PUBLIC SERIES No.2
前富士通総研主任研究員(現静岡文化芸術大学助教授) 田中啓/上級研究員 楜沢徹郎
要旨
自治体の行政評価 -組み込まれた不機能とそれへの対応-
前富士通総研主任研究員(現静岡文化芸術大学助教授) 田中 啓
1990年代末頃から2000年代初めにかけて、数多くの自治体が行政評価への取り組みを開始した。現在、その動きは鎮静化した感はあるものの、市区町村においては、依然として行政評価を導入する自治体が着実に増加している。一方、最近の動きとしては、既に事務事業評価を導入している自治体が、施策や政策へと、その評価対象となる階層を上位方向に拡大する傾向が顕著となっている。
このように、行政評価は短期間に自治体の間に普及したが、その多くが期待どおりに機能しているとは言いがたい。その原因としては、職員の意識やスキルなど、行政評価の運用面の問題点を指摘することができる。しかし、それ以上に重要なのは、設計段階における問題である。言い換えれば、少なからぬ自治体の行政評価制度は、生まれながらにして不機能が組み込まれていると言える。本稿においては、そのような「組み込まれた不機能」とも言える設計段階における問題点を幾つか指摘し、それぞれの問題への対応方法を示す。
新たな展開をみせる福祉NPO
上級研究員 楜沢 徹郎
高齢化の進む自治体で、福祉系NPO(特定非営利活動法人)のプレゼンスが高まってきた。これまで公的サービスか、ボランティアかの2タイプしかなかった地域福祉のすき間を埋める存在として、NPOが期待されている。
これまでにも、社会福祉法人などに福祉サービスを委託するケースはあったが、ごく限定的、定型的なものだった。ここにきて、法人格を得たNPO、新鋭のワーカーズ・コレクティブなど団体のすそ野が広がり、それとともに委託の内容も多様化している。
財政面などで、残された課題はなお多いが、福祉NPOが地域に根付くメリットは計りしれない。高齢者はじめ住民全体のQOL(生活の質)改善、地域コミュニティのネットワーク強化も、長期的には期待できるだろう。
間もなく、団塊世代が大量定年期を迎える。彼らの公的機関・一般企業における経験をいかすためにも、彼らの第二の人生にとって魅力的な選択肢であるよう、福祉NPO側も職場環境などの整備を急がねばならない。
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