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【第三回】米倉誠一郎氏 / 「創発的破壊」を促すICT利活用(前編)

日本が生き残る道は、技術の融合と“プロ集団”の形成

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企業の成長にとってイノベーションは不可欠の要素だ。しかし一方で、高い技術力を持ちつつポテンシャルを十分に発揮しきれない日本企業は少なくない。このジレンマを打破するために取り組むべき課題とは何だろうか。

“技術の融合”で新たな価値を創造する

今、日本の経済界には停滞感が漂っています。超円高や震災の影響など、日本企業が直面している課題をどのように捉えていますか。

顔写真:一橋大学イノベーション研究センター長 米倉誠一郎氏

経済状況は確かに厳しいですが、それだけが停滞感の原因ではありません。

かつて世界で人気を誇った日本の家電製品は、アジアを中心とする新興国の追い上げに遭い、大きく低迷しています。製品単体ではアジアの企業にかないません。世界シェアを取りにいくには、規模の経済性に差があるのは明らかです。このような状況に陥っているのは、単体の技術に頼るばかりで、技術と技術を融合させた新しい価値を生み出すような革新的な取り組みが進んでいないから。日本にはエネルギーから家庭用洗濯機までも生みだせる世界的な総合メーカーがいくつもあり、ICT技術という後ろ盾も持っているはずです。トータルソリューションこそが日本の技術力ですよね。

そういった日本の技術力をどのように活かしていけば良いのでしょうか。

世界的な流れとして、エネルギーの削減や持続可能な低炭素社会の実現が求められます。様々なエコロジー技術を持つ日本は、この分野で世界のリーダーとなっていくべきです。

例えば、日本の基幹産業の1つである自動車。ガソリンエンジンの燃費向上だけではなく、ドライビングをサポートする技術を組み合わせることで、CO2の排出は大幅に減らせます。さらに、道路状況をリアルタイムで把握し、目的地までの最適なルートを案内して渋滞を緩和すれば、効率的な走行が可能になり燃費は向上します。エンジンというハードの技術と、渋滞緩和を支援するソフトの技術、こうした異なる技術の融合で、イノベーションは促進され、単体では越えられないハードルを乗り換えられるのです。

ディーゼルエンジンを搭載した大型艦船の場合でも、海流、気象条件などを総合的に判断すれば、どの航路が最適で、どこでエネルギーを無駄にしているかが分かります。エンジン自体の効率を上げることでもコストは低減されますが、そうするまでもなく、海図や航海指針、ソフトを見直すことで同様の効果は得られます。単なる部分的な改善ではなく、全体を俯瞰したソリューションの提供にいちばん近いのが日本だと考えています。

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