- 経営戦略と環境戦略を両立させた経営を支援する富士通の環境経営ソリューション

2010年4月から施行される改正省エネ法により、事業者全体(本社、工場、支店、営業所、店舗等)の年間エネルギー使用量が原油換算1,500kL以上(年間電気代8,000万円程度)の企業は、そのエネルギー使用量を毎年報告することが義務付けられる。販路のグローバル化もあいまって、製造業だけでなく、非製造業にとっても環境経営は重要な経営課題となってきた。そんななか富士通では、企業の収益性や業務効率の向上と環境負荷低減を両立させる環境経営ソリューションを提案、コンサルティングを含め各種ソリューションの提供を開始している。企業の利益につながる環境経営とは何か、マーケティング本部の藤原智幸と堀江将に聞く。

藤原智幸は富士通エフ・アイ・ピー入社以来20余年にわたり環境分野を担当。環境に対する捉え方は半世紀で大きく様変わりしてきたという。
「60年代から70年代において環境問題といえば、公害対策に他ならなかった。環境アセスメントに代表されるように、地域住民、地域環境にどういう影響をもたらすかという調査と評価が環境問題の主たるものでした。ところが、70年代後半から80年代に入りオゾン層破壊やCO2増加の傾向が顕著になると、環境は相互に影響するものであり、特定のエリアだけの問題ではないことが認識されるようになりました。環境問題は地域規模から地球規模へシフトしてきたのです。」
国家的プロジェクトレベルで語られることの多かった環境問題は、いまや民間企業で日常的に取り組む課題になってきたと藤原はいう。
「私たち地球にすむものが相互依存する関係である限り、環境問題から目をそらすことはできません。それは個人生活ばかりではなく、当然企業の在り方にもかかわります。地球環境の変化は、人々の意識を変え、それは市場の変化となって現れてきています。環境経営は、イメージなどブランド戦略のためにあるのではなく、地球環境の変動にともなって変化するビジネス市場に対したリスクマネジメントだともいえるのです。」
藤原はまた、環境経営そのものが企業の相互連携のもとで成り立つという。
「製造業、非製造業にかかわらず、現代のビジネスは一つの製品やサービスにたくさんの企業がかかわります。当社を例にすると、IT製品づくりにはまずサプライヤーから原料や部品の調達をします。やがて製品が役目を終え処分・リサイクルされるまでにも多くの企業の力を必要とします。また流通などの非製造業においても、配送や倉庫といった他社とのかかわりがあって業務が成り立っています。そして生産や販売がますますグローバル化する現在、環境問題はサプライチェーン全体、そして世界規模で考え解決しなければならない課題となっているのです。」
金融やサービス業などの非製造業にとって環境経営がにわかに身近な課題になるきっかけが2010年4月より施行される改正省エネ法である。いままで工場など事業所単位を対象としていた省エネ法だが、改正後は企業全体のエネルギー使用量が1,500kL/年以上の企業はすべて規制の対象となる。各企業の取り組みについて藤原は次のようにいう。
「対象企業は、国へ届け出をおこない、定期報告書・中長期計画書の提出をすることが義務付けられます。世界的に見ても、環境規制や環境対応への要求はますますシビアになってきており、各企業様は法律や規制に準拠するために環境経営に取り組み始めていますが、はたして将来的に採算に合うものなのか、成長に役立てるにはどう展開すべきなのか、などさまざまに試行錯誤されている状況だと思います。」
その上で藤原は、環境経営は企業にとってプラスになる側面が必ずあると断言する。
「富士通では2003年よりお取引先企業様に協力いただき、原材料や部品などのグリーン調達を実行しています。これは環境への負担が少ないものから優先的に調達することによってサプライチェーン全体で環境保全活動に取り組むというものです。当初はお取引先の方々もとまどいを隠せませんでしたが、ISO14001(注1)やエコステージ(注2)などの環境マネジメントシステム(EMS)導入により、CO2の見える化が進み、CO2削減効果や省エネ効果が上がり、最終的にはコストも低減できたという評価をいただいています。現在のビジネス市場で環境問題が避けられない課題であるならば、それを経営にプラスにするには、どう取り組めばよいのか考えることが重要だと思うのです。」
社内向け勉強会や社外セミナーで環境経営の講師を務める堀江将もまた、環境活動が“きっかけ”でもたらされた効果を次のようにいう。
「環境への取り組みが、結果として資源生産性の向上につながり損益分岐点を下げることができたというお客様の声を聞きます。さらに、EMSをきちんと運用している企業様で、たとえば環境教育が人材育成や業務の効率化につながり、業務活動のPDCAが機能してよいパフォーマンスにつながっているケースもあります。」

製造業に限らず、非製造業においても環境への意識が高まったとはいえ、各企業の足並みがそろっているわけではないと堀江はいう。
「環境への取り組み、環境経営、あるいはCSR(注3)経営が重要だという認識は業種を問わず高まってきていますが、その対応状況は千差万別です。環境への取り組みをボランティア的な意味合いの強いものと考えている企業様もあれば、新製品開発の生命線と考えている企業様もあります。そして環境問題、特に地球温暖化問題への対処は人類がいまだかつて経験したことのない課題なので、正解が存在するわけでもありません。試行錯誤しながら進めていかなければならないのです。」
そうはいっても、もちろんやみくもに実践するわけにはいかないと堀江は続けていう。
「ポイントは経営面と環境面の両立です。そのバランスが環境経営の根本だと思います。というのは環境対策が地球規模の逃れられない課題だとして、その義務感だけで環境経営を取り入れても長続きしないことは明らかだからです。お客様には法規制対応という受け身の範囲だけではなく、経営戦略のなかに環境の視点を取り入れ、ビジネス・チャンスを積極的に切り開きながら企業収益と業務の効率化をはかることをお薦めします。」
しかし、業種業態によって異なる課題をどう分析し課題を抽出するのか。さらに堀江はいう。
「私たちも現時点ですべてのお客様に合う解決策を提示するのは難しいと感じています。ただ、富士通には長年にわたる自社内の環境活動の実践ノウハウがありますから、これをリファレンスモデルとしてお客様に役立てていただきたいと考えています。」
富士通ではさまざまな環境経営ソリューションシステムを提供しており、なかでもSLIMOFFICE(スリムオフィス)は企業の要求に合わせて容易に導入できるシステムだと堀江はいう。
「SLIMOFFICEの特長は、企業のCO2排出量の情報を多面的に見える化することによって、環境負荷低減と企業価値向上の同時実現を支援することです。単に環境データを収集・集計するだけではなく、そのデータから経営課題を見つけ出すのに必須の分析機能も備えています。データを集め、現状を知り、指標をつくるにはSLIMOFFICEが非常に役立ちます。ただし、SLIMOFFICEはあくまでもツールです。大切なのは、CO2を低減させながら業務効率や利益率などを上げるためには、企業活動のどこにどれだけのムダ・ムラ・ムリがあるのか把握し、企業理念実現の一施策として本音で取り組める環境経営目標をどのように立てればよいのか、環境経営の道筋を明確化することです。SLIMOFFICEを使えばその指標づくりが簡単におこなえます。」
環境経営という切り口が今後の新しい市場の方向性を示すことは疑いがないと藤原は強調する。
「世界各国では環境というキーワードで新たなビジネスを生み出し、国をあげてリスクマネジメントとしての取り組みが始まっています。環境という「切り口」での新たなビジネスを切り開くべき時が来ているのです。グローバル社会のなかで後れを取らないためには、環境経営を積極的に取り入れるべきです。利益に直結しにくいからと後回しにするのではなく、市場の変化にマッチングした新しい指標をいち早く取り入れることで市場での優位性を確立していくのです。」
そのためには、自社の状況を正しく把握することが大切であり、そこにITをうまく活用していくことが重要だと堀江はいう。
「世の中が低炭素社会に向けて大きく舵を切り始めた現在、企業は環境法規制への対応はもとより、カーボンガバナンスが求められています。経営指標と同列にカーボン情報を取り扱い、環境経営データを温室効果ガス排出量という観点で評価する。そのためには、単なる収集・集計処理だけでなく、経営指標との対比、原単位、経営効率、CO2換算、あるいは連結・単体範囲での切り出しなど多様な情報処理が必要になります。情報処理はITの得意分野ですから、ここにITを活用することによって、お客様には環境経営の核心となる施策の立案や実施に注力していただけます。私たちは、SLIMOFFICEをはじめ環境経営ソリューションの機能をさらに高めていくとともに、コンサルティングとあわせてトータルに環境経営ソリューションを提供していきたいと考えています。」
さらに藤原は継続性をもったビジネスの取り組みを強調する。
「企業のなかで継続的に環境への取り組みが根付くようなソリューションを提案していきたいと思います。いま環境はビジネスのパラダイムを転換するような大きなうねりを起こしています。そのなかで富士通は、地球環境の継続性(人類が生存できる環境)を考えながら、企業の収益性と業務効率の向上を実現し、産業が活性化できるようなソリューションを提供したいと思います。」
環境問題は地球規模の課題だけに、ビジネスとしてどう取り組むのかは非常に難しく、しかも自社内だけで解決できることが少ないのも特徴だ。しかし、この課題をチャンスと捉え、環境経営へ向けて一歩を踏み出そうとする企業にとって、富士通の環境経営ソリューションは大きな支援となるだろう。
[2010年1月4日 公開]
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