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省エネ対策とIT基盤の最適化、どう進めていくか? 担当者が語る「最新機種に入れ替え」

この数年における環境問題の深刻化とともに進められてきた対策技術の進化は目を見張るものがあります。
例えば5年前の機種と単純に比較しても、その間の技術革新による性能の向上は一目瞭然です。
以下は、各プロダクトにおける具体例と省エネを実現する技術のご紹介です。

[公開日 2011年12月9日]

[更新日 2014年8月27日]

目次

3年前、5年前のモデルとの消費電力比較

電源技術

半導体技術

冷却技術

3年前、5年前のモデルとの消費電力比較

PCサーバ : FUJITSU Server PRIMERGY

現行モデルと3年前のモデルとを比較すると、下記データに示す通り消費電力が大幅に低下しています。さらなる前世代のサーバを入れ替えると、より大きな節電効果が得られます。

PCサーバ FUJITSU Server PRIMERGY:現行モデルと旧モデルの消費電力比較
PCサーバ FUJITSU Server PRIMERGY:現行モデルと旧モデルの消費電力比較

さらに「省電力モデル」では、現行モデルに比べ消費電力を最大約33%削減しています。
これは、プロセッサとメモリに低消費電力部品を搭載することに加え、サーバ省電力化技術により、冷却ファンの回転数を温度に応じて必要最低限となるように制御することで、省電力化を実現しています。

PCサーバ FUJITSU Server PRIMERGY RX200 S6:省電力モデルの消費電力比較
PCサーバ FUJITSU Server PRIMERGY RX200 S6:省電力モデルの消費電力比較

基幹IAサーバ : FUJITSU Server PRIMEQUEST

2014年4月に発表した2000シリーズでは、スーパーグリーン製品として、80PLUS PLATINUM準拠の高効率電源を採用するなど、1000シリーズに比べて2倍以上の大幅な消費電力-性能比の改善を行っています。

UNIXサーバ : SPARC M10

UNIXサーバ SPARC M10は、高い処理性能と信頼性を兼ね備え、エコロジーを徹底追求したUNIX サーバです。1プロセッサに16個のコアを搭載したUNIXサーバ SPARC M10-1は、ミッションクリティカルに求められる高性能・高信頼性を1Uサイズに凝縮。従来機種と比較して、性能:1.5倍(同一コア比)、スペース:1/2、消費電力:3/5を実現しています。

UNIXサーバ SPARC M10:最新機種の省電力・省スペース化
UNIXサーバ SPARC M10:最新機種の省電力・省スペース化

ストレージ

FUJITSU Storage ETERNUS DXディスクストレージシステムは、装置の高密度実装設計、搭載部品点数の大幅削減を行い、旧機種と比較して約1/2の小型化を実現。また、高効率な電源供給モジュールと2.5インチSASドライブの採用で、約1/2の省電力化も実現しています。さらにコントローラに搭載する最新フラッシュテクノロジー「Extreme Cache」により大幅な性能向上に加え、要求性能に対して従来必要であったHDDの大幅削減を可能にしました。また、HDDの収納効率を飛躍的に高め、設置スペースを最大50%以上削減可能な「高密度ドライブエンクロージャ」を新たにご提供。大容量用途に優れた設置効率を実現します。

ストレージ FUJITSU Storage ETERNUS:最新機種の省電力・省スペース化 ミッドレンジディスクアレイの例


ストレージ FUJITSU Storage ETERNUS:最新機種の省電力・省スペース化 ミッドレンジディスクアレイの例

ネットワーク製品

スタンダードスイッチ製品SHシリーズ:省スペース化
スタンダードスイッチ製品SHシリーズ:省スペース化

ネットワーク製品も最新機種では、消費電力が大きく下がっています。例えばスタンダードスイッチ製品のSHシリーズでは、5年前のSH1515Bが12Wでしたが、最新の同様なスペックのSH1516Cは2.4Wと約80%もの消費電力の削減を実施しています。1台での消費電力削減量は少ないですが、SHシリーズスイッチは事務所になどに多く設置する機器であり、全体として見ると多くの消費電力の削減につながります。

こうした削減効果を支えている技術として、ここでは「電源技術」「半導体技術」「冷却技術」にスポットを当ててディスカッションします。

電源技術

電源ユニットの変換効率を追求

伊藤:節電・省エネ効果を支えている重要な技術といえば「電源技術」ですが、まずは「電源」自体をどう制御・管理するか、あるいは「電源」そのものの技術的な側面についてお話を伺います。
特に電源ユニットに関しては、効率化を徹底しているようですね。

村田:IT機器の電力消費を消費するユニット毎で見た場合、5年前までは一般的に電源ユニット内部の消費が36%と言われていました。

エンタプライズサーバ事業本部 実装技術開発統括部 プリンシパルエキスパート 村田 英己の写真
村田 英己
エンタプライズサーバ事業本部
実装技術開発統括部 プリンシパルエキスパート

これは、電源ユニット内部でIT機器に使用される半導体や様々な部品の駆動に必要な電圧を作り出すときに発生する変換ロスで、そのロスをいかに小さく抑えるかが、電源ユニットの開発における大きな課題と言えます。
当社は長年に渡り、電源の変換効率の改善を追求し、サーバやストレージなど全ての製品で常に業界トップクラスの高効率電源を採用してきました。
そして、現在の製品のほとんどは効率=90%以上の高効率電源を採用しています。
その電源の効率を評価する基準として、電源業界が80PLUSプログラムを設け、電源ユニットの効率目標の設定と達成度を認定することで、電源ユニットの優秀さを一目でわかるようにしています。

IT業界は、この80PLUSを一つの目標値として、電源効率を上げる努力を進め、当社はその中でも、より高い効率目標を追求しています。
また、当社は電圧のコンバーターにおいても、高効率化を追求し、電源全体での高効率化を追求し続けています。

廣瀬:FUJITSU Server PRIMEQUEST 1000シリーズは富士通のサーバで初めて80PLUS GOLDに準拠した高効率電源ユニットを採用しました。最新の2000シリーズではさらに効率のよい80PLUS PLATINUMに準拠した高効率電源ユニットを採用するなど、電源ユニットの効率にもこだわりながらサーバを開発しています。

FUJITSU Server PRIMEQUESTの80PLUS PLATINUMに準拠した高効率電源ユニット
FUJITSU Server PRIMEQUESTの80PLUS PLATINUMに準拠した高効率電源ユニット

高見:最近ですと、FUJITSU Server PRIMERGYでも、最新のRX100 S7で80PLUS GOLDや80PLUS PLATINUMといった高効率電源ユニットをサポートするようになっています。また、BX900という機種でも80 PLUS PLATINUM認証を取得した高効率電源ユニットがオプション製品のラインナップとして新たに採用されました。
今後、各ラインナップのサーバでも順次80PLUS GOLDまたはPLATINUMの電源を採用することになっています。

伊藤:UNIXサーバ SPARC M10も80PLUS GOLDまたはPLATINUMの電源を採用しています。UNIXサーバ SPARC M10-1の電源ユニットは変換効率92%(負荷率50%時)を実現し80PLUS GOLD認定を取得、UNIXサーバ SPARC M10-4およびUNIXサーバ SPARC M10-4Sの電源ユニットでは、変換効率94%(負荷率50%時)を実現し80PLUS PLATINUM認定を取得しています。

電源の変換効率と負荷を最適にコントロール

村田:高効率電源の採用に加え、さらにそれを効率よく使うことも重要なんです。

廣瀬:電源ユニットというのは、例えば二重化されていると、可用性の観点からこれ以上電源ユニットの数は減らせませんから、最大でも負荷率は50%にしかなりません。具体例を申し上げますと、500Wの容量を持つ電源ユニットが2台ある場合、サーバが消費できる電力は最大で500Wになります。これは、片方が故障してももう片方の正常な電源ユニットで500Wを継続して供給する必要があるためです。これが冗長性というものです。一方、正常動作時には2台の電源ユニットが500Wを2等分してそれぞれ250Wまでの負荷を受け持ちます。これが負荷共有(ロードシェアリング)という機能です。そうすると、それぞれの電源ユニットには定格の50%までしか負荷がかからないことになります。そこで電源ユニットは負荷率50%程度のところが一番効率が良くなるように設計されています。

FUJITSU Server PRIMEQUEST担当 IAサーバ事業本部 IAサーバ事業部 システムエンジニアリング部 廣瀬 元義の写真
廣瀬 元義
FUJITSU Server PRIMEQUEST担当
IAサーバ事業本部
IAサーバ事業部
システムエンジニアリング部

80PLUS認証ランクの変換効率の規格
80PLUS認証ランクの変換効率の規格

伊藤:変換効率がよい状態へ制御していくことが消費電力削減に有効になってくるわけですね。

廣瀬:サーバに搭載するCPU/メモリや各種のオプションによって、電源の負荷率が変わってきます。電源ユニットをN+1構成で冗長化している場合など、構成によって1つあたりの電源ユニットの負荷率が下がりすぎてしまう場合があります。そうすると、電源ユニットの変換効率が下がってしまうので、構成に合わせて必要な電源ユニットだけ使うようにして効率を上げるといった技術が備わっています。AC入力を変換する電源ユニットだけでなく、内部のDC/DC変換器も含めて、構成に応じた電源ユニットの制御を行っています。

高見:FUJITSU Server PRIMERGYの例を挙げると、電源ユニットの負荷率を監視して、必要となる電力が少ない場合に、必要なだけの電源ユニットを使用するようになっています。
具体的にはPSUが最大4台搭載可能なラックサーバのRX600 S5やS6で、コールド冗長機能といって、稼働に必要なだけの電源ユニットが動作することによって、変換効率のもっともよい負荷率50%近辺で動くように最適化しています。

FUJITSU Server PRIMERGYにおける電源ユニットの電源供給制御
FUJITSU Server PRIMERGYにおける電源ユニットの電源供給制御

伊藤:それは自動で動くようになっているんですか?

高見:はい、お客様が特に意識しなくても、常に5%とか、電力削減しているような状態になっています。

伊藤:何もせずして減っていくというのは嬉しいですね。

省電力モードとパワーキャッピング(最大消費電力を制限する機能)

高見:また、FUJITSU Server PRIMERGYやFUJITSU Server PRIMEQUESTには、Intel社のCPUでP-State(CPUの駆動電圧とクロック数の段階的制御によるパフォーマンス状態のこと)を省電力モードにできるという機能があり、OSが必要に応じてP-Stateを変えてCPUのクロックを制御して消費電力と処理能力のバランスをとっています。FUJITSU Server PRIMERGYでは、S4世代からiRMC(integrated Remote Management Controller)がP-State制御の機能を搭載したことで、お客様がCPUの周波数を最小で動かすとか最大で動かすという設定を能動的に選べるようになりました。

伊藤:UNIXサーバ SPARC M10では、使用なハードウェアや動作率の低いハードウェアの消費電力を下げるPower Saving機能により、稼働状況に応じた省電力を実現する機能を備えています。より省電力を求める場合は省電力モード、省電力より性能パフォーマンスを求める場合は性能優先モードと、省電力のレベルを選択することができるので、お客様の運用に合わせて、業務量に応じた電力使用が可能です。お客様の運用に合わせて、そこを変えられるようになってきたということですね。

CPUの動作周波数制御による消費電力の制御
CPUの動作周波数制御による消費電力の制御

高見:例えば、スケジュール運転で、夜間で需要が少ないときには省電力モードにしたり、昼間はPower Limiting(消費電力制限)で指定した消費電力以下に抑えるなどといったことができます。
因みに、Power LimitingはFUJITSU Server PRIMERGYにおける機能名ですが、一般的にはパワーキャッピングと呼ばれることもある機能です。それをFUJITSU Server PRIMERGYやFUJITSU Server PRIMEQUEST 2000シリーズ、UNIXサーバ SPARC M10では無償でできるというところが他社にはない特長です。

伊藤:他社だと、ソフトウェアのオプションライセンスなどを購入しないとできないということですか。

高見:そうです。最新のRX100 S7というようなエントリークラスでも富士通はパワーキャッピングできるようにしています。他社だとこのクラスでパワーキャッピングできるものはほとんどありません。

決められた電力の範囲で、最大限のパフォーマンスを発揮させる

高見:また、こうした機能をさらに進めた代表的な機種にFUJITSU Server PRIMERGYのブレードサーバBX400があります。

伊藤:どんな機能か簡単に紹介してください。

高見:機能は2点あります。1つめはEnforced Mode(強制モード)、2つめはLow Noise Mode(低騒音モード)です。
1つめのEnforced Modeですが、これは分かりやすく言うとなるべくパフォーマンスやサーバの動作に影響を与えずにシャーシ全体の消費電力に制限をかける機能です。シャーシ全体に制限をかけると、サーバブレードは省電力モードで継続動作します。どのサーバブレードへより多く電力を供給するかは業務の優先順位や過去の動作実績から決定することができます。特定のサーバブレードにだけ全く制限をかけないこともできますので、応答性能の保証が必要な業務やクラスタなどノード間の対称性が求められる場合にも問題ありません。さらに、ここでAdaptive Budgeting(適応型電力制限)というオプションを有効にすることで、サーバブレード間の電力の融通が可能になります。このとき、あるサーバブレードの電力に余力がある場合は、より電力を必要としている他のサーバが有効利用できるということになります。

伊藤:つまり、決められた電力の範囲で、最大限のパフォーマンスを発揮できるということですね。

FUJITSU Server PRIMERGY ブレードサーバ BX400:電力使用量の上限値を設定した場合の電力イメージ
FUJITSU Server PRIMERGY ブレードサーバ BX400:電力使用量の上限値を設定した場合の電力イメージ

高見:はい。次に、2つめのLow Noise Modeですが、これはシャーシの冷却用ファンが発生させる騒音を低レベルに保持しながら、その範囲内で最大の性能が発揮できるよう最適化したものです。

伊藤:なぜそれが省電力と関係あるのでしょうか。

高見:通常、サーバの負荷上昇により、サーバの内部が高温になると、冷却用ファンを高速回転させることによって冷却を行います。しかしながら、これは騒音を発生させるだけでなく、ファンを回転させるためにより多くの電力を必要とします。Low Noise Modeでは、先に説明したCPUのP-State操作によりCPUの発熱自体を落とすことでファンを高速回転させることなく冷却を行います。つまり、通常の冷却制御に比べて、ファンの消費電力とCPUの消費電力、2つの意味で省電力につながります。

伊藤:なるほど、冷やすのではなく発熱を抑えるという逆転の発想ですね。

無視できない待機電力

伊藤:今日では、待機電力というのも考慮しなければなりませんね。

村田:サーバの中の消費電力は、OSがアイドル状態から負荷によって常に変動しています。その様々な場面で電力を抑える工夫がなされているわけです。国際エネルギースタープログラムへの準拠も各製品で順次進めています。国際エネルギースタープログラムでは、CPUが2ソケット以下の小型サーバに限り、OSがアイドル状態での最小電力を規制しています。

高見:FUJITSU Server PRIMERGYでは主にエントリークラスのサーバで認定を取得しています。
さらに言えば、待機電力を抑えるだけでなく、待機電力を完全にカットしてしまう0-Watt functionという機能を備えた機種もあります。
サーバの待機電力としては、Wake-on-LAN(ネットワーク経由でのコンピュータの電源のリモート操作)の待機状態やiRMCなどのBMC (Baseboard Management Controller)でも数Wの電力消費がありますので、それをカットします。パソコンでも帰宅時/離席時には、コンセントを抜いてくださいといっているように、FUJITSU Server PRIMERGYでは、待機電力を全部カットしてしまうことのできる電源ユニットを搭載しているものもあります。

伊藤:待機電力を完全にカットしてしまうと、リモートからの操作ができなくなってしまうようなデメリットはないのでしょうか?

FUJITSU Server PRIMERGY担当 IAサーバ事業本部 IAサーバ事業部 システムエンジニアリング部 高見 浩之の写真
高見 浩之
FUJITSU Server PRIMERGY担当
IAサーバ事業本部
IAサーバ事業部
システムエンジニアリング部

高見:鋭いご指摘です。実は、必要な時にリモート電源オンできないといったことにならないよう、0-Wattになる時間帯をスケジュールで設定することができます。したがって、例えば電源オンする1時間前に待機状態に復帰するような動作が可能です。

伊藤:ちなみに、そのサーバは、オフィスに置くようなサーバですか?

高見:タワー型の小型のエントリークラスのサーバで、主に中小規模のシステムでオフィスに設置するタイプです。

伊藤:エントリークラスでも省電力を意識して、規模感に見合った機能を備えているということですね。

ロードバランサーだからこそできるサーバの節電

伊藤:ネットワーク製品では電源を制御する機能はあるのでしょうか?

伊瀬:2011年11月末から提供を開始したFUJITSU Network IPCOM EXシリーズに、サーバの電源制御を可能にするサーバ連携機能と呼んでいる機能があります。

伊瀬:大規模なお客様ではWebの前段にサーバ負荷分散装置のFUJITSU Network IPCOM EXシリーズを入れて、Webサーバへのアクセスを分散する機能を使っています。そこにこのサーバ連携機能を入れていただければ、サーバの負荷を見ながら、サーバの負荷が上がったらFUJITSU Network IPCOM側からサーバをパワーオン、サーバの負荷が下がってきたらサーバをFUJITSU Network IPCOM側からパワーオフを行うというサーバ電源制御機能です。大規模なお客様で夜の負荷が低い場合、全体で約30%の消費電力削減につながることを検証済みです。
ロードバランサーでは元々、クライアントからサーバへのアクセスを徐々に減らす保守機能を持っていますので、パワーオフ時はこの機能と連動することで、サーバ停止がサービス停止につながらないようにすることが可能です。

ネットワーク担当 ネットワークサービス事業本部 プロダクト企画統括部 伊瀬 英樹の写真
伊瀬 英樹
ネットワーク担当
ネットワークサービス事業本部
プロダクト企画統括部

FUJITSU Network IPCOMシリーズのサーバ連携機能で電源制御が可能
FUJITSU Network IPCOMシリーズのサーバ連携機能で電源制御が可能

伊藤:ロードバランサーでサーバの電源制御を行うのがポイントですね。他社のロードバランサー製品ではどうでしょうか。

伊瀬:サーバ、ネットワーク製品の両方を開発している富士通だからできた機能だと考えており、他社のロードバランサー製品ではまだこのような機能はありませんので、ぜひアピールしたいものです。

村田:80PLUS GOLD/PLATINUM以上といった高効率電源の採用、それも最も高い効率で使う機能、パワーキャッピングによる電源制御や待機電力カットなど、御使用頂くお客様の構成や使用状況、性能と電力のバランスで省電力を実現する機能など、電源そのものから使い方に至るアプローチも富士通の製品に広く適用することで強化を図っています。

半導体技術

村田:サーバ内の電力消費比率の中でプロセッサの電力量は大きな比率を占めています。
そのため、サーバ全体の節電を実現するためには、それらの節電も重要なんです。

伊藤:UNIXサーバ SPARC M10は最先端半導体テクノロジーを採用し、高集積化・高性能・省電力化を実現しています。最新プロセッサ SPRAC64 X+/X は、28nm配線に1プロセッサあたり16個のコアを搭載しています。また、周辺LSIをチップ内に集約することで部品点数が減り消費電力を削減するとともに小型化も実現しています。

マルチコア・マルチスレッドプロセッサ SPARC64™ X+
マルチコア・マルチスレッドプロセッサ SPARC64™ X+

廣瀬:FUJITSU Server PRIMEQUEST/FUJITSU Server PRIMERGYに搭載しているIntel(R) Xeon(R) プロセッサも、最先端半導体テクノロジーを採用し、高集積化・高性能・省電力化を実現しています。
最上位のプロセッサは1コア当りの消費電力が20%削減されています。また、さらに省電力な低電圧型のプロセッサもラインナップされており、お客様の用途に応じて対応が可能です。
FUJITSU Server PRIMERGYでは、省電力な低電圧型のメモリも採用しています。

この章でご紹介した製品・サービス等

冷却技術

伊藤:ハード装置においては、冷却に費やされる電力も、比重が大きいと思います。この冷却技術の改善もずいぶん進化していますね。

村田:冷却技術は、基本的にはどの製品も、ストレートクーリングといいまして、熱源となる部品類を一直線に配置することで、風の流れを阻害するモノを構造的に排除したり、発熱体あるいは発熱部分を集中的に冷やせる構造にして効率を上げています。

廣瀬:活性保守の際には、部品をユニット単位で抜き差しするので、そのままではその部分から風が漏れて内部の冷却が乱されていまいます。最近は冷却をギリギリに絞っているので、その影響も無視できません。大きなユニットには、そこに弁(フラップ)をつけることで穴をふさいで、保守の間も冷却が乱れないようにという工夫もなされています。

活性保守の際にユニットの冷却が乱れないようにするフラップ(弁)
活性保守の際にユニットの冷却が乱れないようにするフラップ(弁)
(注)FUJITSU Server PRIMERGY BX400/BX900、FUJITSU Server PRIMEQUEST 2000シリーズの場合

伊藤:UNIXサーバ SPARC M10では、新しい冷却技術を採用しています。従来の水冷方式の良い点(=高効率)と空冷方式の良い点(=データセンターに専用設備不要)をあわせもつ新しい冷却技術"ハイブリッド冷却Liquid Loop Cooling"です。効率的な冷却だけでなく、全体をコンパクトにまとめることで、従来の空気冷却では実現できなかったサーバ装置の小型化とファン電力の削減も可能にしています。

ハイブリッド冷却Liquid Loop Coolingの冷却方法

余計なファンを回さない

村田:もうひとつは、周囲温度や中のチップの発熱の状態によってファンの回転数を最適化し、発熱状態や負荷によって冷却の電力を最低限に最適化するというような機能を持っています。こうした冷却技術は、富士通として全製品で取り組んでいます。

高見:FUJITSU Server PRIMERGYやFUJITSU Server PRIMEQUESTでは、プロアクティブ・ファン機能といって、センサーが複数ベースボード上に配置されていて、部品の温度によってファンの回転数を連続的に制御しています。FUJITSU Server PRIMERGYでは特に、温度が高いところに近いファンの回転数を上げたり、低い部分に近いファンの回転数を下がるというきめ細かな制御をしています。

伊藤:UNIXサーバ SPARC M10でも外気温度によってファンの速度を多段階に制御しています。高速回転/中速回転/低速回転をきめ細かく温度に応じてリニアに制御することで、消費電力の削減効果があります。

山崎:ストレージでは、10段階のファンの制御を行っています。それにより、温度の高いところだと一気にファンを回して、冷却効果を高めるといったようなことを行っています。また、同時に約40dBという静音性も実現しています。

高見:同じような考えの機能として、ブレードサーバではゾーニングというものがあります。これは、ブレードサーバの構造上、シャーシの前面には複数のサーバブレード、背面には複数のファンユニットが配置されていますが、前後の位置関係から対応するサーバブレードとファンユニットの組み合わせをゾーンとして定義し、ゾーン毎にファンの制御を行うというものです。この機能が効力を発揮するのは以下2のケースです。

  1. 特定のサーバブレードだけ高温になった場合、当該サーバブレードが属するゾーンのファンの回転速度を上昇させる
  2. あるゾーンにサーバブレードが搭載されていない場合、そのゾーンのファンは回転させない。

廣瀬:FUJITSU Server PRIMEQUEST 2000シリーズでも同様な考え方で、温度が上昇した部分を集中的に冷却する、グルーピング冷却を採用しています。

ネットワーク製品も前から吸気、後ろから排気 ~ラックの中の熱だまりを軽減~

ネットワーク担当 ネットワークサービス事業本部 プロダクト企画統括部 浪平 大輔の写真
浪平 大輔
ネットワーク担当
ネットワークサービス事業本部
プロダクト企画統括部

浪平:ネットワーク間連の冷却技術としては、サーバとの接続を前提に考えたSR-Xというスイッチがあります。
ラックに搭載したときに、サーバは普通、前から吸って後ろに温かい空気を吐き出しますが、ネットワーク製品というのは、昔から横吸気横排気の機種が多かったのです。それだと、データセンター等においたときに風の流れが一定にならず、熱だまりを作ってしまうということで、SR-Xシリーズでは全て吸排気をサーバに合わせました。

村田:従来の自立型フロアスタンド製品主流の時代では、ネットワークのポート数も少なく、ネットワーク機器はサーバの上や床に置かれていましたが、急激なインターネットと半導体技術の発展により、少ない設置エリアで沢山の機器が搭載できるラック搭載型製品のニーズが急激に高まり、現在はラック搭載製品が60%以上を占めています。

一方、ネットワーク製品は、ネットワーク網の急激な拡大に対応すべく、小型・多ポート化を優先し、ラック搭載はできれば良いレベルでの対応に留まってきたのです。
しかし、近年、小型・高密度サーバの普及による発熱問題やデータセンターの普及、ネットワーク網の拡大に伴うセキュリティ保護の重要性意識の高まりから、ネットワーク製品をラックに固定搭載するケースが急激に増加、沢山のネットワーク・ケーブルを収容してもラック内全体冷却に悪影響を及ぼさない製品の要求は高まっていると言えます。
他社に先行して対応を進めたということですね。
開発にあたり苦労した点があれば教えてください。

浪平:デザイン的な問題があります。ネットワーク製品はポートを前面にしていました。その場合、前面に吸気スペースが確保できないので、横吸気、横排気するしかありませんでした。しかし今回はポートを背面にもってき、サーバと同じように前面吸気・背面排気にして、熱だまりができないようにしています。
背面にポートを設置することで、熱だまり対策だけでなく、サーバと同じ場所にポートがあるので結線も短くて済むという効果もあります。

ラック内の効率的な冷却に対応したLANスイッチ
ラック内の効率的な冷却に対応したLANスイッチ

ケーブルを減らせば冷却効率も高まる

村田:ケーブルの効率的な結線も重要です。ブレードサーバでは、ケーブル本数を減らして冷却効率を上げていますが、それと同じで、ラックに搭載したときに、冷却を阻害する要因としてケーブルというのは非常に大きな問題になっています。ケーブル本数をなるべく減らすために、以前は前面から回り込んで背面につないでグチャグチャになっていたケーブルを、後ろにポートを出して最短距離でつなげられるようにすることで、ケーブルがたくさん垂れているということも無くなります。これによって冷却の阻害率が減るわけです。

ラックマウントサーバとブレードサーバの背面のケーブル本数
ラックマウントサーバとブレードサーバの背面のケーブル本数

推奨稼働温度は28℃まで引き上げ

伊藤:最近は、サーバルームの設定温度を上げたいというお客様も増えていますね。

高見:FUJITSU Server PRIMERGYの省電力モデルでは、データセンター向けに高めの温度にファン制御を最適化しています。富士通研究所のノウハウで最適なチューニングをして、データセンターの室温を高めにした場合でも、ギリギリまでファンの回転を上げずに冷却できるようにしています。普通のモデルだと、高温から低温まで、幅広いレンジの環境で動かせるようにチューニングしていますが、例えば28℃とか、30℃といったところでも最低限の回転数にファンを制御して、サーバが異常を感知しない限界で動作するようになっています。

村田:サーバ・ストレージなどのシステムを構成する製品において、各社は、製品寿命を5年とした場合、その間の安定稼動を目的に推奨を25℃以下で設定してきました。
しかし、地球温暖化による対策としてCO2削減意識が世界中で高まり、データセンターの設定温度を上げる試みが始まっており、アンケートでは6割を超えるお客様がIT機器の設定温度のアップに踏み切っています。
また、データセンターの運用に大きな影響を与える米国のASHRAE(冷房・空調機団体)が2008年にデータセンターの設定温度は18~27℃が望ましいとの見解を発表し、世界中で設置温度のアップが進んでいると言えます。
また、国内では2011年3月11日の東日本大震災を契機に節電意識が高まっており、データセンターで大きな電力消費比率を占める空調電力を削減するために、当社はサーバ・ストレージなどの製品で夏場の国の指針であるクール・ビズに対応すべく、推奨温度を平均18~28℃に変更することを進めています。
富士通のデータセンターも夏の節電目標を達成するために熱だまり対策なども行い約3℃上げました。
世界的にもサーバの設置環境温度を上げる傾向にあります。
クール・ビズに対応することは、お客様のIT設置環境を緩和する最高の手段だと思います。
オフィスに設置しても、別にサーバルームを作ったら何にもならないですからね。

この章でご紹介した製品・サービス等