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液体の影響を受けにくいUHF帯RFIDタグ技術 微小ループアンテナによる検体容器の一括読み取りに成功

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富士通研究所と富士通フロンテックは、微小ループアンテナによりUHF帯RFIDタグを貼り付けた検体容器を一括で高速に読み取る技術を開発。液体の影響を受けにくい本技術は、化粧品や飲料容器への適用も期待されます。


「RFIDタグ注1」は、ICチップと無線通信用アンテナを組み合わせた小さなタグ(札)の情報に電波を利用してアクセスし、人や物を電子的に識別する技術です。乗車券・電子マネーなどを始めとするICカード、オフィスの入退出などで利用されるIDカードなど、私たちの暮らしやビジネスをより便利にする技術として広く普及しています。

UHF帯により適用範囲が拡大したRFIDタグシステム

RFIDタグで使用できる周波数帯にはいくつかあり、隠れていても読める、一度に複数タグを処理できる、といった特長があります。RFIDタグのなかには、ユーザーメモリを搭載し、運用時に情報を書き込むことが可能なタグもあります。前述のICカードの多くは13.56MHz帯注2を使用しており、カードを読み取り機近くでかざしたりタッチしたりする利用が一般的です。UHF帯は、13.56MHz帯と比較して広い範囲を読み取ることができるため、バーコードに替わる新しい自動認識技術として注目されていますが、国内では2005年4月および2006年1月に電波関連法令が改正され、新たにUHF帯注3RFIDタグシステムとして950MHz帯のものが利用可能になりました。これを契機にUHF帯を使用するRFIDタグは、部品供給のリアルタイム管理、ユニフォーム管理など、さまざまな業務シーンにおいて利用されるようになりました。

富士通研究所と富士通フロンテックは、RFIDタグのなかでも特に、電池を内蔵しない安価で大量生産可能な「パッシブ型タグ注4」を利用したUHF帯RFIDタグの将来性にいち早く注目。洗濯に対して抜群の耐久性を持ち、ユニフォーム管理などに適した「リネンタグ注5」、印字・消去が可能で入出庫管理などに適した「リライタブルシート注6」、書類を重ねたまま一括読み取りが可能な「書類管理用ラベルタグ注7」など、お客様のニーズに合わせたさまざまなRFIDタグシステムを開発してきました。

液体に影響されない一括読み取りが課題に

今回、富士通研究所と富士通フロンテックが新たに取り組んだのは、血液センターの検体注8管理に対応するRFIDタグシステムの研究開発です。

1日に数万本もの検体容器を扱うことがある血液センターでは、これまで検体の個体識別にバーコードを採用していました。そのため、ハンディ型のリーダを使って検体容器を一つひとつ読み取る手作業が発生し、検体管理の効率化が求められていました。

複数の検体容器を読み取るには、RFIDタグ技術が適していますが、UHF帯は水に吸収されやすい特性から、血液を始めとする液体への採用は難しく、また13.56MHz帯を使う場合も、その電波の特性上、150本収容可能なラックに対して一度に処理できる検体容器が50本程度に限られ、一括して読み取り可能な技術の開発が急務となっていました。

世界初、検体容器150本の一括読み取りに成功

富士通研究所と富士通フロンテックは、これまでのさまざまなRFIDの小型アンテナ技術に取り組んできた経験をもとに技術の改良を進め、世界で初めてUHF帯RFIDタグを使用した検体容器150本の一括読み取りに成功しました。

1. RFIDタグの電波の指向性を変える微小ループアンテナ

検体容器に貼付するRFIDタグのアンテナに、独自に開発した微小ループ型を採用し、電波の下方向への指向性を高めました。これにより、隣接する検体容器の方向への電波が少なくなり、液体の影響を受けにくくなります。また、ラックの下にリーダライタを設置することにより、リーダライタに対して検体容器のアンテナが重ならないため、安定したタグ情報の読み取りが可能になりました。さらには、RFIDタグを検体容器の底面に貼付する必要がなく、試験管のように底面が平らでない容器にも適用可能です。

2. ラック内の全ての検体容器に電波到達可能なリーダライタのアンテナ配置

一般にリーダライタのアンテナ面では、電波強度の分布が面全体で一様にならず、また、偏波注9の方向も一様でない傾向があります。そこで、小型アンテナを複数配置することにより、B4サイズ程度のラック内の150本全ての検体容器に対して、電波が一様に到達できるようにしました。

本技術は、バーコードでは不可能な「一括読み取り」というRFIDの特長を、液体に対しても実用化することは、血液センターにおける検体管理の大幅な工数削減と人為的な作業ミスの軽減を可能にしました。

化粧品・飲料の分野へも

富士通フロンテックでは、本技術の検体容器への適用を2010年度に予定しています。また、製造管理や入出荷検品などにおける業務効率の向上が期待できることから、化粧品容器や飲料容器への適用についても検討していきます。同時に富士通研究所は、小形化/薄型化が難しい金属貼付用タグの研究開発を進めます。

本格的なRFID普及に向けて、富士通研究所と富士通フロンテックは、これからもお客様の要件に合ったRFIDタグシステムをご提供できるよう研究開発を進めてまいります。

注記

(注1) RFIDタグとは :
RFIDは「Radio Frequency IDentification」の意味。タグ(ICチップと無線通信用アンテナを組み合わせた小さな札)の情報に電波を利用してアクセスする。
(注2) 13.56MHz帯とは :
通信距離は最大60cm程度。携帯電話に搭載されている「おサイフケータイ(株式会社NTTドコモの登録商標)」や、乗車券・電子マネーなどとして利用できる「Suica(東日本旅客鉄道株式会社の登録商標)」などのICカードで採用されている。
(注3) UHF帯とは:
UHFは「Ultra-High Frequency」の意味。RFIDに使用される周波数帯の一つ。電波の性質により、一度に大量のデータを読み取ることができる。
(注4) パッシブ型タグとは :
電池を内蔵せず、アンテナから届いた電波を電力に変えて動作する(通信距離は数m)タグ。この他、電池を内蔵して自ら情報を発信する「アクティブ型タグ」(通信距離は20m)、電池を内蔵するが自らは電波を発信せず、電池で受信回路やセンサーを補助する「セミパッシブ型タグ」がある。
(注5) リネンタグとは :
富士通研究所と富士通フロンテックが、2006年5月、世界で初めて開発したUHF帯RFIDタグ。洗濯やクリーニング時の曲げや圧力に強く柔軟性に優れている。
(注6) リライタブルシートとは :
部品伝票などに使用され、印字・消去が繰り返し500回程度可能。
(注7) 書類管理用ラベルタグとは :
タグ同士が2mmの距離で重なっていても100枚を約4秒で一括読み取り可能。
(注8) 検体とは :
人体から採取した検査対象物。
(注9) 偏波とは :
電波の振動方向。アンテナの重要な特性の一つ。到来する電波の偏波とアンテナの偏波が一致する場合は受信電力が最大になるが、直交する場合はゼロになる。

[2010年2月1日 公開]

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