォーマンスと信頼性がこの10年で大きく進展し、基幹業務システムを仮想環境上に構築するケースが少しも珍しいことではなくなった昨今、仮想化ソフトウェアの運用性や親和性の高低は、PCサーバ選定時の重要な指標になりつつあります。Windows Server 2012と同時にリリースされ、新たに大幅な機能強化が図られた「Hyper-V」、長年市場シェア1位を維持する「VMware」をはじめ、Red Hat Enterprise Linuxに標準で備わるオープンソースの「Red Hat Enterprise Virtualization」、アプリケーション仮想化の「Citrix XenApp」およびデスクトップ仮想化の「XenDesktop」といった主要仮想化ソフトウェアの運用を十分にサポートしているかどうかを見極める必要があるでしょう。

PRIMERGYでは、上記すべてが動作確認済みソフトウェアとしてサポートされ、いずれもすでに多数の導入実績を有しています。

製品紹介 仮想化環境を実現する仮想化ソフトウェア

POINT 3 : TCO削減に寄与する運用管理の効率化・自動化機能

プライベートクラウドの導入によって推進される、ICTインフラの標準化・自動化・サービス化は、システム管理者の負担を軽減してくれるものです。ただし一方で、ICTリソースの集約・統合がなされた仮想環境自体の構成は複雑化するため、物理環境のみの運用時には経験しなかったようなエラーや不具合に見舞われることがあります。そのため、PCサーバには、高度な運用管理の仕組みが備わっている必要があります。

使い勝手にすぐれたシステム統合管理ツール「ServerView Suite」が標準で提供されているのは、PRIMERGYの大きな特長の1つとなっています。また、運用・保守サービス「SupportDesk」では、PRIMERGYの運用を知り尽くした技術スタッフが24時間・365日体制でのサポートを提供し、プライベートクラウド構築・運用・保守の全フェーズにおいてユーザー企業を支援しています。

富士通では上記のほかにも、プライベートクラウドを迅速に導入できるサーバ主体の統合パッケージとして「Cloud Ready Blocks」をラインナップしています。同パッケージは、プライベートクラウドの設計、構築、運用に必要なハードウェア/ソフトウェアをあらかじめ基本設定した状態でユーザー企業の元に届けるという、オールインワン型のソリューションであり、仮想化からプライベートクラウドへのステップアップをスムーズに実現するものです。

以上、今回は、種々の環境変化に柔軟かつ俊敏に対応することのできる新たなICT基盤を構築していくうえで現実解としてのプライベートクラウドにフォーカスし、導入にあたっての要所をお伝えしました。プライベートクラウドがもたらすメリットに早期から着目し、成果を得る段階に達したという企業が増えており、このテクノロジーに関して、機は熟したと言えます。本稿の内容を参考にされ、自社での導入タイミングを計ってみてはいかがでしょうか。

製品紹介 プライベートクラウド統合パッケージ Cloud Ready Blocks

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