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KDDI様 基幹系システム構造改革プロジェクト

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SEの誇りをかけた“システム開発”。
これまでにない “保守性”の実現へ。

市場拡大や熾烈なサービス競争に伴う追加開発によって拡大する料金課金・請求システム。エンドユーザーが求めるサービスをいちはやく提供するために、複雑にシステムが絡み合う約1,200万人分もの顧客情報を、シンプルな構造にリニューアルするためにはどうしたらいいのか。

富士通 社会基盤ソリューションビジネスグループ 社会基盤システム本部 APイノベーション統括部 統括部長 奥川 彰一がKDDIと進めたのは、これまでにない斬新なアプローチだった・・・

“概念データモデル”によるアプローチで、保守性と競争力が向上。

今から約10年前の2002年当時、通信キャリアは画期的な料金プラン提案でシェアの拡大を目指していました。こうした“拡大”と“変化”に対応していくためには、課金・請求システムの改修が不可欠ですが、パッチワーク的な追加開発を繰り返せばシステムの肥大化やデータ構造の歪みといった弊害が生まれてしまいます。複雑に絡み合ったシステムやデータ構造は保守性を引き下げるだけでなく、優れたサービスをいちはやく立案してもシステム開発に時間が奪われ競争に遅れをとることにもつながります。こうした点を危惧したKDDI様は、ある時、私たちにこんな質問を投げかけました。

「SIベンダーは、我々が重要視している保守性のことを真剣に考えていないのではないか?」

こちらが要求した機能を実現して納品することだけをSIベンダーの役割だと思っていないか。実際にシステムを使う身になって、改修やメンテナンスがスムーズにできるような仕組みやデータ構造を提案して欲しい・・・。そんな思いを込めた問いかけだったのでしょう。

この問いにSEとしての誇りを刺激された私たちは、KDDI様とともに真に保守性の高いシステムづくりへの挑戦をスタートさせました。システムの保守性を高めるためには、まずデータ構造をシンプルにしなければなりません。その課題を解くカギとなったのが、“概念データモデル”という考え方です。概念データモデルとは、実世界のビジネスの構造や“モノ”と“モノ”のつながりを上流工程でモデルとして“見える化”し、業務の本質部分を表現していくものです。電話サービスを顧客と契約するビジネスを例にとると、申込書に記載される契約情報(顧客情報、サービス情報、支払情報など)をひとつのデータのまとまりとして捉えることもできますが、“概念データモデル”では、実世界の実体(エンティティ)、つまり契約を結ぶ対象者を“顧客(人)=モノ”、電話会社が提供する“サービス=モノ”と捉え、こうした“モノ”と“モノ”のつながりを“契約”として定義します。このように、ビジネスの実体を抽象化して分析、定義することで、シンプルで正規化されたデータ構造になり、システム上で“Simple is Best”が実現できるのです。

KDDI様との勉強会を頻繁に行い、先行して小規模システム開発で熟成させた、この“概念データモデル”をベースとする開発手法は、元来再構築で実現される効果とあいまって劇的な成果を生み出しました。プログラム数は旧システムの5メガステップに比べ、半分以下の2メガステップに削減。それに伴いメンテナンス性や保守性も大幅に向上しました。また開発スピードも、7ヵ月から2ヵ月に短縮され、新たなビジネス戦略の市場投入もスピーディーに実行できるようになったのです。

年間30億円ものコストダウン。その効果を、他業種へも。

“概念データモデル”に基づく基幹システムの構造改革。その成果は、保守性や開発スピードの向上にとどまりません。業務コスト削減にも劇的な効果をもたらしました。KDDI様の事例では、その削減額は、請求に要するコストで約15億円、顧客対応の効率化で約5億円、システム開発の生産性向上によって約10億円。合わせて年間約30億円ものコストダウンを実現したのです(KDDI様発表資料より)。

こうした実績が評価され、本システムおよびKDDI様は2005年の“日経コンピュータ情報システム大賞グランプリ”を受賞。システムをともにつくりあげたKDDI様からは、「これほどの成果をもたらす仕組みをひとり占めするのは惜しい。情報システム産業の発展のために役立てて欲しい」というお申し出をいただき、現在では、開発手法を整理したうえで、他業種の“顧客契約管理課金業務システム”にも適用させていただいています。

約200名のチームを組んで臨んだ“KDDI様 基幹系システム構造改革プロジェクト”。“保守性の向上”を目指してスタートする開発業務は、今までに例がなかっただけにメンバーに戸惑いがあったのは事実です。しかし、視点を変えれば、実世界のビジネスを忠実に抽象化する“概念データモデル”をベースに、単なる機能追求にとどまらない、高い保守性を実現するシステムを構築するのは、とても斬新で魅力的な仕事です。プロジェクトのメンバーとは、こうした高い志を持って新しいことにチャレンジする意義を、折りあるごとに語り合いました。延べ2年半におよぶ長期間の大規模プロジェクトを成功させるには、同じ志を持った仲間をどれだけ多く作れるかがポイントです。そのためにはコミュニケーションの量を増やし、お互いにわかりあうことが不可欠だと考えたのです。こうした取り組みの結果、チームは日を追うごとに成長し、前向きな姿勢が仕事ぶりに表れるようになりました。その変化によって、KDDI様にこれまで以上の“安心感”と“信頼感”を持っていただけるようになり、プロジェクトに好循環が生まれたのだと思います。

「SIベンダーは、我々が重要視している保守性のことを真剣に考えていないのではないか?」というご指摘から始まった本プロジェクトは、大いなる成果を生み出し、「他の業界でも役立てて欲しい」というお申し出によって幕を閉じました。KDDI様の鋭い着眼と日本全体の発展を思う大きな視野に感銘を受けるとともに、そうした企業のパートナーとしてお役に立てたことを大変うれしく感じています。そして、今後も社会基盤を担う責任を重く受け止めながら、SEとしての誇りを持ってテクノロジーを磨き続けていきたいと考えています。

顔写真:富士通株式会社 社会基盤ソリューションビジネスグループ 社会基盤システム本部 APイノベーション統括部 奥川 彰一

奥川 彰一

富士通株式会社
社会基盤ソリューションビジネスグループ 社会基盤システム本部 APイノベーション統括部
統括部長

テニスでいい汗をかくのが、休日の習慣。妻とミックスダブルスを組んで、大会に出場することも。

[2011年1月28日 公開]


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