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アメリカ駐在員レポート
シリコンバレー Now! Vol-3

2008年1月発刊「インフォFsol No.16」より抜粋


ハッキングメカニズムを理解する

シリコンバレー

“ハックキング(Hacking)”という言葉は、一般には否定的に解釈されがちですが、シリコンバレーではユーザーの日常的行動として認知されつつあります。 ハックキングは、クローズドに対する“侵入”と捉えられるものの、オープンに対しては“参加”と受け取られます。「Webが参加型プラットフォームに進化している」とよく聞かれますが、その底流にあるのは、Webが誰に対しても“開かれている”ということでしょう。本レポートでは、“ハッキング”という観点からシリコンバレーのイノベーションメカニズムの一端をご紹介します。

ジェネレーション“Y”

写真1:米国最大の消費者から生産者へ

写真1:米国最大の消費者から生産者へ

最近のテクノロジー関連のサーベイで欠かせないのがジェネレーション(世代)に関する話題です。米国のマーケティング関連調査では、“Gen =Generation”という区分が散見するようになっています。とりわけ、米国人口の約4分の1を占める1977年~1997年の間に生まれた“ジェネレーションY(Gen Y)”と呼ばれる世代は、“デジタルネイティブ”とも呼ばれ、その行動様式は他の世代とは区別されると考えられています(写真1)。

Gen Yはこれまで、次世代の米国最大の“消費者”として企業側から見たマーケティング戦略の文脈で語られてきましたが、彼らが成長とともに 企業などに入り込んだ結果、“生産者”として振舞うようになり、新たに注目を集めています。ソーシャルネットワークサービス(SNS)など“価値観を共有できるコミュニティへの参加”というGen Yの行動様式は次世代のイノベーションを解くカギとなると言われます。

参加型プラットフォーム

Web2.0の特徴のひとつである“参加型”というキーワードは、Gen Yの行動様式を起点に理解するとわかりやすいでしょう。マーケティングをはじめとする企業活動において“集合知”を利用する動きが見られますが、これらはGen Yの自己表現を重視した「パブリッシング(草の根的行動)から生まれたコンテンツ利用」とも言い換えることができるかもしれません。YouTubeやFlickrなど最近のシリコンバレーにおける成功例の多くは、Gen Yを“消費者”と見立てるよりも“企業への協力者”として彼らの支持を取り付けていったわけです。

ハッキングメカニズム

写真2:ユーザーの多くがセルフカスタマイズ環境を期待

写真2:ユーザーの多くがセルフカスタマイズ環境を期待

米Apple社が今年6月に発売したiPhone(写真2)が当初、その売れ行き以上に話題を呼んだのは、“ハッキングアクティベイト”と呼ばれる正式な利用方法以外にまつわるものでした。すなわち、多くのユーザーは指定されたキャリアに束縛されることなく、セルフカスタマイズできる環境をこの新たな製品に望んだわけです。

“ハッキングメカニズム”、すなわち、「イノベーションに参加のメカニズムを組み込んでいく考え方」は、今後ますます重要視されてくることでしょう。企業も壁で囲ったなかでのイノベーションを続けるよりも、ユーザーとともに革新を起こしていくことを意識し始めているようです。そのほうが圧倒的にイノベーションのスピードが速いからです。現在のテクノロジーの多くは、“Gen Y”に対峙する“Younger Boomers”(米国の団塊世代)によって創造されてきたものです。

 インターネットなどの広がりは当初、世代の上方(企業)から下方(ユーザー)へという流れにあったものの、最近の製品やサービスは世代の下方から創造され、そこで新たな経済圏が確立される傾向にあります。シリコンバレーという環境に身を置く世代の挟間(Gen X)にあるリサーチャーとして時代を先取りするためには、こうした流れを十分に汲み取ってイノベーションを起こすことが大切であると実感するものです。

筆者プロフィール

川合 康太
川合 康太 米国富士通研究所(Fujitsu Laboratories of America, Inc)に在籍中。米国の最新IT動向や最先端ITテクノロジーを研究。
所在地:1240 E. Arques Ave. Sunnyvale CA 94085 (富士通シリコンバレーキャンパス)

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