【第一回】 DRM技術の最新動向とその課題について
これからのコンテンツビジネスにおけるDRMの役割とは
コンテンツビジネスを支えるDRM
著作権保護意識の高まりとともに、デジタルコンテンツの利用を制御・管理する技術として注目されているDRM(注1)ですが、実装にあたっては「暗号化」「電子透かし」「コピーガード」などさまざまな方法が提供されています。それではなぜ、DRMが必要とされているのでしょうか。
一般的にコンテンツビジネスは、コンテンツの著作権者である「コンテンツホルダー」と「コンテンツ事業者」、「コンテンツ使用者」という3つの要素から成り立っています。ここで重要なのが、コンテンツホルダーが著作権保護を重視するのに対し、コンテンツ利用者には自由にコンテンツを楽しみたいという要求があるという点です。つまり、間に立ってビジネスを展開するコンテンツ事業者にとって、お互いをスムーズに結びつけるためにもDRMが不可欠なのです。もちろん、正規のコンテンツ流通を促進させ、著作権使用料の支払いを助けるという側面にも注目すべきでしょう。

利用者の利便性を損なわず、コンテンツの権利を保護できることがDRM導入の利点だ
コンテンツの暗号化で不正利用を防ぐ
2000年を境としたブロードバンドの普及は、音楽や映画を中心としたコンテンツサービスの発展に大きく寄与しましたが、大量のデジタルコンテンツを容易に配信できるようになったことから、不正なコンテンツの流通といった問題を引き起こしつつあります。しかし、DRMの技術的な進歩により、株式会社USENが運営する無料動画サービス「GyaO」をはじめ、Apple Inc.のオンライン音楽販売サービスである「iTunes Store」など、ここ数年でさまざまなコンテンツビジネスが登場してきた。
では現状において、どのようなDRMの仕組みが主流となっているのでしょうか。DRMでは音楽や映画、写真、ドキュメントなどあらゆるデジタルデータが保護の対象となりますが、もっとも効果的なのがデータそのものを暗号化してしまうという手法です。暗号化された状態でデータを届けることにより、インターネット配信やCD-ROMなどのメディアを利用した物理配送に関わらず、コンテンツの不正利用を防ぐことができます。暗号化されたコンテンツの読み取りには「暗号鍵」(注2)と呼ばれる特別なデータが必要となるため、システムの特性に合わせて「暗号鍵」の配信方法や有効期限を設定することで、コンテンツのコントロールも可能となります。

プロードバンド普及が、インターネットにおけるDRMの必要性を生み出したと言っても良いだろう
Marlinが情報家電におけるDRMの主役に
現状DRMは様々あり、前述のGyaOではマイクロソフト株式会社の「Windows Media Rights Management」が、iTunes StoreではApple Inc.の「FairPlay」がそれぞれ採用されていますが、携帯電話やデジタルテレビといった情報家電では家電メーカー主導のもとに「Marlin」(注3)が主流になると予測されます。Marlinも暗号化によるコンテンツ保護の仕組みを持つDRMの1種ですが、デジタルパッケージ化されたライセンスが、コンテンツの「暗号鍵」と専用のコントロールプログラムから構成されるという特徴があります。コントロールプログラムは、ライセンスを購入したユーザーの機器でライセンス条件を確認する際に実行されるため、再生回数や有効期限といった条件を自由に設定できるのはもちろん、将来的なライセンス条件の変更にもプログラムのカスタマイズで対応できる強みがあります。つまりMarlinは、長期にわたって継続使用できるDRM技術とも言えるでしょう。
またMarlinにはドメインの概念が導入されているため、家族や学校、サークルといったグループ単位でライセンスを共有できるだけでなく、一時的なライセンスの貸し借りに対応させることも可能です。まさに、情報家電にとって最適なDRMシステムなのです。
デジタル放送の開始を契機とした家電のデジタル化により、いまやデジタルコンテンツの流通量が急速に増加しつつあります。そのため、コンテンツホルダーの権利を補償し、利用者の利便性をより向上させるためにも、情報家電など組込み機器におけるDRMが注目されているのです。

Marlinの特長は、ライセンスに含まれるコントロールプログラムでライセンス条件を自在に制御できることにある

コンテンツの利用形態やデバイスに合わせ、ライセンスの共用が可能なのもMarlinのメリットだ
【注釈】
| 注1 | DRM: | Digital Rights Management。「デジタル著作権管理」の意味。デジタルデータのコピーや配信を制限することで、著作権を保護する仕組みのこと。 |
| 注2 | 暗号鍵: | 暗号化されたデータを元に戻すための鍵のこと |
| 注3 | Marlin: | ソニー株式会社、松下電器産業株式会社など家電メーカーが中心となって標準化を進める情報家電向けDRM |
「Inspirium DRMライブラリ for Marlin 1.0」のご紹介
富士通ソフトウェアテクノロジーズが展開する、組込み向けミドルウェアシリーズ「Inspirium DRM ライブラリ for Marlin 1.0」では、組み込みシステムと商用DRMシステム開発で培ったノウハウにより、トータルな情報家電用ソフト開発をサポート。データベースへのアクセス中に電源断が発生した場合など、DRMのトランザクションが正常に完了しなかった際の対応や、時刻改竄による不正防止などさまざまな信頼性強化にも対応します。また、マルチプラットフォームへの迅速な展開も可能です。
【特長】
- Marlin IPTV-ES対応
IPテレビ、インターネットテレビに対応
2007年9月開始のアクトビラビデオサービスで採用
VOD, IPマルチキャスト、ダウンロード形態を予定 - 商用DRMシステムのノウハウによる信頼性、適応性を強化
ライセンスDBのアトミシティ補償(HDアクセス中の電源断対応)
機器の時刻改竄による不正利用防止
ライセンス取得中のキャンセル機能
利用資産のカスタマイズによる、きめ細かい性能チューニング - マルチプラットフォームへの迅速な対応が可能
Windows, Linux, uITRON, Windows CEなど
関連リンク
- 先進の組込み技術を紹介「FST Embedded Flash」ページへもどる
お客様のデバイス企画・開発に役立つ先進の組込み技術についてご紹介します。
- 組込み開発トータルサービス
お客様の要望にお応えする最高の技術により、品質・コスト・納期を追求した組込みシステム開発をお約束します。 - 組込み関連のケーススタディ
お客様ごとの課題に合わせ、最適な解決策をご提供します。 - 当社が提供する組込みソリューション
組込みソフト開発のベストバートナーとして、新製品の研究/試作機開発から製品開発、サポートまで、お客様のPoC(Proof of Concept)に先進技術と高品質でお応えします。
