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  3. FST Embedded Flash 「第四回 組込み開発におけるオープンソースソフトウェアの落とし穴」
FST Embedded Flash

【第四回】 組込み開発におけるオープンソースソフトウェアの落とし穴

オープンソースソフトウェアの導入で本当にTCO削減は可能なのか?

OSS採用によるメリットとは

ここ最近では、組込み機器にオープンソースソフトウェア(OSS)を利用するケースが増えていますが、OSSの利用にはどういったメリットが考えられるのでしょうか。

ソフトウェアを自由に改版できる、バグフィックスが早いなどOSSが注目される理由はさまざまですが、最大のポイントはTCO(注1)削減にあるといえます。OSSなら簡単に入手できるだけでなく、ライセンス料がかりませんし、すでに出来上がっているものを利用すればカスタマイズの必要もありません。メジャーなOSSならばアップデートが素早く行われるため、保守費用やサポート面での不安も少ないでしょう。

ところが、ここに大きな落とし穴があることをご存じでしょうか。実は、TCO削減の目的でOSSを導入したのに、逆にTCOが膨れ上がってしまうという事例が少なくありません。

OSS採用によるメリットとは

OSSさえ導入すれば、TCOを削減できると安易に考えてしまいがちだが、本当にそうなのだろうか?


OSSならばライセンス費用が不要に

もう少し、詳しく見てみましょう。

組込みシステム開発におけるTCOを分類すると、大きく「調査費用」「開発費用」「保守費用」「ライセンス費用」に分けることができます。これらをそれぞれ、自社開発と商用ソフトの利用、OSSの利用にあてはめて考えてみましょう。

まず調査費用、開発費用についてですが、自社開発ではすべてを一から始める必要があるため、どうしてもコストが増大する傾向にあります。対する商用ソフトやOSSでは、すでに動作検証が加えられているため、コストを抑えることができます。ただし商用ソフトにはライセンス料が発生するため、ライセンス数に応じてコストが大きくなるという問題があります(右図参照)。

各場面でのコストをイメージ

自社開発では調査費用/開発費用の占める割合が多く、商用ソフトではライセンス料の負担が大きい


品質保証にかえってコストがかかるケースも

これだけを見ると、いかにもOSSの導入でTCO削減を達成できるかのように見えます。はたして本当でしょうか。

ここで注意すべきなのが、OSSの信頼性です。活動が停滞しているプロジェクトのOSSは、どうしてもバグが多くなってしまいますし、たとえ広く利用されているOSSでも、あまり使われていない機能にバグが潜んでいることがあります。

またPC上ではうまく動作するOSSでも、低速CPU/少ないメモリの組込み機器ではパフォーマンスが問題となる場合があるなど、品質確保のための作業が欠かせません。

現在では、OSSがサポートするアーキテクチャーも多彩になりましたが、対応が表明されていないアーキテクチャーや新しいアーキテクチャーでは、ポーティング作業が必要になります。作業コードによっては、長期のデバッグ作業が必要なケースもあるでしょう。

長期間の品質確保作業が発生する?

OSSでは、バグフィックスやパフォーマンスチューニングなど長期間にわたる品質保証作業が必要な場合も多く、必ずしもTCOを削減できるとは限らない

長期間のデバッグ作業が発生する?

対応が表明されていないアーキテクチャーでは、さらにポーティング作業が必要となる


OSS活用にはノウハウが欠かせない

そこで重要なのが、OSSについてのノウハウをもった人材やベンダーへのアウトソーシングです。目的のOSSに実績を持つベンダーならば、仕様や問題点を把握していますし、ソースコード解析や情報収集を効率的に行えるという強みもあるでしょう。つまりOSSによるTCO削減のメリットを実現するうえでは、ノウハウを持ったベンダーとの協力が欠かせないといえます。

OSSを上手に導入するためには

TCO削減には、高い技術力を持ったベンダーとの協力が必須だ



【注釈】

注1 TCO: 「総保有コスト」。ある資産の導入や維持に関わるすべてのコストを指す

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