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百貨店 J社様 「顧客分析コンサルティング」プロジェクト

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新手法の顧客分析で、
「買いたい気持ち」に火をつける販売戦略を。

さまざまなブランド品や品質の高い商品が揃っていて、何時間でも過ごしていたくなる場所・・・。
そんな百貨店の華やかさを支えてきたのは、マーチャンダイザーと呼ばれる仕入れ担当者の感性だった。しかし、ニーズの細分化が進み、個人消費が低迷する今、百貨店業界では確かな顧客データ分析と、それに基づく販売促進策やショップ編成が求められている。

こうした背景の中、流通・サービス企業を担当する富士通総研のシニアコンサルタント 安藤 美紀は、J社からある依頼を受ける。「自分たちではできないような顧客分析をしてほしい・・・」

他の百貨店に先駆ける顧客データ分析へ、プロジェクトが動き始めた瞬間だった・・・

顧客行動の分析により、“店内新客”の創出へ。

百貨店として、いちはやくデータ活用の重要性に気づいたJ社様は、富士通総研に顧客データ分析をご依頼になりました。その際に強く求められたのは、「自分たちの環境ではできないような分析をしてほしい」「カンや経験ではわからなかった、驚くような購買の法則を見つけてほしい」という点でした。

百貨店ではポイントカードなどを発行し、購買データをはじめとする顧客情報を把握しています。その情報は購買履歴や顧客ランクに基づく販売促進、たとえばダイレクトメールの発送などに利用されていました。こうした情報をもっと価値あるものに変え、販売戦略に役立てていくために、私たちが行ったのは、「来店客は、“何”と“何”を同じ日に購入したか(買回り行動)」を知ることができる仕組みづくりです。購入する品すべてを同じレジに通すスーパーマーケットとは異なり、百貨店の精算はショップごとに行います。それだけに来店者が、同じ日に、どのショップを巡り、何と何を買ったかをすぐに知ることは困難だったのです。それに加えて、百貨店業界においてはシステムは裏方であり、あくまでも現場優先であるため、蓄積されたデータの精度は決して高くありませんでした。たとえばブランド名称が空白であったり、同じコードに違うブランド名称が付与されていたりということもあります。そこで、買回りデータを収集する仕組みづくりにあたっては、すべてのデータを洗い出し、整合性のとれていない部分を修正していくことから始めました。この作業には約1ヵ月もかかりましたが、結果、フロアをまたぐ買回りの可視化に成功したのです。

買回りデータの収集によって来店客の購買行動が明らかになると、従来の思い込みとは異なる事実が見えてきました。たとえば、店内を巡って“ついで買い”をしてくれるのは、高級ブランドショップをご利用になる来店客より、若年層向けブランドの利用客が多いことや、化粧品ブランドと婦人服ブランドの“ある特定の組み合わせ”は親和性が高いことなどです。このような発見に基づき、「化粧品の購入者に、同日購入の確率が高い婦人服ブランドのフェアをご案内する」、「親和性の高い売場を組み合わせたスタンプラリーを提供する」などの販売促進策を打ちました。“ついで買い”しやすいショップの組み合わせを知り、効果的に誘導することによって、お決まりの店だけでなく、百貨店内の他のショップに来ていただく“店内新客”の創出を目指したのです。

“あるべき姿”をともに考え、実現する。それがコンサルタントの使命だと思う。

来店客の買回り行動の分析と並行して客層分析も行いました。従来の客層分析は、性別や年齢といった属性でグルーピングしていましたが、ファッションの世界では属性に関係なくテイストの細分化が進んでいます。そこで、買回るブランドの類似性を分析してテイストの嗜好性から客層を推定、グルーピングし直すことに挑戦したのです。分析の結果、8つのグループに分類できたのですが、それぞれの客層の志向をとらえた名称を考えるのに苦労しましたね。各グループには、たとえば「ハイグレードのクールエレガントテイストを好む=キャリア層」といった名称をつけるのですが、そのためには、婦人ブランドのテイストやグレードを知り尽くしていなければなりません。そこで、女性ファッション誌20冊の掲載ブランド、掲載量、アイテム単価をすべて調査し、独自のブランドマップを作り上げたうえで客層の解釈を行いました。

買回り分析と客層分析。J社様に2つの分析結果をお出ししたところ、高い評価をいただきました。特に、客層イメージやそのニーズの把握など、これまでマーチャンダイザーの“感性”に頼っていた領域を、データで裏付けた点が非常に有用であると評価されました。言葉では伝えにくい知識や継承しづらいノウハウも“見える化”すれば、現場では共通の基盤に立ったコミュニケーションが行えますので、人材の育成に活用いただけます。このように個人の経験に頼っていたノウハウをデータで裏付ける手法は、他の業種でもお役立ていただけるのではないでしょうか。

今回のJ社様の事例は企業内のデータを活用した分析でしたが、経済指標や人口動態などマクロの視点やデータを組み合わせた消費分析や戦略構築へのニーズも高まっています。富士通総研では弊社経済研究所と共同で、社会の変化から生活者の消費行動の変化を読み取る研究を行っているほか、富士通研究所とともに予測が可能な時系列解析の可能性についての検討を進めています。

私はお客様が目指す方向やあるべき姿を、お客様とともに考え、かたちにしていくのがコンサルタントの使命だと考えています。これからもお客様にうれしい驚きをもたらす“価値ある発見”を目指して、好奇心を磨き、柔軟な発想力を養っていきたいと思います。

顔写真:株式会社 富士通総研(FRI) 第一コンサルティング本部 流通・サービスコンサルティング事業部 安藤 美紀

安藤 美紀

株式会社 富士通総研(FRI)
第一コンサルティング本部 流通・サービスコンサルティング事業部
シニアコンサルタント

休日には、読書やゲームでストレス解消。忙しい合間に自分の時間を持つことでリフレッシュ。

[2010年12月17日 公開]


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