- きめ細かく電力を把握する「スマートコンセント」
富士通研究所は、オフィスでこれまで把握できていなかったコンセントの消費電力を見える化する、業界最小クラス(注1)の電力センサー内蔵電源タップ「スマートコンセント」を開発しました。消費電力のピーク時や、消費電力の多い機器を把握することにより、利用者の省エネ意識を高め、具体的かつきめ細やかな節電対策に貢献します。
日本の各企業はいま、地球温暖化対策としてのCO2排出量の削減に加え、電力不足に対応するために、業務における一層の省電力化が求められています。
財団法人省エネルギーセンターの調査によると、オフィスビルにおけるオフィス専有部分のエネルギー消費割合は、空調28%、照明40%、コンセント32%となっています(注2)。空調と照明については、ビル管理システム等から使用状況を把握できますが、コンセントについては、全体の3割を占めるにもかかわらず、個別に使用状況を把握する手段がこれまでありませんでした。
個人の機器利用によって、どういう時にどれだけの電力が使われているかが具体的にわからなければ、不要な消費電力をなくそうという意識付けは困難です。しかしその一方で、機器の使用を一律規制する対策では、業務に支障をきたす恐れもあります。
こうした課題を踏まえ、富士通研究所は、業務に応じた電力の使い方を把握できる仕組みが必要と考えました。そして、コンセント単位で消費電力を継続的に測定でき、かつ個人に対して不要な電力をわかりやすく提示する技術の開発に取り組みました。
電力の測定方法としては、電力線に抵抗器を挿入して両端の電圧差から電流を測定する直結型が一般的です。しかし、落雷等で瞬間的に数百ボルトの高電圧が流れると、センサー回路が故障しやすくなります。
そこで富士通研究所は、安全性を考慮し、電流によって周囲に生じる磁界の大きさを検出することで電流の値を求める「非接触 型」の電流センサーを採用しました。
非接触型で問題となるのは、他の磁界の影響を受けやすい点です。コンパクトな電源タップ内でコンセント1個につき電流センサー1個を取り付けるため、あるコンセントに大きな電流が流れて大きな磁界が生じると、隣接するコンセントのセンサーが反応してしまいます。
こうした現象を回避するために多くのシミュレーションを重ね、他のセンサーへの影響を最小限に留め、かつ適切に磁力を集められるように、磁気センサーとなるホール素子(注3)と、磁界をホール素子に収束するフェライト(注4)の形状や配置を独自に開発しました(図1)。

また、電流と電圧の位相差が生じると、電流センサーから得た値に規定の電圧値を乗算しただけでは、実際の電力消費量との誤差が生じます。そのため、電圧値を非接触で測定する電圧センサーを新たに開発し、測定値の精度を高めました(特許出願中)。こうしたセンサー技術の搭載により、コンセント毎に1W単位の変化も検出可能な小型の電源タップ型を実現し、「スマートコンセント」として製品化しました。
「スマートコンセント」は、USBポート経由でパソコンの画面に測定値を表示できるだけでなく、同時に開発したゲートウェイ機器につなぐことで、ネットワーク経由で測定値を収集することもできます。この機能を活用することにより、例えば、部・プロジェクト・個人単位で消費電力を集計して他者との比較結果を表示したり、スケジューラと連携したりすることで、個人に“気づき”を与え、省電力意識を高めたワークスタイルの推進につながります(図2)。

実際に富士通の一部オフィスにおいて、「スマートコンセント」を約100人に配布し、個人単位の消費電力を見える化したところ、各人がそれまでの機器使用のムダやムラを自覚し、自発的に省エネを意識した使用時間や機器設定に取り組んだ結果、既存機器をそのまま使用しつつ、従来に比べ約15%の消費電力削減に成功(注5)しました。
「スマートコンセント」は、2011年 4月より、富士通コンポーネントにて販売しています。
業務や通行の邪魔にならず会議室等様々な場所での電力の見える化が可能になり、またテナントビル等でビル設備に手を加えられないケースでも、工事不要ですぐに使用できる点も、お客様から評価していただいています。
富士通研究所では、現在、海外対応や無線機能、クラウド連携を始めとする本技術の性能向上に取り組んでいます。さらに、今後、発電・蓄電の情報を含めたオフィス全体の電力制御技術も視野に入れ、エネルギーマネジメントの研究開発を進めてまいります。
[2011年7月1日 公開]
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