富士通総研

ENVIRONMENT SERIES No.1

要旨

持続可能な開発(Sustainable Development)の可能性と課題

主任研究員 武石 礼司

持続可能な開発という考え方が出てきた背景を検討し、地球環境問題に対する理解の深まりとともに、この言葉のもつ意味が社会開発的な側面を含み、過程(プロセス)重視の意味も持った概念として捉え直されているとの分析を行った。現代的な意味を持続可能な開発という言葉に込めるとともに、環境負荷の低減を目指しつつ、貧困の克服という問題に取り組む必要が生じている点を強く指摘した。

グリーン電力市場における環境価値の創出と流通

上級研究員 生田 孝史

地球環境問題の改善のためには、適正評価と合意形成に基づいて環境価値の支払いを分担できる社会システムの構築が重要である。原子力計画が不透明化しているわが国において、グリーン電力の普及は、エネルギー需給安定と地球温暖化防止を両立するために欠かせないものである。グリーン電力は、電力の価値と環境価値を分離して流通させることが可能であり、政策あるいは自発的な環境価値市場の形成が急速に進行している分野である。環境価値の創出と流通という面からみた、わが国グリーン電力市場の今後の課題は、政策アプローチと自発的アプローチの調和と、省エネルギー及び排出権取引とのリンクなどのグリーン証書の拡張による流通性の拡大である。

米国の京都議定書脱退による我が国経済及び温室効果ガス削減への影響

研究員 濱崎 博

ブッシュ大統領の米国の温室効果ガス削減に関する京都議定書からの事実上の脱退宣言が、国際的に大きな波紋を呼んでいる。本研究では、豪・ニューサウスウェールズ大学と富士通総研が共同開発を行った一般均衡化モデルGTAP-Eモデルを用い、米国脱退の各国・地域への経済・環境面への影響に関してシミュレーションを行った。米国が京都議定書を批准しない場合、米国においてはエネルギー産業を中心に大幅な改善が見られる。一方、他の附属国(日本・EU)においては産業によってその影響は異なる。環境の側面からは、米国の脱退は、カーボン・リーケージ(温室効果ガス削減を行う国・地域から産業が移転する等によって生じる他国・地域での温室効果ガスの増大)が生じ、地球全体の二酸化炭素の削減効率を著しく悪化させる。

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