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実践事例 富士通 沼津ソフトウェア開発クラウドセンター 国内6拠点に分散されていた1,800台に及ぶ開発環境サーバを集約!

企業におけるエネルギー政策の重要性が高まってきた現在において、今後ますます企業のIT依存度は高まり、抱える情報(データ)量も増え続けると共に、それに関連してIT投資も増え続けるでしょう。こうした課題解決の一つの解として、サーバの仮想化・統合・集約も注目されるところです。
今回は、お客様へのご提案に先立ち、当社の社内向けデータセンターにおけるソフトウェア開発環境の大規模なサーバ集約とクラウド化を推進し、大きな成果を挙げた「富士通沼津ソフトウェア開発クラウドセンター」のプライベートクラウド化の実践を例に、その経緯やねらい、コスト・スペース・消費電力削減効果、開発環境構築のスピードアップ等について関係者が語ります。

[公開日 2012年2月10日]

目次

現場の声と経営サイドの声がマッチ!仮想化・集約・クラウドへの動きが加速した

プライベートクラウド化による年間7億円のコスト削減!
さらに、スピードアップと環境貢献の効果も!

サーバ台数は約半減。機能は強化され、利便性も向上 消費電力も大幅削減!

【コラム1】ホント助かる!ソフトウェア製品

【コラム2】見逃せない! 温度管理による省エネ効果

一般企業にも導入が必須に!?プライベートクラウド活用のメリットとは?

インタビュー参加者

計画本部 ソフトウェア開発クラウドセンター センター長 上田 直子の写真

計画本部
ソフトウェア開発クラウドセンター センター長
上田 直子

エンタプライズサーバ事業本部 実装技術開発統括部 プリンシパルエキスパート 村田 英己の写真

エンタプライズサーバ事業本部
実装技術開発統括部 プリンシパルエキスパート
村田 英己

計画本部 ソフトウェア開発クラウドセンター マネージャー 長澤 武則の写真

計画本部
ソフトウェア開発クラウドセンター マネージャー
長澤 武則

計画本部 ソフトウェア開発技術統括部 シニアエキスパート 住田 宏己の写真

計画本部
ソフトウェア開発技術統括部
シニアエキスパート
住田 宏己

計画本部 ソフトウェア開発技術統括部 システムインテグレーション技術部 吉本 安男の写真

計画本部
ソフトウェア開発技術統括部
システムインテグレーション技術部
吉本 安男

 

現場の声と経営サイドの声がマッチ!
仮想化・集約・クラウドへの動きが加速した

-- データセンターにおけるプライベートクラウド化の実践ということで、国内6拠点に分散していた1,800台に及ぶ開発用サーバを、「富士通沼津ソフトウェア開発クラウドセンター」(以下、クラウドセンター)に集約されたわけですが、まずは、その経緯からお聞かせください。

計画本部 ソフトウェア開発クラウドセンター センター長 上田 直子の写真
上田 直子
計画本部
ソフトウェア開発クラウドセンター
センター長

上田:サーバ集約の経緯をお話しする前に、背景等について、ご紹介したいと思います。2005年頃から仮想化技術というものがどんどん出始め、それを担当者(現場)ベースで試行していたところ、「これを全体的に広げるといいのではないか?」という声が上がりました。一方で、前々から「全社的にサーバ数が多いのでは?」という話がトップダウン的なテーマとして挙げられていました。

-- 仮想化技術への期待値と、社内で分散しているサーバを見直そうという2つの動きがちょうどマッチしたわけですね。

上田:そうです。また、従来の開発拠点においては開発環境構築作業にあたる開発者への作業負担が年々増え、課題となっていたんです。そこで2008年に大規模な仮想化に対する投資を行い、分散しているサーバを沼津工場にあるデータセンターに集約しようという話が持ち上がりました。

そして、2008年、2009年、2010年の3年間で、仮想化に加え、もう一歩進めたクラウドという形で開発環境を提供することによって、サーバリソースをさらに有効活用しようという話に発展していきました。

-- 2010年4月にはプライベートクラウド対応のソフトウェア製品が発表されましたね。

上田:はい。この製品を使ってクラウド運用するシステムを実現しました。開発者へのサービス提供へ向け、仮想化・標準化・自動化という3ステップで社内実践を3年間かけて進めていきました。
ボトムアップ的な、仮想技術を活用しようという流れと、サーバ集約、コストダウンというトップダウン的なテーマがちょうどマッチして進められたという背景があります。

沼津ソフトウェア開発クラウドセンター実現への3つのステップの図
沼津ソフトウェア開発クラウドセンター実現への3つのステップ

プライベートクラウド化による年間7億円のコスト削減!
さらに、スピードアップと環境貢献の効果も!

-- ところで、最初にセンターとしてサーバ集約に取りかかったのはどこからですか?

上田:まず最初に新横浜地区に焦点を当て、サーバの沼津移設と共に仮想化を進めました。当時、新横浜地区では事務所が幾つかのビルに分散していました。また、サーバは部門毎に調達しており、個々に調達されたサーバは担当者のデスクの横に置いてあるというケースが多く見受けられました。事務所内に点在していたサーバを全廃し、事務所の再編、スペースの効率化を進めることでビル1棟が返却できるという、大きなコスト削減が見込めました。

サーバは事務所内に一切置かないよう、トップの方が現場を見てまわって徹底しました。
2008年に行ったサーバ集約では、8tトラック40台分のサーバを沼津工場のデータセンターに移設し、これによりビル1棟が返却でき、年間2億円のコストを削減することができました。
サーバ集約では、既存サーバだけでなく新規に購入するサーバも対象で、サーバ投資はクラウドセンターで統制して実行しています。
この活動をする前の状態に比べて、現在では、事務所賃貸料やサーバの運用費など年間7億円のコストを削減しています。

クラウド化の投資対効果の図
クラウド化の投資対効果

サーバ台数は約半減。機能は強化され、利便性も向上
消費電力も大幅削減!

エンタプライズサーバ事業本部 実装技術開発統括部 プリンシパルエキスパート 村田 英己の写真
村田 英己
エンタプライズサーバ事業本部
実装技術開発統括部 プリンシパルエキスパート

村田:もともとサーバとストレージも含めて、どのくらいの物量があり、今は統合することで、どれくらいまで減ったのでしょうか?

上田:1,800台あったサーバが1,000台になっています。1,000台というのはリアルなサーバ数であり、純粋な仮想化されたサーバ数という意味では、その1/10かそれ以上に集約されています。

長澤:物量以上の仮想マシンを払い出していますから、実際に使っている仮想マシン数は3,000台くらいになります。

村田:サーバ数でいうと従来の3倍くらいまで拡張性を持たせた上で、物量は半分だから1/6ということに。1/6くらいになると当然、先ほどのインフラを設置するためのスペース、空調設備等、トータルで減りますからね、その効果は大きいですね。

上田:サーバ自体の電力量が大幅に減り、さらにサーバ室を全廃することで、空調・スペース面でかなり電力やコストの削減ができますね。今回の活動では、6ヵ所のサーバ室を全廃しました。

長澤:また、クラウドセンターでの集中管理に移行することで、それまでの開発環境のパターン(CPU数、メモリ量、ディスク量、OS種の組合せ)が348種存在していたことを把握。そのうち、使用頻度の高い51パターンを型決めし、それをテンプレート化し、クラウドセンター側で配備できるようにしたことで開発環境の構築スピードも大幅に向上しました。

-- 利用者側の声というのはどうですか?

上田:利用者の皆さんからは、構築する手間がなくなり、サーバのおもりをする煩わしさもなく、楽になったと聞いています。
また、お客様対応などで急にサーバが必要になった場合、柔軟に対応ができています。

計画本部 ソフトウェア開発クラウドセンター マネージャー 長澤 武則の写真
長澤 武則
計画本部
ソフトウェア開発クラウドセンター
マネージャー

コラム1/ホント助かる!ソフトウェア製品

当センターのプライベートクラウド環境の運用では「ServerView Resource Orchestrator」が活躍しています。サーバが必要になった時はWeb画面上で標準テンプレートを選択するだけで、10分程で新たに構築されたVM環境が配備されます。利用者に便利なだけでなくセンター運用者も楽になりました。CPU、メモリ、ストレージなどのリソースの追加が必要になった時も利用者自身がすぐに変更できるため、将来を見越して大きめの機器を手配するということも無くなりました。ソフトウェア開発環境なので利用者自身が事情に応じてそれぞれの環境にパッチを適用していますが、スナップショットの自動採取など保守のための機能が充実していることも負担軽減に役立っているようです。

省エネには従来から取り組んでいます。昨年は大規模システム性能検証用の機器を対象に電源制御の自動化を開始、特に夜間の電力消費を減らせました。製品の負荷テストなどは深夜までかかるので無人環境で行われています。電源投入/切断の操作は機器の利用者に任せられており、多くは便宜上24時間稼働を前提に運用していました。新たに導入した「Systemwalker Runbook Automation」では様々な機器との電源制御インターフェースが充実しているので利用者が自発的に省エネに取り組んでくれるようになり、今ではテストの終了を判断してサーバ/ストレージの電源を切断するところまでを自動化するのが当たり前になりました。

計画本部 ソフトウェア開発技術統括部 シニアエキスパート 住田 宏己の写真
住田 宏己
計画本部
ソフトウェア開発技術統括部
シニアエキスパート

電力使用状況を監視するために「Systemwalker Service Quality Coordinator」のダッシュボード上に機器ごとの消費電力と稼働状況を並べて表示してあり、電力消費の無駄に気づいたり機器の省エネ効果の大きさに改めて気づかされることもあります。例えば「ETERNUS SF AdvancedCopy Manager」で提供されている省電力バックアップ機能を導入した際には、省エネ効果の大きさを現場で実感できました。その結果、バックアップセンターでの適用も一気に進みそうです。消費電力を見える化する機構が、現場視点での省エネ運用を後押ししてくれていると実感しています。

コラム2/見逃せない! 温度管理による省エネ効果

富士通研究所×富士通沼津ソフトウェア開発クラウドセンターによる
「光ファイバー超多点温度測定システム」


富士通研究所と富士通沼津ソフトウェア開発クラウドセンターが共同で実証作業を進めている「光ファイバー超多点温度測定システム」。これは1本の温度測定用の光ファイバーをデータセンター(サーバルーム)内に這わせることで、部屋全体の温度分布の綿密な見える化を実現するものです。点ではなく面で温度を捉えることができ、ラックの他、床下や天井の温度分布状況がリアルタイムで一目瞭然に。

富士通沼津ソフトウェア開発クラウドセンターでは、このシステムでモニタしながら冷気の吹き出し位置などを調整することで、それまで19度だった空調設定温度を現在24.5度まで上昇させても問題ないことを実証済みです。設定温度を上げることで空調の電力はかなり削減できています。普通のパッケージ型空調機の場合、1度上げると2%、5度で10%の電力が削減できるといわれ、今後の展開に期待が高まっています。今回のセンター集約における効率化にも一役買っています。

計画本部 ソフトウェア開発技術統括部 システムインテグレーション技術部 吉本 安男の写真
吉本 安男
計画本部
ソフトウェア開発技術統括部
システムインテグレーション技術部

富士通沼津ソフトウェア開発クラウドセンターのサーバルーム写真
サーバルーム内に張った1本の光ファイバーが温度状況を監視

光ファイバーによる温度測定による適正な温度分布のイメージ

一般企業にも導入が必須に!?
プライベートクラウド活用のメリットとは?

-- プライベートクラウドの導入を検討される一般企業も増えることと思いますが、メリットはどんなところにあるのでしょうか?

村田:プライベートクラウドのメリットとしては、まず、1ヵ所に集中させることで、そのシステム自身を効率良く使え、これによりサーバ・ストレージなどのIT機器の台数も減らすことができます。さらに、提供するサービスによっては、仮想化と組み合わせることでサーバ効率をどんどん上げられる。また、1ヵ所集中させることで、建物やサーバ・ストレージ製品の設置スペースも少なくなり、空調費用やシステム管理者も削減できるため、IT機器だけでなく、ランニング・コストを含むIT投資全体の削減につなげられるということですね。

上田:そうです、集中管理による効率化は、プライベートクラウドのいいところです。スペース、ハードウェアの投資、運用の人件費等、個々で行うよりも集中管理した方が、効率がいいですよね。
ただし、個々の運用から集中管理に変えるには、関わる人達の考え方から変えないといけません。利用者と運用者の双方の考え方を変えないとプライベートクラウド化によるコスト削減は実現できません。集めるだけじゃ、コスト削減効果は出ないです。

村田:プライベートクラウドの場合は、どこまで効率よく使えるかです。設備償却費や維持費というものがお客様に当然かかるわけですから。
これが、パブリッククラウドに変われば、維持費や運用管理費、原価償却費というものは、端末・ネットワークがあれば必要なくなってきます。必要なサービスだけを、お金を払って使う。用途によっては、これが一番効率よく使えるはずなんです。

上田:使った分だけお金を払うという従量課金の仕組みはプライベートクラウドの社内実践の中でも進めているところです。その目的は、利用者のコスト意識を高め、必要な時だけ必要な規模のリソースを確保、不要になったらすぐに返却する、という流れを作ることです。また、一旦貸出したリソースも、利用目的の優先順位に応じて利用者間で融通しあえるようにするため、利用目的を含めて全利用者に広範囲に見える化することも重要と考えています。こういった従量課金や見える化の仕組みにより、サーバリソースを徹底的に有効活用、コストを抑えた運用ができると考えています。

村田:これからは、情報量も従来の200倍とも言われる膨大な量に増えていくわけです。そうすると、結局、お客様がいま持っておられるインフラでやっていけるかというと、やっていけなくなってくるわけですね。

-- そのたびに、買い足したり、スペースも借りたりと、どんどん、投資費用が膨らんでしまうというわけですね。

村田:そこで、ある程度お客様の方で効率を上げて集約する方法が、プライベートクラウド。それでもまだ費用がかかり過ぎるというのなら、パブリッククラウドのサービスを利用すればいいと思いますね。

-- ありがとうございました。