富士通研究所

サイトマップ

Japan

ホーム | English

印刷用

元のページへ戻る

  1. ホーム >
  2. 技術情報 >
  3. やさしい技術講座 >
  4. 講座一覧 >
  5. 赤外線センサー

更新日2007年2月27日


赤外線センサー

赤外線(波長が0.78~100ミクロン)の光を感知するセンサーです。

目次

 赤外線ってなんだろう

 構造

 原理

 応用

 先端技術

 ワンポイント

 小話



赤外線ってなんだろう

温度

絶対零度(-273℃)より温度が高いものは赤外線を発します。


つまり、地球上全ての物体は、赤外線を発しています。

波長

赤外線は目に見えない光です。
見える光(可視光)と比べて、長い波長の光です。(波長については「光通信技術」で説明しています)

赤外線と温度の関係

温度が高い短い波長の赤外線を多く(強く)発します。
温度が低い長い波長の赤外線を少なく(小さく)発します。

言い換えると赤外線をキャッチすれば、物体に触らずに温度がわかります。



構造

赤外線カメラで撮影した場合

ホットコーヒーを撮影したら、どんなふうに見えるのでしょうか。



 

赤外線カメラで赤外線をキャッチし、電気信号でモニタへ送られます。
モニタで見ると温度が高いところは白く見えます。


赤外線カメラの中には赤外線センサーが入っています。




原理

赤外線カメラのレンズを覗くと(実際はレンズが鏡のように反射しているので外からは見えませんが)ちょうど正面に正方形のセンサーが入っています。
センサーは縦256画素、横256画素の集合体です。

画素の断面

右図:1画素の断面

HgCdTeは赤外線を受けると自由電子が発生します。
自由になった電子(マイナス)は、そのあとn+(プラス方向)に引き寄せられます。


電子が飛び出し沢山の自由電子になります。


赤外線の強さと画素の濃淡の関係

赤外線が強いと自由電子が増えて、1画素は白っぽく表示されます

上のことをふまえて、

赤外線の強さによって1画素の色の濃さが異なります

赤外線の画像

濃淡が異なる色の画素を並べると、赤外線センサーがとらえてモノの形がモニタにあらわれます

応用

ゴミの収集場や夜間用前方監視装置、自動ドア、リモコン、天気予報などに応用可能です

先端技術-新しいセンサーQWIP

今までの材料や構造を大きく変更して、新しいセンサー「QWIP(クウィップ)」を開発中です。

QWIPの原理

赤外線のエネルギーを受けると、自由に動く電子が生まれます。つまり電気が流れます。(モニタの画素は白くなります)

赤外線を受けないと電子が動かず、電気は流れません。(モニタの画素は黒くなります)

QWIPの技術

QWIPになくてはならない技術があります。
それは光結合構造です。この構造がないと赤外線をキャッチできません。

MQW層の性質

MQW層は赤外線が垂直に入ると通過してしまい、キャッチできません。

そこで



一番上の層をデコボコにして、赤外線を乱反射させます。

すると、MQW層に対して赤外線が平行になればなるほど、キャッチしやすくなります。

 

重要

どんなデコボコにするかで赤外線センサーの良し悪しが決まります。
=赤外線センサーの感度を左右します。

 

光結合構造



ワンポイント

ワンポイント1

みなさんは学生時代に周期表を覚える為に「スイヘイリーベボクノフネ~」なんて覚え方をしたことがありませんか。地球上に存在するもの全てはこの周期表の中に書かれている様々な元素の組合せで出来ているのです。下の図は、半導体によく使用される材料の性質・特長を周期表を使って表しています。


ワンポイント2

では次に、赤外線センサーに現在使われている材料(HgCdTe:水銀カドミウムテルル)と今後使われていく材料(AlGaAs:アルミ二ウムガリウムヒ素)の比較をしてみましょう。

材料 材料の違い 用途の違い
GaAs/AlGaAs(今後)
3インチウェハが使える=画素数が増える(640480)
・既存の半導体製造装置で作れる
結合が強いので、ひずみやゆがみが少ない(安定している)
・値段が安い、扱い易い
通常の動画像
車や人間が対象
HgCdTe(現在)
四角いウェハなので、HgCdTe用の半導体製造装置を特別に作らなければならない
・熱効率が高い(70%)
高速用の読み出し用として・・
飛行機、新幹線に利用

GaAs/AlGaAsを使ったセンサーを知りたい方は「先端技術」をご覧ください。


小話

小話1-隠れたヒーロー物語

右の写真の彼は、赤外業界では知る人ぞ知る裏有名人、Y氏。
この業界に携わる者なら一度は彼を目にしたことがあるのではないだろうか。なぜなら、彼はあらゆる発表の場で赤外写真のモデルとして登場するからだ。その登場回数は過去数十回に及ぶ。

始めに、彼がモデルに抜擢されたのは簡単な理由からだった。
いつでも実験装置の側にいるのが彼なのだ。つまり、彼と装置は仕事上でのパートナー。装置の結果の良し悪しは、彼の写真の映り具合に直接反映する。(それはウソ)だが、装置の側の人間だったら誰でもいいかというと、そうはいかない。富士通のCMに高倉健さんが登場するように、赤外にY氏なのだ。

もともと彼は顔だちがはっきりしていた。そして、男性ということもあり体温が高い。しかも赤外センサーを覗くと皮膚の表面温度にムラがあることが分かった。眼鏡もかけている。眼鏡のレンズはガラスでできているのでモニタを通すと透明レンズは黒いサングラスのように映し出される。これは、レンズの表面温度が皮膚より低い為であり、モノを通過しにくい赤外線の特長を示すことができる。そして、髪の毛の量が多い。髪の毛は温度が低い為、密毛の部分は黒く、生え際の毛が詰まっていない部分は髪の毛の下の皮膚の部分も映し出し、髪の毛の流れをはっきりとモニタから見ることができるのである。これほど条件の揃ったモデルはいない。今回の小話で取り上げたのも、部長じきじきの提案からだ。つまり彼はなるべくしてなった赤外線センサーモデルなのである。


そんな彼もモデルを始めてはや6年。1児のやさしいパパである。子供は親の背中を見て育つというが、親の赤外写真を見て育つというのも悪くないのではないだろうか。
そしていつか親と同じ道(赤外業界)に進み、2代目モデルが誕生することを私は密かに期待する。

小話2-犯人逮捕に貢献

赤外線カメラは、可視光の強さ(太陽、蛍光灯など)に関係なく感知する事ができる為、防犯カメラなどに使われています。

例えば映画やアニメなどでは、赤外線レーザーが張りめぐらされている暗闇の中を、特殊メガネを装着したどろぼうが巧くくぐり抜けていく、という場面があります。

しかし実際にはそのような使われ方はされていません。赤外線カメラが人や物の温度差を感知してどろぼうをモニタに写しだします。モニタには、髪の毛は黒っぽく(温度が低い)、肌は白っぽく(温度が高い)映しだされます。人間の、つまり犯人の髪形(スキンヘッドや短髪、髪の毛の分け目)や頭部の形、さらに感度のよいカメラの場合は、コンタクトレンズやメガネをかけているかまでわかります。

ガラスは赤外線を通さないので、コンタクト又は、プラスチックや普通のガラスのメガネをしているとその部分が黒く映ります。


これらを総合すると、ある程度の特長がつかめますので、犯人の推理に役立ちます。