- 新東京病院様 「リハビリ部門の業務改革」プロジェクト
1に現場、2に現場・・・。
「業務改革」とは、デスクでは決して解けない課題だと思う。
「十分に患者様に治療の機会を提供するために、もっと病院としてできることがあるのではないだろうか?」新東京病院の院長は、漠然とした思いを抱えていた。院長のそんな思いを受けて始まったのが、<リハビリ部門の業務改革プロジェクト>。
その時から、新東京病院の理学療法室には、ある時はストップウォッチを持ち、またある時はデジタルカメラを手にした3人の男たちの姿が見られるようになる。松本芳明、千葉広隆、田村光徳。課題解決のプロフェッショナル、富士通のフィールド・イノベータ(FIer)だった・・・

(左から)千葉 広隆、松本 芳明、田村 光徳
「リハビリ診療報酬単位数(注1)」が他の病院の約半分ほどしかない・・・。それは、リハビリを望む患者様に十分な治療の機会を提供できていないという事実を意味していた。他の病院とリハビリ診療報酬の隔たりが生じる原因は何なのか。その謎を突き止めるべく、3名のフィールド・イノベータ(FIer)はさっそく現状把握に取り組んだ。
「朝8時から夕方6時まで理学療法士に張り付き、作業動線や作業内容/時間、誰と何分間コミュニケーションしたかまで、つぶさに観察して記録を取りました(千葉)」。「現場スタッフへのインタビューも重ねました。処方箋や帳票類など、1,000枚にものぼる伝票類を3日がかりでチェックしたこともありましたね(田村)」。
課題解決に近道はない。丹念に事実を集めた先にしか、新たな気づきとの出会いはない。「常に作業に目を光らせ、帳票類までチェックするものですから、スタッフの中には私たちを監査人と思った方もいたそうです(笑)(田村)」。チームリーダーの松本は、この言葉を引き取って続ける。「そこがコンサルタントと違う点なのです。フィールド・イノベータ(FIer)は、現場に立って課題を発見し、お客様と一緒に解決を図っていきます。あるべき姿を現場で考え、実現していくのです(松本)」。
事実を収集し“見える化”することで、隠れていた課題が徐々に浮き彫りになっていった。そして、約3ヵ月後。フィールド・イノベータ(FIer)は、リハビリ診療報酬が低い理由をこう結論づけた。「問題の根幹に潜んでいたのは、医師と看護師、理学療法士間のコミュニケーション不足でした。たとえば、ある患者様のリハビリの予定時間であっても、スケジュールを共有していない病棟側では検査や点滴を行ってしまう。その変更の連絡が理学療法室に来ない時もある。結果的に予定していたリハビリが行われないことが多かったのです(千葉)」。「理学療法士側から確認すればいいのに・・・と思う方もいるでしょうが、理学療法士は診療中の医師や看護師への電話に遠慮があるということをインタビュー結果から掴んでいました。電話するのを1分ためらえば、20回の電話で20分のムダが生まれます。20分といえばリハビリ診療報酬単位数=1単位に相当します。小さなムダも大きなロスにつながってしまうのです(田村)」。数ヵ月にもわたって徹底した“見える化”を続けてきたフィールド・イノベータ(FIer)の目には、重層的な課題がすべて明らかになっていたのだ。
(注1):診療報酬算定のための基準値。1人の患者様が20分リハビリをすると1単位となる。

業務に潜んでいた課題を突き止めたフィールド・イノベータ(FIer)は、さっそく解決策を提示する。「提案したのは、リハビリ専任医師の採用と、看護師、理学療法士間で患者様の予定を共有するための連絡票です。この連絡票にリハビリの予定を記入し、病棟にリハビリ当日の朝までに届けます。また、急に予定が変更された場合は、電話連絡するというルールも作りました。決まりをつくれば、遠慮もなくなりますから(千葉)」。
医師と看護師、理学療法士間のコミュニケーションを密にする提案の成果は、6ヵ月後、数字として現れた。「リハビリ診療報酬は、従来の約1.5倍に増加しました。それだけでなく、リハビリ環境の改善によって患者様の早期の機能回復に貢献できているよろこびを感じます(松本)」。
営業とSEの経験を持つ松本、流通営業を担当していた田村、富士通研究所の研究員であった千葉。異なるキャリアを持つ3人のフィールド・イノベータ(FIer)は、本プロジェクトのためにチームを組んだ。苦労はなかったのだろうか?「ずっと流通畑を歩いてきた私にとっては、お客様業務の理解に苦労しました。社内のe-Learningで医療分野について2ヵ月間猛勉強しました(田村)」。「とはいえ、チームには多様なキャリアを持つメンバーが必要なのです。お客様の業務を多角的な目線でとらえられますから(千葉)」。
さまざまな業種・業務で成果をあげている富士通独自のフィールド・イノベータ(FIer)。その人数は、約400名。フィールド・イノベータ(FIer)にとって最も必要なこととは何だろう。「お客様とのチームワークでしょうか。信頼は、日々の活動を認めていただくことで築かれますから毎日が真剣勝負です(千葉)」。「現場観察ですね。事実も気づきも現場にあります(田村)」。「現場の事実は、必ず数値に表れます。それを読み取って課題解決につなげることが大切です。データによる裏付けは、お客様を説得する際に不可欠ですから(松本)」。
最後に、富士通の課題解決力の源泉を聞いてみた。
「私たちは3名のチームですが、私たちのバックには400名体制のフィールド・イノベータ(FIer)の組織があります。さらに、富士通グループの知見、技術、製品も活用しながら、お客様の課題解決に当たれます。総合力をお客様のために結集できる。それが、富士通にしか発揮できない課題解決力ではないでしょうか」。
どんな仕事にもすべてを注ぎ込む富士通のフィールド・イノベータ(FIer)の姿がそこにあった。
松本 芳明
富士通株式会社
フィールド・イノベーション本部 第二FI統括部
フィールド・イノベータ ディレクタ
二男一女の父。趣味は旅行。最近、目の前に「落雷!」という恐怖の体験をした。
千葉 広隆
富士通株式会社
フィールド・イノベーション本部 第二FI統括部
フィールド・イノベータ ディレクタ
二男一女の父。休日は趣味のテニスで、業務に必要なフットワークを鍛錬?!
田村 光徳
富士通株式会社
フィールド・イノベーション本部 第二FI統括部
フィールド・イノベータ ディレクタ
一女の父。趣味は旅行。鉄道に乗るのが密かな楽しみ(いわゆる「乗り鉄」)。
[2010年11月12日 公開]
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