HEMTはベル研究所のR.ディングル博士らが1978年に考案した超格子の原理を素子(デバイス) を採用したものです。 開発当初のちょっとした小話を紹介します。
1980年6月25日米国コーネル大学で開いたデバイス・リサーチ会議で、富士通研究所 三村研究員(現 フェロー)がHEMTの発表を終えて席 についた。 そこへ突然、後ろから肩をたたかれた。
たたいた人はフランスのトムソン社で働いているN・T・リン博士。 渋い顔をしながら無言で三村研究員に書きかけの論文を見せた。リン博士もHEMTを考案し、執筆途上 にあったのだ。
その1年前のデバイス・リサーチ会議にて、三村研究員はアメリカIBMのN・ブラスロー博士と立ち話しをした。その時の話をきっかけに、帰国後、3週間で新デバイスの着想を まとめ上げた。
当時、半導体材料研究部の冷水研究員(現 大阪大学教授)の協力を得て、1979年末に試作を終え、1980年6月19日に国内で記者会見に臨み「HEMT開発」を発表した。 三村研究員が米国で発表する6日前のことであった。
三村研究員は平成10年春の紫綬褒章を授与されました。 題名は「高電子移動度トランジスタの開発」です。
