- 【第一回】財部誠一氏
- 混迷期に勝ち残る経営戦略(前編)
- 混迷期に勝ち残る経営戦略(後編)

今や、グローバル化は必須の流れ。新たなマーケットとして、これからはアジアを中心とした新興国市場に目を向ける必要がある。だが、供給者の論理では成功はおぼつかない。グローバルビジネスを成功に導くには、市場が何を求めているかを的確・迅速に把握することが大切だ。そこから、企業が進むべき新たな戦略が見えてくるという。

産業に欠かせない電力の安定供給が困難になり、超円高が続く現在、製造業や輸出産業は“厳しい向かい風”の状態にあります。「国を守るか、会社を守るか」という問題を突き付けられたようなものです。国を守るために会社が潰れてしまったのでは、たまったものではありません。その意味で、海外に目を向けるグローバル化は、切実な経営課題です。
ただし、適切なビジョンや戦略がなければ成功は難しいでしょう。重要なのは、各国の市場ニーズを的確に把握すること。すなわち、マーケティング分析をしっかり行うことです。顧客が何を求めているかを明確に理解し、最適な商品をスピーディーに開発・供給しなければ、市場では受け入れられません。
アジアの新興国では、日本国内で提供されている高機能・高付加価値な商品が求められるとは限りません。もっとシンプルな商品を求めている場合も多いのです。
一例として、洗濯機が挙げられます。インドネシアではスコールが多く、濡れた服を早く乾かすために脱水機能をよく使うそうです。日本で一般的な全自動洗濯機は、値段が高いうえ、インドネシアの利用状況からすれば使い勝手もよくありません。必要な時に脱水機能だけ、さっと使いたいわけです。
それなのに、高機能・高付加価値の商品をアピールしても、消費者の心には響きません。こうしたことが把握できれば、自ずとどういう戦略を取るべきか見えてくるはずです。
顧客が何を求めているかを正確に把握することは、商売の王道ともいえるアプローチで、古くて新しいテーマです。時に人海戦術も必要でしょう。ですが、膨大な情報を整理・分析する作業までアナログで対応していたら、ライバルに遅れをとります。
そうならないためには、ICTの本質を正しく認識することが大切です。ICTの本質はスピードにあると私は思います。集めてきた情報を迅速かつ多角的に分析し、さらにスピーディーな商品開発やマーケティング活動に生かすにはICTの力が欠かせません。供給者の論理ではなく、消費者の視点に立ったビジネスを展開するうえで、ICTはなくてはならないものだと言えます。
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