- 予防型リスク管理による企業価値向上
リスクマイニングは、大量の非定型情報と定型情報を統合活用し、リスクの要因・傾向分析やアセスメント、対策立案支援などをおこないます。経済産業省の情報大航海プロジェクト(注1)などにおいても、その先進性・独自性は高く評価されています。
リスク管理の現場では、トラブルやヒヤリハットなどに関するレポートを収集しても、一度報告されると、その後は振りかえって見ることをせず、せっかくの過去の教訓を活かしていないといったケースもあります。リスクマイニングは、そうした眠っているデータを継続的にフル活用し、そこに潜んだ「事実」を効率的に可視化する技術です。
その特長は、リスク情報の特性を踏まえた、大量の非定型情報(注2)と定型情報(注3)を統合活用し、定量/定性的な「事実」(傾向、関連、変化、因果など)を、人がひと目で理解しやすい図やグラフとして可視化する点にあります。
非定型情報を重視する理由は、トラブルやヒヤリハットに至る経緯、状況、背景、要因、当事者の思いや重要な考察などの詳細な情報は、テキスト、自由記述部分などに書かれており、そこにこそ表出化すべき真因や必要な対策を導く情報が隠れているからです。
こうした着眼点は従来のテキストマイニングやデータマイニングとは全く異なるものです。たとえば、トラブルにいたる経過をフローとしてモデル化する「リスクシナリオ」をはじめ、独自のリスク分析機能を備え、品質管理、安全管理、障害管理など、さまざまなリスク管理分野に取り組まれているお客様から、「こんな機能を待っていた」という声を多くいただいています。

リスクマイニングの活用に際しては、お客様ごとに異なるデータの状況や現状の分析、アセスメント手法、対策立案のプロセスなどをお伺いし、それらを考慮した最適な進め方を決定します。リスクマイニングの活用により、以下のようなメリットが享受できると考えています。
ともすれば「死蔵」させてしまうデータを、リスクマイニングで活かしきることにより、過去事例に潜んでいるリスク防止へのヒントが表出化します。見落としていた新たな気づきが得られ、分析や対策立案の刷新につなぐことができます。
また、リスクとして漠然と認識されている既知の傾向を、大量データに隠れた「事実」をもとに定量的・客観的に裏づけることで、事実ベースによる本質的な分析を実施できます。
人手による詳細なデータ分析や対策検討は手間のかかるものです。とくに非定型のテキストなどに記載されている重要な事項については、人が読み込んでつぶさに把握するには大変な時間を要します。レポートが膨大になれば、それは事実上不可能です。
リスクマイニングは、そうした手間・負荷を大幅に軽減します。担当者や責任者は、対策検討や実施など、人がしっかりおこなうべきプロセスに傾注できるため、業務が効率的・効果的に実施できるようになります。
データに隠れた「事実」の可視化により、そこから得られる知識が共有できるようになり、組織としてのリスク対応力が向上、属人的な判断の排除にもつながります。また、収集した情報が、分析やアセスメント、対策などの刷新に恒常的に活かされるため、現場がレポートを積極的に提出するための動機づけにもなります。
トラブルなどのネガティブな情報を、むしろ積極的に報告・分析・活用しようとする気運が高まるなか、企業が社会的責任を果たしていくうえで欠かせないソリューションの1つとしてリスクマイニングの活用領域は大きくひろがっています。
予防型リスク管理の狙いは、リスク管理の現場を担う人たちのスキルや意識を底上げし、組織のリスク対応力や企業としての信頼度を高め、その結果、企業価値の向上を実現していくことにあります。
社会的信用の失墜、売上減少、賠償責任など、企業活動や事業継続に重大なダメージをおよぼすトラブルを未然に防ぐために、予防型による攻めのリスク管理がこれからはますます重要です。
富士通では、ワークショップやリスクマイニングなど、コンサル、システム構築などの予防型リスク管理のソリューション拡充にこれからも努め、お客様の継続的成長と企業価値向上に貢献してまいります。
[2009年10月1日 公開]
〔富士通総研 流通サービスコンサルティング事業部 マネージングコンサルタント 平野 篤〕
〔富士通研究所 ソリューションテクノロジ研究部 部長 渡部 勇〕
この記事は、お客様の変革と成長の実現をご支援する 株式会社 富士通総研が提供しています。
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