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FRAM 品質・信頼性
FRAMは、強誘電体膜を利用したデバイスであるため、一般的な半導体デバイスに必要な信頼性に加え、強誘電体膜の信頼性にも配慮する必要があります。強誘電体膜の信頼性の問題として分極量低下があります。リテンション(データ保持特性)やファティーグ(疲労特性)の影響により、分極量の低下が起こります。当社では、上記のようなFRAMの信頼性に関し、TEG(Test Element Group)や製品により評価を行い、耐性確認をしています。
リテンション
FRAMは不揮発性メモリのため、電源オフでも書き込まれたデータを保持することができますが、このデータが壊れることなく長時間にわたって保持される能力を「リテンション(データ保持特性)」といいます。一般にリテンションは温度に強く依存するため、保証される寿命に対して温度条件が規定されます。(例:
70℃以下、10年)
リテンションの評価方法、劣化モードについて説明します。

図1.評価フロー
(1)評価方法
前述したようにリテンションは温度に強く依存するため、評価には温度による加速試験が可能です。
まずFRAMに、あるデータパターン(例えば“0”状態、“1”状態のチェッカーパターン)を書き込み、高温下で一定時間放置します。その後データパターンを読み出し、最初に書き込んだデータパターンが保持されていることを確認します。次に、今読み出したデータパターンと逆のデータパターン(“0”状態、“1”状態を逆にする)を書き込み、そのデータパターンを読み出し、正しく書き込みができたかを確認します。最後に、最初に書いたパターンと同じデータパターンを書き込み、再び高温下に放置します。
以上のフローを、読み出しエラーが発生するまで繰り返すことにより、その放置温度でのリテンション寿命を求める(注)ことができます。
なお最初のデータパターンの読み出しは高温放置中のデータパターンをそのまま読むことから“SS(Same State)”読み出しと呼び、2回目のデータパターンの読み出しは、逆データパターンを読み出すことから“OS(Opposite State)”読み出しと呼ぶことにします。
強誘電体の分極量は、図2に示す様な印加電圧依存性を持っています。リテンションは分極量に依存する傾向があるため、不十分な印加電圧によるデータの書き込みは、リテンションの低下をもたらす危険があります。
したがって、リテンション評価はカタログ動作保証での最低電源電圧で実施しています。
(注) τ=Exp(Ea/kT)
τ:リテンション寿命
Ea:活性化エネルギー
k :ボルツマン定数
T :絶対温度

図2.分極量の印加電圧依存性
(2)劣化モード
リテンションの劣化モードには「減極」と「インプリント」の2種類があります。これらの劣化モードは“SS”読み出しおよび“OS”読み出しの両方を評価することにより検出することができます。
a) 熱による減極
減極とは図3に示すようにヒステリシス特性がつぶれ、残留分極量が減少する現象です。(+Pr、-Pr低下)
FRAMは分極量を検出して読み出すので、残留分極量の減少は誤読み出しにつながります。この減極現象は温度が高いほど顕著になります。ある温度にさらされた場合の減極は秒単位の短時間で起こり、その後は時間を経てもほとんど変化しません。
この減極によるリテンション劣化が発生している場合には、“SS”読み出し不良となってあらわれます。
なお、これは温度特性であって、物理的な劣化ではありません。常温で書き込めば、また分極量は戻ります。

図3.ヒステリシス特性の減極による劣化
b) インプリントによる劣化
インプリントとは、書き込まれたデータに応じて分極に癖がつき、分極反転しにくくなる現象です。(データの刷り込み)
インプリントが発生すると逆データが書き込みにくくなります。インプリントはヒステリシス特性でみると、図4に示すようにヒステリシス曲線が左右にずれていく現象として観測されます。(抗電圧(+Vc、-Vc)の変動)
図1の評価フローで“OS”読み出しを行うのは、この劣化モードをチェックするためです。
これは、物理的な非可逆的劣化です。

図4.ヒステリシス特性のインプリントによる劣化
