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ICTを活用した省エネルギー対策の利用シーンレベル集を用いてお客様の環境経営を支援

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顔写真:写真左から 吉川 浩司、才木 友子

化石燃料資源が枯渇に向かう中、環境に対する負荷軽減や社会の持続的発展への貢献という観点からエネルギーマネジメントは、社会全体にとって最も重要な課題の一つになっている。日本においては、2010年4月の改正省エネ法施行により、エネルギー管理が経営指標の一つとして不可避なものになってきた。法的規制が企業にとって負担となる一方で、こうした環境対応への変革を新たなチャンスとして新規ビジネスへつなげ、景気低迷の突破口にしたいと考える企業も多い。

富士通は設立以来、環境への取り組みに力を入れ、グループを含めた自社内での環境対策に加え、お客様企業の環境対策をサポートするソリューションを数々提供している。2010年10月には、お客様企業の環境に関係するICTのレベルを評価し、全社的な環境対策をご提案するためのツールを新たに作成した。これは富士通の数多くの事例から分析抽出された利用シーンとシステムモデル群からなる「TRIOLE利用シーンレベル全集注1」の中の一つとして作成されたものだ。このツールの活用を推進している環境ソリューション推進部の才木友子と吉川浩司に話を聞いた。

新たなビジネスチャンスを創出する省エネルギー分野

顔写真:マーケティング本部 ソリューション推進統括部 環境ソリューション推進部 才木 友子

気候変動枠組条約や生物多様性条約に代表されるように、世界規模での持続可能な社会の実現という方向性は今後ますます強くなっていくことは疑いなく、特に低炭素社会に向けたエネルギー分野の動きは大きい。環境ビジネスのプロモーションを担当する才木はいう。

「日本では2010年4月から改正省エネ法が完全施行されました。事業所全体でのエネルギー使用量が年間1,500kL以上の企業には管轄の経済産業局への届け出が課せられ、さらにはエネルギー使用効率を毎年、年平均で1%以上改善するよう努力義務も定められています。環境が重要な経営指標の一つとなり、各企業様は法令を遵守するとともに、経営上もメリットとなるような環境対策を様々に模索されています。」

企業においても長期的なエネルギー対策が必要、と才木は続ける。

「エネルギー分野に関連した法制度整備は、省エネ法だけにとどまらず、今後ますます進むものと思われます。また、いずれ排出量取引や会計処理との関係についても考慮する必要が出てくるでしょう。そうなれば、対症療法で現在の法規制を乗りきっても、長期的に見たら、投資対効果の低い対策となることも懸念されます。今後厳しさを増す環境規制やエネルギー分野の規制への対応を長期的視野で考えて、環境対策における先手を打つことが必要だと思います。」

環境ソリューションの拡販に携わる吉川も、省エネルギー対策の広がりを次のように話す。

「エネルギー効率をあげるための対策が、公から私へと徐々に波及していると感じます。ICT技術を使ってエネルギー消費量を把握し、効率的なエネルギー利用を管理するEMS(Energy Management System)という概念は、ビルを対象としたBEMS(Building Energy Management System)、家庭を対象としたHEMS(Home Energy Management System)というふうに、より個人レベルへ広がりを見せています。次世代送電網としてスマートグリッド注2も提唱され、省エネルギーもエコロジーも日常に定着されつつあるのです。」

そして、このような省エネルギーを新たなビジネスへつなげようとする動きも本格化している、と吉川はいう。

「米国のオバマ大統領が打ち出したグリーン・ニューディール、わが国で2010年6月に閣議決定された新成長戦略における『グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略』など、エネルギーマネジメントと新ビジネス創出を不可分なものとしてとらえる政策が打ち出されています。こうした全世界的な環境政策の枠組みを背景に、景気低迷を打破する新たなビジネス分野の一つとして、多くの企業が省エネルギーに着目しています。」

省エネルギーを全社で進めるためにはレベルを知ることが必要

顔写真:マーケティング本部 ソリューション推進統括部 環境ソリューション推進部 吉川 浩司

日本では1970年代から省エネルギー対策が進められてきたが、改正省エネ法での法規制を受け、これからの省エネルギーの進め方について、吉川は次のようにいう。

「まずは、現在の使用エネルギーの可視化が必要だと思います。富士通にも環境パフォーマンスデータを記録管理するソリューションとして『SLIMOFFICE(スリムオフィス)』がありますが、全社的なエネルギー消費を取りまとめて可視化する必要があると感じます。」

さらに吉川は、エネルギー消費を可視化するとともに、自社の省エネルギー対策レベルを確認することも必要だと話す。レベルを表したツールと照らし合わせるのも一つの方法だ。

「従来から富士通では手がけた案件を整理・分析して、利用シーンを分類・抽出し、それぞれの利用シーンごとにレベル分けした『TRIOLE利用シーンレベル全集』というツールを作成してきましたが、これを“ものさし”として自社システムに照らし合わせることで、自社システムがどのレベルにいるのか、現状を客観的に把握することができます。

この中で省エネルギー対策に役立つものとして新たに作成したのが、ICTの統合を中心とした省エネルギーレベルを把握する『グリーンICTのレベル』と、全社におけるエネルギー消費レベルを把握する『エネルギーマネジメントのレベル』です。会社全体の省エネルギー対策のレベルを簡単に把握していただけるようになっています。」

レベルを把握すれば、それに相応する解決策も提示できる、と才木は付け加えて語る。

「例えば、『グリーンICTのレベル』では、各レベルを『サーバ環境』『オフィス環境』『ワークスタイル』という3つの観点に分類し、それぞれの課題を明確化しています。お客様には、現在のレベルを把握していただき、そのレベルの課題に応じてご提案をさせていただくようにしています。また、複数の部門間で理解や対応がまちまちになりがちな省エネルギー対策について、認識を共有できるように、エネルギー消費量を消費電力やCO2排出量など複数の指標で表示しています。ICTを活用することで全社トータルのエネルギーコストを下げられるような環境対策をご提案しています。」

富士通グループの全社的取り組みから、活用できるツールが生まれる

富士通は設立以来「自然と共生するものづくり」という考え方をグループ全社員で共有してきた。才木はいう。
「現在富士通グループとして、全社エネルギーの統合マネジメントシステムの構築を進めています。前述の『エネルギーマネジメントのレベル』でいえば、レベル4に該当します。この構築には、富士通グループ各社の技術だけではなく、他社様ともアライアンスを組み、専門技術を提供していただいています。環境対策、エネルギーマネジメントはICTだけでは解決できない部分も多く、社外との協力体制はこれからも重要になってくると考えています。」

この全社エネルギーの統合マネジメントシステム構築により培われるノウハウやソリューションをリファレンスモデルとして、ゆくゆくは広く市場で利用されることを考えているという。才木は続ける。

「先行してシステム構築を進めた富士通の取り組みから得られた成果を、必要に応じて他社様にご活用いただくことにより、前例のある効果的なエネルギーマネジメントを実施することが可能になると思います。」

また、2つの利用シーンレベル集のようなツールにより、省エネルギー対策の第一歩を平準化できる、と吉川はいう。

「今回の2種類の利用シーンレベル集では、専門的用語を極力排除し、図解をして単純化することにより、お客様と富士通の営業とのコミュニケーションを円滑にし、お客様が抱えている課題を正確に把握できるようにしています。課題を把握した後は、お客様に応じた省エネルギー対策をご提案させていただきますが、その第一歩を平準化することにより、後の推進の効率化を実現できていると思います。」

次に、各専門家がチームを組み、それぞれのお客様向けの提案を進めるというプロセスに入っている、と吉川は続ける。

「私たちは、お客様の課題を明確化することで、各セクションの専門家が課題解決を円滑に進められるような仕掛けづくりをする、いわば営業と専門家の橋渡しをするハブのような存在です。幅広くセクションを知ること、知識を持って適切につないでいくことが重要だと思っています。また、『エネルギーマネジメントのレベル』や『グリーンICTのレベル』の各レベルに合わせ、最適な形で複数のソリューションをパッケージ化して提供することが必要だと考えています。」

そして、才木は今後のエネルギーマネジメントについて次のようにまとめる。

「各企業に求められるエネルギー対策が、今後ますますハイレベルなものになっていくことは十分に予想されます。環境への対応度合いは、すでに企業イメージにとどまらず、企業評価の尺度の一つとなりつつあり、必要とされることを実施しないことがマイナス評価される時代になりました。もはや「環境」は制約要件ではなく、戦略要件として受け止めるべきものとなっています。こうした社会的要求に配慮しながら、エネルギー対策をコスト削減のみならずコンプライアンス対応やそれを実現する業務改革などの複合的な成果へと結びつけ、最終的に費用対効果の高いものにすることが望まれます。そのためには、これからもお客様事例や社内実践をもとにノウハウを積み重ね、それぞれのお客様に最適なエネルギー対策のソリューションをご提供できるように努力していきたいと思います。」

エネルギー対策が今世紀における最も大きな課題の一つであることは間違いないが、各社での取り組みはまだ緒についたばかりだ。その中で富士通は、手軽に利活用できるツール開発やリファレンスモデル作りなどの全社的な取り組みを進め、現実的な解決策を経験知として積み重ねている。

注記

(注1)TRIOLE利用シーンレベル全集とは :
富士通が手がけた約25,000案件を整理・分析し、34種類のテーマ(利用シーン)を抽出。それぞれのテーマ(利用シーン)ごとにレベル0~5の6段階に分類した、ICTインフラ最適化におけるシステムモデル群。
(注2)スマートグリッドとは :
供給元、需要側双方向から電力の流れをコントロールし、最適化できる送電網のこと。

[2011年1月4日 公開]

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