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間近に迫る超高齢社会への挑戦(前編)

間近に迫る超高齢社会への挑戦

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東日本大震災の発生から約半年後の2011年9月1日。地震と津波による甚大な被害を受けた宮城県石巻市に、「祐ホームクリニック石巻」が開設された。同クリニック院長の武藤真祐氏は、在宅医療に医療の「本質」を見出し、そこでイノベーションを起こすという志を抱き、高齢先進国モデル構想の実現へ挑戦を続けている先駆者である。

被災地の石巻で顕在化した高齢化の問題は、日本が直面する課題の縮図

在宅医療とは、患者の住まいに医師が定期的に訪問し、計画的・継続的な医学管理や経過診療を中心に、患者の療養・生活全般を支えていくものである。

在宅で診ることが困難と思われがちな重度の患者や、複数の疾患を持った高齢者でも自宅で安心して過ごせるように、武藤氏は東京都文京区の「祐ホームクリニック」で、非常勤医を含めた多様な専門医・専門職と協力しながら、24時間・365日体制の医療的支援を行っている。

東日本大震災の直後に石巻の地へ

震災後の混乱が続く2011年5月に石巻市を訪れた武藤氏は、祐ホームクリニックの2つ目の拠点をこの地に置き、地域の人々と共に活動していくことを心に決めた。

「石巻市の被災地で衝撃を受けたのは、高齢者の方々がコミュニティから孤立しているという現状でした。こうした方々を何としても救いたいという思いに突き動かされました。適切な医療や介護を提供することはもちろん、1人ひとりの生活そのものを守っていかないと、高齢者は身体機能だけでなく認知機能もどんどん落ちていってしまうからです。もはや時間の猶予はないと考えました」と、武藤氏は当時を振り返りながら語る。

祐ホームクリニック石巻の開設は、それまで全く縁のなかった石巻の地で土地探しから始めなければならない取り組みだった。しかし、多くの賛同者や支援者の協力によって奇跡が奇跡を呼ぶように歯車が回り、同クリニックは通常の5分の1というスピードで開設した。

行政・民間企業・NPOが連携し、地域のプラットフォームを作る

石巻市で活動を始めた武藤氏の胸に込み上げてきたのは、「被災した石巻の姿は、近い将来の日本の姿そのものではないだろうか」という思いだった。

今後日本は、少子高齢化の進行によって人口構造が大きく変わる。特に2015年には「団塊の世代」と呼ばれる人々が65歳を超え、これまで「支える側」にいた約600万人が、「支えられる側」に回っていく。

その結果、高齢者人口は総人口の4分の1を占める約3200万人となり、世界でも類を見ない超高齢社会が到来する。高齢者の独居率も14%と非常に高くなり、約550万人に達する。高齢者が1人でもいる世帯となれば実に約40%、約2000万世帯を超えると推定されている。

「東日本大震災を機に石巻市では、高齢化問題が一気に顕在化しました。これは、日本が間もなく直面する超高齢社会の縮図と捉えています。例えば、高齢者が孤立したために歩けなくなった、認知機能が下がって外出できなくなった。こうした問題を我々は、間近でいくつも見ています。同様の問題が、今後は都市部でも急激に顕在化するでしょう。そのため、まず石巻市でこの問題を解決するシステムを作って運用していくことが、日本全体が抱えている高齢化問題の解決にもつながる、1つの大きな手がかりになると確信しています」と武藤氏は言う。

現在、高齢化問題に対応しているのは行政だ。しかし日本の財政事情を考えると、行政だけで高齢化問題を解決できるとはとても考えられない。そこで武藤氏が進言しているのが、医療が持つ信頼を軸として、行政と民間企業、さらにNPOが連携した新しい形の地域プラットフォーム作りである。最終的には、「国民が国民を見守るようなコミュニティの形成をめざしています」(武藤氏)という。

一方で富士通も同じ頃、クラウドを活用した被災地支援チームをいち早く社内に設置。その一環として例えば、全国各地のNPO(非営利活動団体)ネットワークとして2011年3月14日に発足した「被災者をNPOとつないで支える合同プロジェクト」(略称:つなプロ)が行う避難所アセスメント活動に賛同し、被災者の方々に「必要なモノ・サービスを、いますぐに」届ける活動に協力。

「つなプロ」とは、仙台・東京・関西を中心としたNPOと全国のNPOが連携し、避難所の実態把握のためのアセスメントを実施し、判明したニーズや課題を地域内での支援の取り組みや、医療・介護・障がい者・外国人・難病患者支援など専門性を持つNPOとマッチングすることで解決を進めている合同プロジェクトである。

そのプロジェクトの中で富士通は、避難所の実態やニーズなどの情報を効率的に管理する「つなプロクラウド」を短期間で構築し、NPOの活動を支援しました。

このように武藤氏と富士通は、それまで日本ではあまり見られなかった「地域とNPO、企業のコラボレーション」という同じ思いを抱き、新たな社会づくりのための活動を本格化させていたのである。

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