- 【第一回】財部誠一氏
- 混迷期に勝ち残る経営戦略(前編)
- 混迷期に勝ち残る経営戦略(後編)

震災からの復旧・復興需要は、今後の日本経済をけん引する可能性を持つ。ピンチをどうやってチャンスへ変えるかが、企業の明暗を分ける分水嶺だ。復旧・復興に向けて、取り組むべき課題とは何なのだろうか。

3月11日に発生した東日本大震災は、東北沿岸部を中心に未曾有の被害をもたらしました。さらに福島第一原子力発電所の事故と、それに伴う電力供給不足により、輪番操業や輪番休業を余儀なくされるなど、企業活動は混乱を極めています。
その一方で、“超円高”が続行中です。まさに複合的な問題が一挙に押し寄せ、産業・経済界は危機的な状況に直面しています。
例えば、ものづくり企業にとって、サプライチェーンは生命線と言えます。震災によるダメージに加え、電力不足の問題も追い打ちをかけたことで、サプライチェーンが、正常に機能しなくなってしまったケースは少なくありません。
必要な部品が手に入らなければ、完成品は作れません。被災地の企業ばかりではなく、遠く九州の企業でも事業に影響が出た例があります。震災の影響は広く全国に飛び火し、あちこちで火の手が上がったような状況でした。
今は、次第に震災の被害から立ち直りつつありますが、サプライチェーン崩壊のリスクを経験し、産業に欠かせない電力の安定供給が脅かされたことで、以前にも増して企業の危機意識は強まりました。
企業は、アジアを中心とした海外展開を考えざるを得ないでしょう。発展を続ける新興国の勢いを取り込みつつ、事業継続のリスクなど国内で不安定な部分を海外で補い、ビジネスのバランスを図る必要があるからです。グローバル化の流れは、今後ますます加速していくものと思われます。
復旧・復興とグローバル化は、決して矛盾しません。復旧・復興は短期的な経営課題、グローバル化は中長期的な経営課題と捉えれば分かりやすいでしょう。2つの柱で経営を考えることが重要です。
短期的には足元を見て、国内ビジネスの拡大を考えます。少子高齢化による国内マーケットの縮小も懸念されていますが、一日二日で劇的にマーケットが変わるわけではありません。国内にもビジネスチャンスはたくさんあります。復旧・復興需要で、内需 は確実に増えるはずです。
ただ、復旧・復興需要が続くのは長くて2年程度です。その間は、国内ビジネスに注力しながら、5年先を見越してグローバルビジネスの準備を進めるべきでしょう。
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