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訪日外国人旅行者の観光推進施策検討のために空港利用者実態調査に取り組まれた成田市様

概要

外国人空港利用客の市内周遊促進のために、利用実態や観光ニーズを把握

観光庁が発足するなど、訪日外国人旅行者増加のための取り組みは、近年特に脚光を浴びています。日本の空の玄関である成田国際空港を抱える成田市様では、外国人空港利用客の市内周遊促進を図るべく、空港利用客の実態や観光ニーズの把握に取り組みました。

【図1】成田市観光循環バス

【図1】成田市観光循環バス

課題

千年余の歴史を誇る成田山新勝寺、宗吾霊堂などの観光資源を有する成田市様の観光入込客数は1,466万人にのぼります。一方、成田空港利用旅客数(国内線を含む)は3,265万人弱であることから、成田市内を素通りして空港を利用している人も多いことがわかります(数値はいずれも2008年度)。

シンガポール、韓国など海外の一部の空港では、乗り継ぎ客向けに空港近郊への「トランジット観光」を促進する取り組みが行われており、成田市様では成田空港の乗り継ぎ客に注目しました。それまでにもトランジット観光の実証実験は実施されており、さらに外国人空港利用客を主なターゲットとした観光循環バスの運行などは行われていたものの、外国人乗り継ぎ客の空港周辺での詳細な行動実態や観光意向については把握が進んでいない状況にありました。今後、成田空港を利用する外国人客に対して、空港周辺を中心とした市内への回遊観光を推進する施策を検討するためには、基礎となるデータが必要でした。

解決策

そこで、基礎データ収集を目的として、成田空港周辺観光に関する以下の3種の対面アンケート調査を実施しました。

  1. 空港ターミナルビル制限エリア区域内の搭乗ゲート付近で行う空港調査
    国際線乗り継ぎ客(成田空港に到着後、基本的に空港外へ出ず、別の国際線フライトに搭乗する利用客)からデータを収集するため
  2. 空港周辺ホテル調査
    入国直後や出国直前に宿泊する外国人旅行客からデータ収集するため
  3. トランジット客が利用することを想定して成田市様が運行している観光循環バス調査

いずれも、7種類の言語(日本語、中国語(繁体字)、中国語(簡体字)、韓国語、英語、フランス語、スペイン語)のアンケート票を用いて調査員が回答を得る調査方法で行いました。

空港制限エリア区域内で実施した調査では、外国人乗り継ぎ客のデータを収集するために出発便フライトスケジュール等を分析し、調査ターミナルの割り振りや調査員への搭乗ゲート指示を行いました。また、本事業は緊急雇用創出事業であったことから、ハローワークや成田市の求人情報サイト「なりた・お仕事ナビ」を通じて成田市民を中心に調査員を多く雇用し、調査員のためのマニュアル等の整備も行いました。

成果

調査結果から、当初想定していた乗り継ぎ客よりも、日本訪問を目的とした空港利用客(=訪日客)の方が、成田市内の観光についてより強いニーズがあることがわかりました。これは、もともと日本観光を目的としている人たちであるため、日本での観光に対してニーズが強く、観光情報収集・両替なども済ませているなど、日本観光に対して「準備が整った」層であることが理由だと考えられます。また、地域別には中国等の東アジア諸国居住者では大型ショッピングセンターなどの消費型観光が、欧米・オーストラリア居住者では神社仏閣や日本庭園に対する観光ニーズがそれぞれ高いこともわかりました。

これにより、訪日客向けに、入国直後や出国直前に日本を楽しんでもらう方策を検討することがより効果的であり、日本に強い関心があるとは言えない乗り継ぎ客を空港外に連れ出す方策については、複合的な工夫が求められるという結論を得ることができました。特に、若年層訪日客では成田市内の観光に関する認知不足が要因となって回遊しない傾向があり、これを解決することによって観光入込客数が増加する余地は大きいことも明らかになりました。

【図2】乗り継ぎ客/訪日客別 成田市内への観光意向/動向(空港調査)
【図2】乗り継ぎ客/訪日客別 成田市内への観光意向/動向(空港調査)

掲載日:2010年5月25日
(公共事業部 シニアコンサルタント 藤原 律子)


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