- 【第五回】碓井誠氏
- コンビニ躍進の礎を築いた“実務型”経営改革(前編)
- コンビニ躍進の礎を築いた“実務型”経営改革(後編)

昨今のビジネスにICTの活用は不可欠だが、せっかくのシステムも使われずにお荷物になってしまっては本末転倒だ。“使いやすいシステム”、“使えるシステム”にしていくためには、どのような点に注意すべきなのだろうか。

私がセブン-イレブンに入社した1978年当時、店舗の発注業務は電話発注やベンダーによるルートセールスが主流でした。その頃の店舗数は全国で約450店と今に比べれば圧倒的に少ないものの、電話と紙の伝票による発注業務は煩雑で、店側も商品を供給するベンダー側も手いっぱいの状態でした。しかもルートセールスだと、後から配送に来たベンダーは自社の商品がいちばん有利になるように陳列を並び替えてしまいます。これでは店側にイニシアチブのない、単なる「棚貸しビジネス」です。
当時は親会社のイトーヨーカドーのシステムを使って、商品もスーパーの売れ筋を並べていました。しかし、スーパーはコンビニより規模が大きいですし価格の違いもある。特徴を打出せないのであれば、コンビニは“遅くまで開いている店”にすぎません。
しかし、コンビニはスーパーとは異なる新しい業態です。そのいちばんの象徴が「冷や奴」でしょう。従来ならば、冷や奴を食べるために豆腐を買って、しょうゆ、おかか、ネギも買わないといけなかった。それがすべてひと揃えになって冷蔵庫で冷されていて関連する商品もすぐそばに陳列されている。これがコンビニエンスストアであり、その特徴を打ち出すためにはマーケティングが重要でした。
お客様の望むものをいつでも提供できる店づくりがしたい――。そのためには、自分たちが主導権を持ち、業務の効率化、情報を共有化するシステムが絶対に必要だと考えました。そして創業者・鈴木敏文現会長が注目したのが、POSシステムのマーケティングへの活用。当時、バーコードの印刷も行われていない時代でしたが、独自のシステム開発に取り組むことになったのです。
セブン-イレブンが目指したのは、一言でいえば情報をベースにした経営です。もともとアメリカで開発されたPOSシステムは、レジ担当者の不正や誤った売価での販売を防止するなど、正確性を目的に導入されたものですが、セブン-イレブンでは、最初からマーケティングに活用するためにPOSシステムをデザインしました。「いつ・何が・どういう人に・いくらで・いくつ売れたか」という販売実績情報を収集し、受発注の効率化や売れ行き動向の分析に役立てたいと考えたのです。
しかし、当時はそうしたことを実現できるシステムが世の中にありませんでした。なければ当然、自分たちでつくるしかない。そこでまずは、自分たちが求めるものを着実に実現できる、確かな技術力を持ったパートナーと組んで一緒に仕事をする仕組みを作り、独自のPOSシステムやバーコードスキャナ、バーコードプリンタなどを開発しました。1978年から第一次店舗システムとしてスタートしたコンピュータ発注に引続き、販売情報を捕えるPOSシステムを第二次店舗システムとして稼働させました。その後、何度かシステムのバージョンアップを図っていますが、この仕組みが今も、セブン-イレブンの経営の中で重要な役割を担っています。
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