更新日2000年11月1日
パソコンとプリンタを使って、写真を印刷した時に色の違いを感じたことがありませんか。カラーマネジメントとは、実物に近い色で再現できる技術です。
色ってどうして違って見えるんだろう
カラーマネジメントシステムってなんだろう
原理 -プロファイル(色変換・色域圧縮)-
小話1-研究員の休日-
小話2-色にこだわる日本人-
小話3-犬と人間とミツバチでは見える色が違う-


地球上の物にはたくさんの色があふれています。目の前にあるパソコンのケースに色がついていたり、色とりどりの野菜や熱帯魚など・・どうして私達は物に色がついて見えるのでしょうか。
光(太陽光や蛍光灯の光など)は、いろんな波長の光(赤、黄、緑など)がまざってできています。その光が物に当たって、反射してきた光で私たちの脳は色を認識しています。例えば、果物の“リンゴ”という物体に、光が当たると、赤い光がリンゴの表面で反射します。赤以外の光は吸収され、反射してきません。そこで反射してきた赤い光を見て、脳は赤いリンゴと認識します。また、光をすべて吸収する物体は黒く見え、逆に全ての光を反射する物体は、白く見えます。
身のまわりの光はいろんな波長を含んでいます。人の目は、網膜の中の錐(スイ)体でその波長を感じ、神経が脳に伝え、色を認識します。波長が長いなら赤色、短いなら青色と認識します。





マネ美さんは、最近 流行のデジタルカメラとパソコンを購入、早速使ってみました。


実物の色、ディスプレイに表示された色、ハガキに印刷した色、それぞれ違って見えます。あなたもこんな経験ありませんか。
これは、ディスプレイやプリンタに独特のクセがあるからです。そのクセとは、それぞれ機器の方式(ディスプレイならCRT方式とLCD方式、プリンタならインクジェット方式とレーザープリンタ方式等)や準備しているトナーの色特性による差です。メーカーは、各機器ごとに一番きれいに見える調整をしているため、同じ絵でも別の機器で再現すると色が違って見えるのです。

しかし、ここであきらめたわけではありません。
どうにか、田舎のおじいちゃんに実物に近い状態で、ハガキをおくりたいのです。
そこで・・・
カラーマネジメントシステムを使えば、ボタン一つで簡単に色の調整ができます。

数日後・・・

カラーマネジメントシステムとは、実物に近い色で再現するためのソフトウェアです。ユーザは、ボタン一つで元の色を再現することができますが、どのような原理で行われているのかをご説明します。
カラーマネジメントはソフトウェアです。元の絵や写真をスキャナで読み込んでから、印刷されるまでをみてみましょう。
プロファイル(色変換+色域圧縮)を参照することで、元の色に最も近い色で再現されます。

プロファイルは色変換と色域圧縮の両方の結果をまとめたファイルです。まず色変換を説明します。
それぞれの機器よって異なる「クセ」を把握して、元の色に近くなるように指示をするのが「色変換」です。
<例えばプリンタの場合>



元の色=「0(ゼロ)」とします。
印刷したら・・
少し暗い赤になったので
元の赤色に「+1」とします。
(白くなったら「-1」)
測定結果をまとめると・・
元データとプリントアウトした色を比較して、プリンタにどんな「クセ」があるか見極めます。
そして、色変換表で実際にプリントされた色特性の逆の数字を加えます。
(原紙より「+1」黒く印刷されるなら、データを「-1」白く印刷するように指示をだすと、元の色に近い色で印刷できます)

しかし、色変換だけでは、変換後の色をプリンタが表現できるかどうかは不明なので、以下のような問題がおこります。
鮮やかな青や黄色は、プリンタで再現することができないのです。
そこで「色域圧縮」技術が必要になります。従来方式と当社の開発した新方式を比較しながら次のページで説明します。

パソコンのディスプレイとプリンタでは、それぞれ持っている(表現できる)色の範囲が異なります。プリンタは、パソコンのディスプレイに比べて鮮やかな色を表現するのが苦手なためです。
例えば青をみてみると、ディスプレイは青みの無い無彩色から鮮やかな青まで、100段階の青を表現できるのに対して、プリンタは50段階くらいの青しか表現できません。そのため、プリンタでは表現できない鮮やかな青がある画面は、プリンタで表現できる青に置き換えなくてはなりません。この処理を、色の範囲を圧縮(100
50)する処理であることから、「色域圧縮」と呼びます。

従来の方法は単純に数値計算のみで圧縮を行っており、階調がつぶれたり、彩度が低下するといった問題がありました。そこで当社が開発した問題点を解決する方法:富士通CPC方式(Chroma Proportional Clipping)を紹介します。
ディスプレイ用色立体とプリンタ用色立体(イメージ図)
ディスプレイ用
プリンタ用


(プリンタで表現できる色がディスプレイより少ない)
従来方式
従来方式1
プリンタが表現できる色領域まで自動的に平行に圧縮する。(明るさは変わらず、鮮やかさが低くなる)
従来方式2
元の色の周りに円を描くように、プリンタが表現できる色を探します。
一番最初に探しあてた色になる。(同じ色に重なってしまう場合もある)

=階調(明度)保存
鮮やかさ低下

=鮮やかさ確保
階調つぶれ
新方式(CPC方式)
当社独自の計算方式によって、目で見て一番近い色になる。(主観評価を優先)

=鮮やかさと階調の両立

こだわりおじいちゃんも納得、納得。
研究熱心な研究員達は、常に研究の事が頭から離れません。
せっかくの余暇も、ついつい「色」の事が頭に浮かび、純粋に楽しむ事が・・・。

皆さんは、狩野探幽、狩野元信といった画家をご存知でしょうか。室町中期から江戸時代にかけて有名を誇った画家の一派を狩野派といいます。彼らは、豊臣秀吉や徳川家康に請われて、襖絵などを書いています。彼らを一躍有名にしたのは、鮮やかな青の使い方です。
古来この青は、瑠璃色といわれ、ラピスラズリというイランなどで採れる宝石でしか出せないもので、たいそう高価でした。ところが彼らは、この宝石以外で、この青を再現することに成功したのです。
それは何か。
当時、日本で精錬が始まっていた銅鉱山で副産物として採れる硫酸銅を水に溶かした硫酸銅水溶液」を使用したのです。ですが、当時は、銅精錬は金も採れる重要なノウハウで、権力者とその側近しか知ることのできない、重要な情報でした。
そこで、彼らは当時の有力者である秀吉や家康に近付き、絵を認めてもらう代わりに、この貴重な青の原料を独占したのです。
なお、ついでですが、この硫酸銅は吸湿剤としても優れていたために、彼らの絵は今も製作当時の色をそのままにとどめているものが多く、ほとんどが国宝に指定されています。
日本人は、昔から色にこだわっていたのです。


色が違って見えるのは「色ってどうして違って見えるんだろう」で説明しました。人間は太陽光が物体に反射した波長によって、いろいろな色を認識しますが、犬は基本的に赤色しか認識できません(犬に直接聞いたわけではないので、いろいろな人が行った実験の推測にすぎませんが・・)。
しかし犬は人間と違って、光を感じる細胞が7~8倍あります。少しの光でも物体に反射した光を感じることができます。その結果、人間が暗くて歩きづらい場所でも、犬はスイスイと歩いて行けます。また、色を認識できないかわりに嗅覚にすぐれ、食べられる物・食べられない物を鼻で判断します。更に、動いている物体に、とても敏感に反応することもできます。
犬が苦手な人は、綱のついていない犬がいたら逃げずに、じっとして犬の興味を引かないようにするといいですよ。目もあわさないようにね。
ミツバチ ![]()
ミツバチにも色覚があることがわかりました。1973年にノーベル医学・生理学賞を受賞したK.von Frisch(フォン・フリッシュ)氏の実験結果でわかったことです。その実験とは、青色の紙を白から黒までの色々な明るさの灰色紙の中に混ぜて置き、青い紙の上にだけ砂糖水を入れたガラス皿を置いておくと、ミツバチは青い紙の皿に集まるようになります。紙を新しい紙に変えても、紙の上にガラス板をおいても、砂糖水を入れなくとも、青い紙に集まってきます。色々な明るさの灰色紙も用意されているので、明るさを手がかりにしていないことがわかります。
また、青い紙を赤い紙に置き換えてみると、黒や灰色の紙にも集まりました。つまり青系の色は区別できても、赤系は区別できなかったというわけです。
これらの実験により、ミツバチの視覚についてはわかってきたのは
1)赤い色は見えない
2)橙、黄、緑は区別できずに黄色に見え、青は見える
3)人間の目には見えない300~400nmの紫外線が見える、 という結果でした。
犬と人間とミツバチがそれぞれに見える色
