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高信頼性技術でつくりあげた自信作 UNIXサーバ SPARC Enterprise(スパーク・エンタープライズ) M3000

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2008年10月、UNIXサーバ SPARC Enterpriseに新たに登場したのが、メインフレームの機能を継承した高性能コンパクトモデル、SPARC Enterprise M3000だ。幅広い業務に適用可能な汎用性の高いUNIXサーバであり、環境と安全性にも十分配慮し設計されたモデルである。

開発にあたったサーバシステム事業本部 事業企画統括部 UNIX商品計画部の佐藤崇、第一基幹サーバ事業部 第三ES開発部 河野香代子と福村祐美に話を聞いた。

ミッションクリティカルな領域を担うUNIXサーバ

富士通のUNIXサーバ開発の歴史は古い。富士通の自社OSを搭載したDS/90 7000シリーズによる開発を経て、1998年からは米国サン・マイクロシステムズ社のSolaris OSを採用したUNIXサーバを発売、GP7000Fファミリー、PRIMEPOWER(プライムパワー)、そしてSPARC Enterpriseシリーズと世界市場を見据えた開発をおこなってきた。

もとはスーパーコンピュータのハードウェア開発にたずさわっていた福村はいう。

「メインフレーム、スーパーコンピュータ、そしてUNIXサーバと、お客様のニーズに添って富士通ではさまざまな製品開発をおこなってきました。高信頼で高性能なサーバを開発するという精神は、現在のUNIXサーバ開発においても受け継がれています。」

メインフレームであるGSシリーズの開発にあたっていた河野は、
「それまでミッションクリティカルな領域はメインフレームの独壇場だったのですが、オープン化の波が、UNIXサーバにその役目を担わせるようになりました。UNIXサーバがもつ堅牢性やスケーラビリティは、インターネット時代の基幹業務を支える最適なプラットフォームになります。」という。

富士通に入社後すぐにSPARC Enterpriseを担当することになったという佐藤は、
「前職はSEでした。初めてのプロジェクトがSPARC Enterprise M3000の開発で、非常に刺激的で学ぶところが多いプロジェクトです。第三者機関の調査会社によるサーバ市場シェアの調査結果で、常に上位にある富士通の品質づくりをすぐに経験できて、ラッキーだと思っています。」という。

オンタイム開発に成功した緻密な企画力

商品企画を担当した佐藤は次のようにいう。

「SPARC Enterprise M3000は、エントリークラスで、高い単体性能を持つモデルがほしいというお客様の要望に基づき開発されたサーバです。製品コンセプトは明確でしたから、商品企画では仕様の絞り込みに注力しました。想定される用途や過去の機種での反省点を分析し、コストや本体のサイズとのバランスを考慮しつつ要求仕様をまとめました。」

商品企画に基づいて商品仕様の設計を担当したのがアーキテクト技術者、福村である。

「ハードウェア、ファームウェア、OS、それらの整合性をとりながら、仕様を策定していきました。また、市場の動きの早さに合わせ、開発工程を短縮するために、開発工数やコストなどのリソースを、正確に漏れのないよう計画し、工程遅延のリスクを排除しました。」

そして、実際の開発工程でプリント板開発や信頼性向上のための検証作業にあたったのが河野である。

「とにかく手戻りが出ないような開発プロセス体制を組みました。以前は試作機を作り、実際に動かしながら検証をしていましたが、それでは今のビジネスサイクルには対応できません。回路や電気シグナルの事前検証はもちろんのこと、三次元バーチャルシミュレーターであるVPSを駆使して、形状確認、組立性、干渉がないかなど、さまざまな検証を実施しました。保守部門とも、三次元データでのレビューを実施し、メンテナンスの立場からの使い勝手について意見交換をして、保守性の向上もはかることができました。」

市場のニーズを的確に捉え、目的の明確化、各部門のスムーズな連携により、SPARC Enterprise M3000は、商品企画も含め開発に1年というスピードで製品化した。

SPARC Enterprise M3000の高信頼性を生み出す力

「SPARC Enterprise M3000は、CPUをはじめとしたハードウェアの主要部分を富士通が開発製造しています。当社の厳しい品質管理基準をクリアした、部品レベルからの高信頼性の実現です。コストを優先し、他社製のCPUなどを採用することもありますが、M3000は自社製にこだわりました。これにより、万が一、お客さまのところで部品交換の必要性が出てきた際も、調達が容易にできます。」
と河野はいう。

ニーズに応えるための開発の苦労もある。

「部品の選定には苦労しました。SPARC Enterprise M3000の製品コンセプトの1つは「コンパクト&省スペース」です。これを実現するには、ハードウェアの高密度実装を実現する必要があります。そのため部品はできるだけ小さく、しかも信頼性が高く、コストを抑えられるものを選定しました。さらに装置全体で使用する部品数を従来のものより少なくし、また、プリント板の製造工程も意識した設計をおこなうことで、工場における製造プロセスの効率化を実現しました。」

品質向上のための追求も怠らない。福村も業務無停止の品質をとことん追求するという。

「正常に動くのは当たり前で、故障発生時にいかにしてデータを保護し故障拡大を防止するか、どれだけビジネス全体に影響なく業務を続行できるか、どれだけ早期に復旧できるか、それがサーバの高信頼性を実証する重要な点です。これを追求するため、評価プロセスの7割程度の時間は、RAS機能(注1)の検証にかけています。」

開発者の想定を超えた成果を実現する

社内における新商品紹介の際、完成したばかりの試作機をデモ展示したところ、思いもよらない声が上がった、と福村はいう。

「筐体内の構造がすっきりとしていて、従来機種に比べて格段に美しいといわれました。サーバという製品は、フロントオフィスで使うものではないですし、ましてや筐体の中身をいつも見るわけではないですから、美しく作ろうという意図があったわけではありません。ただ、部品の選定や配線の工夫、エネルギー消費の効率化を追求していった結果、内部の構造がすっきりと美しくなったということは、開発努力が偶然にもそこに現れたということではないでしょうか。」

その場での反応は、すぐさま河野に伝えた。

「嬉しかったです。プロジェクトメンバー一丸となって、想定できるありとあらゆる工夫をこらしていった甲斐があったと思いました。もちろん中身の美しさと性能が直接結びつくわけではありませんが、内部がすっきりしていることはメリットにつながります。工場の方からはとても作りやすいという評価をいただいていますし、生産効率も向上したと聞きました。」

さらに忘れてならないのはグリーンIT技術による環境負荷低減である。SPARC Enterprise M3000は従来のものに比べ、省スペース、軽量化、低消費電力、低騒音を実現しており、富士通の環境基準であるスーパーグリーン認定を取得している製品である。

環境技術のひとつ、冷却効率の工夫について河野は次のように話す。

「冷却効率をあげるために、発熱量の大きいCPUなどを風上に配置、冷却構造部門にて冷却シミュレーションを繰り返しおこないエアダクト形状を最適化しました。また筐体内を2つの独立した冷却グループに分割したことで可用性も高めました。これらにより、ファンの回転数が少なくなり、低騒音も実現することができました。」

アーキテクトの立場から福村がいう。

「富士通グループの環境負荷低減の一環として、SPARC Enterprise M3000をスーパーグリーン製品にしていこう、という声がありました。高性能でコンパクト、しかも環境に配慮した製品を作ることに対して、最初は非常にハードルが高いと感じました。しかし、開発チームの知恵と経験を積み重ね、結果的にはミッション以上の製品を作ることができた、と自負しています。」

サン・マイクロシステムズ社との協業、そして富士通技術の伝承

1983年にパートナーシップを締結以来、20年来にわたり協業関係にある、サン・マイクロシステムズ社。富士通のUNIXサーバと、サン・マイクロシステムズ社が培ってきた高パフォーマンスなSolaris OSは、とても整合性がよいという。この長きにわたる協業体制は、富士通の開発部門にどのような影響をもたらしているのだろうか。

「文化や市場環境などによるものでしょうか、お互いの発想の違いに直面し、驚くこともあるのですが、それが逆に新鮮で参考になることが多いです。富士通でなければできないこともありますし、富士通だけではできなかったこともあります。サン・マイクロシステムズ社は、高性能なOS技術を持ち、富士通は、メインフレームやスーパーコンピュータ開発で培ってきた高性能技術や高信頼技術を持ち合わせており、お互いの技術を掛け合わせることで、よりよい製品作りにつながっていると思います。つまり、お互いが高めあう関係を築いているのです。」
と福村はいう。

協業によってできあがったSPARC Enterpriseの特長と今後について、佐藤は次のように語る。

「製品ラインに幅があり、業務に応じて柔軟に対応できる。それがまずSPARC Enterpriseの強みだと思います。そして、サーバ単体だけではなく、SIやミドルウェア、システム運用との組み合わせで、富士通の強みがさらに発揮できるのだと思います。」

「サーバの開発については、営業やSEの方から意見を聞くほか、月に2~3回はプラットフォームソリューションセンター(注2)などで定期的な打ち合わせをし、要望を聞いています。開発チーム、および関連部門同士のコミュニケーションを活発にし、スムーズに連携してくことが開発のプロセスに非常に重要なことです。」

河野は、富士通の開発部門全体の将来性についても力を注ぎたいと話す。

「社内のいろいろな革新活動にたずさわっています。CAD担当部門や共通部品部門など、関連部門との風通しを良くするように心がけています。たとえば、関連部門が結束してCADシステム環境がよくなれば、全社のプリント板の品質は向上するのです。今後もこの活動を継続していき、富士通として優れた製品を世に出していける組織を目指したいと思っています。」

そして、福村は技術力をしっかり伝承していきたいという。

「富士通の高度な技術の伝承、それをもっとシステマティックに、グループを横断してできるようにしたいと思います。技術やスキルは属人化してしまうことが多く、たとえばAチームで経験した失敗を、Bチームでも起こしていた、といったことがあります。障害を出さない設計のプロセス、網羅性が高く、かつ短時間で効率的な評価のプロセスなど、開発プロセスにおけるノウハウを共有することができれば、開発を短縮化できる、あるいは同じ失敗を未然に防ぐことが可能です。組織の技量を全て活用するためには、こういったノウハウを文書化して残していくことが大切だと感じています。」

これまで培ってきた技術や歴史をベースに、より高品質なものを追求する開発姿勢は、開発者の使命である。これからも彼らのたゆまない努力が富士通の技術の厚み、深みとなっていくであろう。

注記

(注1)RAS機能 :
Reliability(信頼性)、Availability(可用性)、Serviceability(保守性)の略。システムが安定して動作するための支援機能。
(注2)プラットフォームソリューションセンター :
富士通の最新のITインフラを揃えた国内最大規模のショールーム/検証センター。

[2009年1月5日 公開]

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