- 遠隔でロック、データ消去するCLEARSURE対応モバイルパソコンで情報保護と利便性を両立し、ビジネスの可能性を広げる

2009年度の日本における個人情報漏えいインシデント(注1)の報道や記事などから集計されたインシデント件数は1539件、想定損害賠償総額は3890億4289万円にのぼる。ここから算出される1件あたりの漏えい人数は3924人、平均想定損害賠償額は2億6683万円になる(注2)。
情報漏えいによる損害賠償は企業にとって少なからぬ損失だが、もっと深刻なダメージはデータの漏えいに起因する消費者離れだといわれる。また、個人情報はもとより、取引上の重要な機密情報が漏えいした場合、取引停止はおろか、新たなビジネス機会を逸してしまうこともある。
インターネットの普及やモバイル機器の発展などによって情報漏えいの機会が増大するにつれ、企業はセキュリティ対策を強化し、パソコンの持ち出しを禁止する企業も増えた。しかし、それは業務効率を削ぐ側面もあり、ビジネス機会を制限することにもなりかねなかった。
このような状況下、2009年9月、富士通ではノートパソコンの紛失・盗難対策として、PHS通信モジュールを用い、遠隔操作でパソコンのデータを消去する「CLEARSURE(クリアシュア)」に対応した高性能モバイルパソコンFMV-LIFEBOOKの販売を開始した。
クライアントPCビジネス推進統括部で販売推進にあたる望月誠、菅原通安、小川創に話を聞いた。

情報漏えいの脅威はパソコンの移り変わりとともに変遷してきた、と菅原は説明する。
「セキュリティ対策の重要性が叫ばれた2000年代初めには、主にインターネットなどを通じた外部からの不正アクセス対策に重点がおかれました。しかし、持ち運びできるノートパソコンが普及してきた2004年頃から、パソコンの紛失や盗難による情報流出、ファイル交換ソフト経由による情報漏えいが社会問題化するようになり、内部からのセキュリティ対策も重要視されるようになりました。」
パソコンの紛失や盗難を避けるため、持ち出しを禁止する企業が増えたが、それではせっかくのモバイルパソコンの機能を生かせない。
数年前まで営業職に就いていた菅原はいう。
「富士通でもパソコンは原則持ち出し禁止でした。パソコン製造メーカーだからこそ、厳しい制限で情報漏えい防止策を講じなければならなかったのです。しかし、外出先ですぐにも納期確認や案件の進捗状況を把握したいのにそれができない。お客様先で新製品の情報提供やプレゼンを進めたいのにそれも不可能。そのようなジレンマが社内で大きくなり、お客様もまた同様の悩みを抱えていました。」
モバイルの利便性を保ったまま、万全の情報保護ができるパソコン。誰もがそれを望んでいた、と開発部門出身でセキュリティ製品開発に携わっていた望月はいう。
「守り、だけではダメなんですね。どこでも持ち出せる便利さを制限してしまうようではモバイルパソコンの機能性が半減します。例えば、自動車事故をなくそうと思ったら自動車に乗らなければいいのですが、現実問題そこまではおこなわないですよね。モバイルパソコンも同じです。
CLEARSUREはお客様、社内双方からの要望を組みあげ誕生したセキュリティ技術。その特長は、紛失、盗難にあった際の対策をパソコン本体に組み入れたことにあります。パソコン本体にPHSユニットを内蔵し、電源OFFの状態でもロックや消去といった操作を遠隔で実行できる世界初の技術で、安全性と利便性という一見相反するニーズを融合したのがCLEARSUREなのです。」

情報漏えいによる甚大な被害が取りざたされる昨今だが、業種、職種によってセキュリティに対する意識は非常に異なると語るのは小川だ。セキュリティ技術の販売推進に携わって8年になる。
「個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)の施行やコンプライアンス(法令遵守)重視の流れを受け、各企業は重要な経営課題の一つとしてセキュリティ対策に取り組んでいますが、業種や職種の違いにより、その考え方にはかなりの温度差があるといえます。業種でいえば金融関係や保険、公的機関など個人情報を多く取り扱うところではかなりシビアなセキュリティ対策を実行していますが、予算との兼ね合いやセキュリティレベルをどうするかで悩まれている企業も少なくありません。また、同じ企業内でも、情報システムや管理部門がセキュリティに神経を尖らす一方、一般社員はセキュリティ対策の必要性を感じつつも普段はつい忘れがちになってしまう、といったことも見受けられます。自分の身近なところで情報漏えいの事故や被害が発生しないかぎり、その怖さを実感できないという面があるのだと思います。」
しかし、小川は、セキュリティへの積極的な取り組みを妨げるのは、当事者意識の薄さだけではないという。
「情報漏えいの対策をしていても、新たな技術環境の進歩から個人の何気ない行動により、甚大な被害が会社にもたらされる場合があることを認識していただきたいのですが、それとともに、私たちの側にも、わかりやすく、導入しやすいセキュリティ技術を提供する努力が必要だと思います。技術そのものに固執し高度なセキュリティ機能を開発することを目的化するのではなく、実際の利用を想定することが大切です。いくら高度なセキュリティであっても、操作が複雑で手間がかかるソリューションは、利便性が低下し、結局はお客様に敬遠されます。CLEARSUREは、富士通の営業部門からの要望を取り入れ、ICT管理部門が事故発生時の対策強化を、パソコン開発部門がモバイルパソコン活用によるビジネスの活性化を、という目的のもとにタッグを組んで生まれた技術です。情報セキュリティポリシーを厳格に策定している富士通が社内実践で利用するほどセキュリティレベルが高いものです。
また、2010年7月には総務省の「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」が改訂になり、パソコンが盗難にあった場合でも、個人情報の漏えいによる二次被害が生じないような技術的保護措置があるときには、本人への通知や公表が免除されるなどの軽減措置が設けられました。CLEARSUREを搭載しているパソコンはこの軽減措置の対象となりますので、お客様にとって大きなメリットになります。」
まずはセキュリティが重要視される業界に向けて、広くこの機能をアピールしていきたいと語るのは菅原だ。
「生命保険業界では、すでに日本生命保険相互会社様にCLEARSURE搭載パソコン約5万台の導入を決定いただきました。また先日は製薬業界向けにセミナーを開催いたしました。製薬会社のMR(医薬情報担当者)の方は、常に製薬や臨床、顧客に関する重要な情報を入れたパソコンを持ち歩き、病院、医院を訪問します。訪問先でオーダーがあれば、その場で在庫確認もしなければなりません。利便性を失うことなく、事故発生時の情報セキュリティも万全にしなければならない業種の筆頭です。実際に電源OFFの状態でのリモートロックのデモを見ていただいたところ、多くの方がその機能に非常に興味を示され、私たちも大きな手応えをつかんだところです。」

モバイル機器が多様化し、OSやソフトウェアも進歩し続ける今、セキュリティはトータルな視点で考えるべきだと望月は語る。
「セキュリティといっても、その内容は、生体認証やスマートカードといった認証技術、暗号化技術、CLEARSUREに使われる遠隔制御技術など多岐にわたります。仕様や価格という個々の要素比較だけではなく、その組み合わせによる効果を考えたトータルな視点が必要です。そして、アンチウイルス・ソフトウェアがウイルス定義ファイルを更新し続けるように、継続的にサポートすることも重要です。お客様ごとに異なるセキュリティレベルや課題を理解し、最適な技術を組み合わせながら、運用やサポート、ソフトウェアの更新も含め、トータルに継続できるソリューションのご提案こそが現代のセキュリティ対策の要だと思います。」
菅原はまた、最新技術の提供の面でも、継続的にお客様をサポートしていきたいと話す。
「例えば現在開発中の静脈認証を利用した新しい製品は、従来の指紋認証を使った製品よりも高い精度を提供できますし、ほかにも新たな技術を開発中です。そういった新技術を提供し続けることにより、お客様は最新技術による快適なセキュリティ環境を維持しながら、事業継続をはかることができます。またCLEARSURE搭載のパソコンを導入することで情報漏えい事故の低減はもちろん、パソコン活用による業務効率の向上やコスト低減にも貢献できます。さらには情報漏えいを防ぐパソコンを使用することで、取引先やエンドユーザーへの信頼感を高め、企業価値向上へつなげることができるのです。このようにお客様と富士通とがWin-Winの関係を築けることが理想です。」
そして、小川は、Win-Winの関係をさらに進め、最終的にお客様企業の収益力アップへ結びつけたいと語る。
「CLEARSURE搭載パソコンの導入を対外的なアピールに利用し、ビジネスチャンスを広げていただきたいです。お客様が、取引先に対して「情報漏えいを防ぐ万全のセキュリティ対策を導入しているので安心してサービスをご利用ください」とアピールしていただきたいのです。実は、富士通の認証技術をお使いいただいているお客様のなかに、そうしたアピールが功を奏し、売り上げを伸ばされているケースがあります。
セキュリティ技術が単に安全を提供するだけではなく、お客様の収益力向上につながる。それがお客様と富士通との継続的な信頼関係につながり、次にはお客様の意見を取り入れた製品開発へつながる。そういった仕組みでお互いのビジネスを活性化できればと思っています。」
今後、モバイルパソコンにはCLEARSUREをはじめとするセキュリティ対策の組み込みがデファクトスタンダードになるよう導入実績を広げたいと3人は語る。安全性と利便性の両立というテーマは、富士通のみならず、今後のセキュリティ・ソリューションを貫く主要なテーマであることに間違いはないだろう。
[2010年9月1日 公開]
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