- 【第四回】伊藤洋一氏
- クラウド時代のグローバル経営術(前編)
- クラウド時代のグローバル経営術(後編)

グローバル化には戦略的な拠点展開が重要だ。それだけに各拠点の人と情報をつなぐ共通基盤として、ICTが大きな役割を担う。これからの企業経営に求められるICTの要件とは何なのだろうか。

日本の企業にとって、目指すべきマーケットはやはり世界だという認識が欠かせません。日本の人口は戦後初めて減少したわけですが、現在世界中で70億人の人が暮らしており、消費者の数としても増えて続けているという構造です。
こうした理解のうえで競争に勝ち抜くには、国内部門と海外部門の役割を明確にすることです。コモディティ化した技術は海外の工場に任せ、国内ではより独創的でクリエイティブな業務に専念することも1つの手でしょう。その場合、現地の工場をいかに使いこなすかが重要なポイントになります。
また、品質を維持するための管理体制の構築が不可欠です。日本は東日本大震災の影響でサプライチェーンの崩壊により深刻な痛手を受けました。最近ではタイの洪水被害など、海外でも自然災害のリスクは無縁ではありません。これらの教訓を活かし、可能な限りリスク分散を考えた拠点展開を図ることが大切です。
グローバル化と言うとすぐに「海外に工場を出して」という話になりがちですが、製造拠点を海外に移転するからといって、日本がものづくりを捨てることにはなりません。優れた製品は機能融合の産物であり、一種のアートのようなものです。それが生まれるかどうかはやはり、“ループ的”な仕掛けを作れるかどうかがカギを握ります。
高い技術や精度が求められるものは日本で作ればいいし、そうでないものはコストを重視して海外の工場の作るという選択肢もあるでしょう。ものづくりの頭脳は日本で、コモディティ化した技術は海外でといった住み分けを図ることで、新しいものづくりのスタイルが可能になります。
共通基盤を実現する仕組みとして注目しているのがクラウドです。自社でインフラを持つ必要がなく、ネットワークを介し、ワールドワイドで共通のシステムを利用できます。ビジネスの成長に合わせて柔軟にシステムを拡張できるのもメリットです。特に予算や人員が限られる中小企業にとっては、大きな効果が期待できるのではないでしょうか。
クラウドとともに注目しているのが、スマートデバイスの活用です。クラウドとスマートデバイスを組み合わせれば、いつでもどこでも必要な情報を入手したり、必要な相手と連絡を取り合えます。最近ではサービスも多様化し、世界中で社内電話が使えるサービスも登場しています。ビジネスパーソンは、社内外、あるいは海外にいても、インターネットが繋がればどこからでも同じような業務の環境が利用できるのです。
共通基盤をベースにこうした多様なサービスを組み合わせることで、オフィスに縛られない柔軟なビジネススタイルが可能になり、グローバルビジネスをシームレスに展開できるようになります。
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